2019年03月30日

エッセイ『焼きそばうえだ』さくらももこ

さくらももこと長尾さんはくだらないバカ話を
楽しんでいた。
仲間をつのろうとTBSの植田さんや小
学館社員の江上さん、山崎君を集めた。
こうして男子の会のメンバーが発足した。
名前の由来は小学生男子レベルのバカ話をし
大いに笑い、楽しもうというものだ。
この計画は当たり、メンバーはこの会を
定期的に開き、有意義なムダな時間をすごす。

長尾さんはバリのリゾート開発の仕事をしていた。
このバリに植田さんが焼きそば屋を開いたら
おもしろいのではないか?という話になった。
植田さんはドラえもんのような万博のような
味のあるいじられキャラ。
いたら特に役に立つわけでもないが
いないとやたらと気になるおかしな存在。

きっとバブル期に買った高級マンションの返済に
追われ、汲々としているに違いない。
TBSの出世の見込みもなく何があるかわからない。
(作品連載中に買収話もあったよ)
神奈川から職場の赤坂への移動は大変だろうし、
妻にも子にもなつかれず、いざという時役に立たない…
これはもう、バリで「焼きそば うえだ」を
始めるしかない。ということになった。

さくら先生が定期的に行うおもしろパーティーよりも
よほど焼きそばうえだの方が安くすみ、かつおもしろい。
この話はどんどん進み、看板もさくら先生が書くことに。
この変な情熱は現地の親切すぎる金持ちローランさんの
心を動かし、本当に開店することに。
友情とは名ばかりの単なるヒマつぶしのような
気もしないでもないが、営業開始。
しかしやってきた最初の客は最底辺の客だった!
明日はどっちだ?日常に疲れた人におすすめに一冊。
小学館文庫
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2018年10月13日

エッセイ『だからこうなるの 我が老後』佐藤愛子

交友の深いKに百万円貸したら返ってこない。
考えてみたら自動車もあげたのに…。
そんな折、違法駐車があったので罰金の催促が。
そういえば、税金払っているの私じゃないか…
さすがに腹を立てた私は夜逃げしたKの家に
赴くのだった。

気づけば自分の家の愛犬になっていたタロ。
無芸大食で鎖につながず奔放に飼っていたが、
十数年前からいたので遂に天寿を全うした。
と思ったら死んでいない。勘違いだった。
でも今までありがとうと娘といっしょに
涙を流すが、驚異的な回復を見せて…
元気なだけで、いや生きているだけで、
なんかもうそれだけで十分なんだよな…
と亡くなった愛犬のことを思い出す。

やたらしつこい迷惑電話の男。
番号を拒否するがわざわざ公衆電話を
はしごしてかけてくる。
なんてしつこくてめんどくさい奴なんだ。
その情熱を仕事にでも向けてほしいものだ。
こいつのせいで長電話大好きの友達サキサンが
電話に出てくれないと苦言を呈してきた。
彼女は彼女でちゃんと電話が通じるか
深夜に確認の電話をかけてくる。
なんてしつこくてめんどくさい友達なんだ。

など笑えてかつ泣ける佐藤節全快のエッセイ。
文藝春秋
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2018年07月22日

エッセイ『時をかけるゆとり』朝井リョウ

ゆとり世代という化けの皮をかぶった天才小説家
朝井リョウの爆笑エッセイ。
あえて自分のウィークポイント胃腸の弱さに言及し、
潜在的な自意識の高さが災いする理容師との「戦い」、
「モデル」体験を赤裸々に語る。戦後最年少で直木賞
受賞した天才作家とは「何者」なのか?
就職活動し、実際に就職していたのか…
という事実に驚き、おかしな就職体験も語る。
同時に、してもいない就活エッセイを依頼され、
これを執筆し、自ら添削を行う。
変人黒タイツおじさんにロックオンされた話、
埼玉県本庄市から早稲田大学まで歩き倒す
デスロード125キロ行軍の話、
変な強迫観念にかられ、
小学校時代1日原稿用紙1枚の日記を書き続けた話、
いきなりバイト先がつぶれた話、
作家として成功したことで母校講演を頼まれた話、
眼科医に君は愚かだと紛糾された話、
小学校の担任に渡した100枚の小説の話など収録。
おもしろおかしく仕上げているが、
当然ながら、この人全然ゆとりじゃない…。
文春文庫
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2018年03月23日

『怖い絵』中野京子

名画に隠された謎、秘密、暗喩、画家が意図した
怖い部分を解き明かしていくエッセイ。
当時の歴史的背景や社会情勢、死生観、倫理観。
画家が絵に託した想いを鋭く考察する。
絵を鑑賞することで画家、人間の本質が見えてくる。

