しまったこどもたちは成長し、同窓会で顔を合わせる。
40歳を過ぎて毎年顔を出すメンツは決まっている。
ある種の共犯じみた集い。暗闇に閉じ込めてしまった
かつてのともを思い出すとき自分たちも暗闇の中に…。
『同窓会』
決してでしゃばらないが無表情な妻と暮らす家には
不気味な黒い梯子がかかっていた。ある日、夫は
自分の家に黒い複数の人影が入っていくのを目撃し…。
『黒い梯子』
記憶があいまいになるほど年を重ねた老婆。
30歳になる孫が結婚するという。
まだ中学生だと思っていたのにとうろたえる。
老婆は幼少期から他の者には見えない者を見ていた。
それは生まれてこなかった双子のかたわれ。
特に何をするわけでもなく物言わず自分を見てくる。
きっと生きている自分のことを恨んでいるのだ。
『わたしとわたしではない女』
生まれてこなかった子はどうなるのか?
8ヵ月もお腹の中にいた子をなかったことに
などできるわけがない。如月となづけたかなたの子を
愛で続けた文江は「くけど」に行けばわが子に会えると
聞いてかの地を訪れる。心揺さぶられる作品。
『かなたの子』
など8編を収録した短編集。怖くてせつない。