観る者をうっとりさせる美しい名画がある。
絢爛豪華、威風堂々とした人物画、風景画。
しかしそこに隠された「悪意」や「寓意」に
気づいた時、全く違った絵として解釈できる。
自然豊かで穏やかな風景画の中にある絞首台。
絵の片隅にある小道具が類推される不吉な未来。
しあわせと富の象徴とされる4人の子供たちにも
「死」がつきまとう。そう、餓死、ペストや細菌、
恐怖政治や他国からの進攻、魔女狩りにより
当時の人々にとって死は身近な存在だった。

観る者におぞましさを感じさせる名画がある。
主題とされた人物がおぞましい姿で描かれていたり、
殺人現場を描いた作品。一つ目の怪物が描かれ、
巨大な鷲が子供をさらっていく。
観る者の心を不安にさせ、ざわつかせるよう絵。
わかりやすい恐怖ばかりではない。
日常・非日常、死が常に隣り合わせの残酷な世界。
将来への漠然とした不安から命を絶つ者もいる。
王族として君臨していた者が逆賊として処刑される。
マリーアントワネットを貶めるために悪意を持って
描かれたスケッチ。時の為政者に迎合しようと
描かれた作品。狂気の中で産声をあげたと思われる作品。

それらを鑑賞、アプローチ、考察していく中で
観えてくる新たな視点に触れるとき、知的欲求は刺激され、
安全な場所からの無責任で愉悦的な「怖いものみたさ」、
人間が本質的に持つ謎(恐怖)を探求する快感に気付く。
同時に名画によってもたらされる教訓や
地獄のような環境を生き抜いてきた人類の歴史を
垣間見える名エッセイである。
大学講師(教授)の文章はうまくない場合が多いが、
非常に読みやすく、かつ内容も優れていた。
角川文庫
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2017年08月03日

小説『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

コンパクトな都市仙台に暮らす心配性の著者による
エッセイ集。タクシーの運転手さんや猫との思い出、
自身の作品が映画化されたこと、作家になって
ファンと思しき人に話しかけられたら…違った。
自身の作品を買う人を見かけたり、
街でファンと出会ったり、温泉地に出かけたり、
パソコンのデータ復旧を依頼する。
東北では200年に6度大地震があり、
つまり37年周期でやってくる。と不安を抱く。
実際に地震を体験したが、
街並みだけ見たら被害が少なく見える仙台。
でもそこには言葉では言い現わせない想いを抱えて
いる人や心の傷を抱えている人もいて…。
被災地にボランティアにやってきていた人たちとの
出会いから生まれた「ブックモビール」も収録。
集英社文庫。
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2017年04月11日

エッセイ『養老孟司の旅する脳』養老孟司

世界中に旅する理由は昆虫採集でありライフワーク。
解剖学教授でありながら、脳に関する権威とされる
養老先生による語りおろしエッセイは
目から鱗が落ちる発想も多く読んでいて楽しい。

なぜアフリカ人は8頭身のカッコイイ体型なのか?
体表面積を増やすことで熱を逃がすため。

十人並の顔はたいしたことないが、
百人の顔を平均化すると美形になる?

日本人の脳が漢字とかなを読む場所は違う?

東大医学部に合格する人間は血圧に換算すると
300という異常値であり、これを正常値に戻す。
つまり凡人に完治させまともな感覚を持つ医者に
する必要がある。など2〜3ページごとに語られる
エッセイなのでサクサク読める。小学館
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2017年03月04日

小説『ふむふむ おしえて、お仕事』三浦しをん

16人の女性プロ仕事人との対談を収録した
インタビュー集。仕事と向き合い、人の生き方を
学ぶことで思わぬ発想や視点を持つことができる。
タイトル見ただけで興味を覚える職業がずらり。
【靴職人、ビール職人、染織家、活版技師
女流義太夫三味線、漫画アシスタント、
フラワーデザイナー、コーディネーター、
動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、
現場監督、ウエイトリフティング選手、
お土産屋(2人)、編集者】である。

有名漫画家から引っ張りだこの萩原さん、
某芸能人や某社長と知り合いのオカマイさん、
ペンギン好きが高じて飼育係になった高橋さん、
エヴァ、ハガレンなどのフィギュアも制作澤山さん、
トンネルの現場監督を務める亀田さん、
著者もあこがれていた編集の仕事に携わる国田さん
など思わずふむふむと楽しんでしまう一冊。
人を喜ばせたい、人の生活の役に立ちたいプロたちの
言葉に思わず頭が下がります。新潮文庫
ラベル:三浦しをん
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2016年09月10日

エッセイ『つばさよつばさ』浅田次郎

望んだわけではないのに一年の三分の一を旅ですごしていた
浅田先生は、異国の地の人々、生活や文化に触れることで
日本人が現代人が忘れてしまった人間らしい生活を鑑みる。
ずるいけれど憎めない中国の小役人、
自分の仕事に誇りを持った職人、
心優しいガイド無邪君は美しい涙を薙がず。
バカ高いありがたくもない食事がまかり通る観光地、
礼儀も知らず人の好意に気付きもしない愚かな日本の若者、
そして異国の地での自分の失敗談。
エジプトではなぜか「ヤマモトヤーマ」と連呼され
ピラミッドはファラオの墓ではなく公共事業という新説に迫る。
体験を通して語られる考察の数々も興味深い。小学館
ラベル:浅田次郎
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2015年04月22日

小説【三四郎はそれから門を出た】三浦しをん

おすすめの書評、漫画論、エッセイ、ルポ、日記
などを通し著者の脳内が見えてくる一冊。
どこを読んでもおもしろいが、
特に自身が働いていた古本屋に出没する濃いお客の
話が印象に残っていた。
地元の本屋ではエロ本を大量に買うくせに
神田三省堂では思想本を立ち読みしている。
またそれを影ながら観察している姿…
明子姉ちゃんかよと。
元捕鯨船の古本屋の社長は本の価値を重さで決める!
そんな店なのに30年以上続いているのが
不思議でならない。
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2010年07月13日

エッセイ『延長戦に入りました』奥田英郎

スポーツに関する疑問や興味のあれこれを

追求していくという爆笑エッセイ。

基本テレビの前では無責任な批評家になり

試合をおもしろおかしく観戦してしまう

スポーツ好きの特性を見事に表している。


ときに皮肉まじりに、ときに舌鋒鋭く、

ときに風変わりな視点から

スポーツのおもしろさや奥深さを、

勝手な妄想(想像)を交えながら描く。


なぜレスリングの服は乳首を隠さないのか?

隠せよ!という指摘や

試合結果から見る(想像する)高校野球顛末、

死力を尽くしたサッカーの試合がPKで

決まってしまう不満やスポーツそのものでなく

ときに観客や売り子に興味がいってしまう

傍観者のお気楽な視点なども交える。

延長戦に入りました (幻冬舎文庫)

延長戦に入りました (幻冬舎文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫


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2009年12月21日

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』黒井勇人

中卒、ひきこもりのニートの27歳の青年が、

母の死をきっかけに、父と話し合い

働かなくちゃと一念発起。

プログラマーの資格を取り、数多の面接を

こなし、見事就職を勝ちとる。


不安と期待を胸にプログラマーとして入社。

しかし、その会社は新人を放置し、

初日に過度の残業は当たり前、

リーダーは典型的なジャイアン的暴君、

その太鼓持ち・スネオ的存在であり、

常におバカな発言を繰り返す井出、

そして挙動不審な精神的ヤンデレ上原さん

を抱えるという燦々たるブラック会社。


それでもめげずにやってきた二日目には、

『よく来たな』と拍手される始末。

恐ろしい会社に入ったものだ……

と思った主人公だったが。

しかし、そこには一生に一度会えるかどうか

という大人物もいて……。


2ちゃんねるで立てられたスレによって、

過酷なプログラマーの実態と、

イカれた人ばかりのブラック会社の存在が

浮き彫りになる。

そしてそこに集まってくる個性的を通り越した

『超人』的な人たちが織りなす笑いと感動の

物語。挫折を知るがゆえに、誰よりも力強く

逆境に挫けない主人公マ男と、彼が尊敬して

やまない平成の諸葛孔明こと藤田さん。

そんな会社の応援に来たやっぱり変人だった

中西さん。

そして問題児な後輩の木村君、竹中君。


悲惨すぎるギリギリ納期のプロジェクトと、

高い壁を乗り越えた人間だけが知る感動、

藤田さんの隠された過去、そして思わぬ展開

を見せるおすすめの物語。

ブログ使用なので横書き。約400ページ。



ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

  • 作者: 黒井勇人
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/06/26
  • メディア: 単行本



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2008年12月02日

「がばいばあちゃん 幸せのトランク」島田洋七

野球の道をたたれ、くすぶっていた昭広は、恋愛をし駆け落ち。

ピンチを支えてくれたのは、やはり佐賀のがばいばあちゃんだった。

シリーズ第3弾。250ページ。


「結婚は、ふたりでひとつのトランクを引いてくようなもの、

 ひとりじゃ重くて運ばれん」


ノリで駆け落ちをすることになった昭広は、りっちゃんと共に

トランクひとつで東をめざす。

とりあえず東京に出かけたふたりだったが、縁故をたどって大阪へ。

吉本興業に入り島田洋之介を師匠にして、貧乏漫才修業。

東京に進出し、週15本のテレビレギュラーをこなすという栄光を

掴むも……。


自分を見つめなおすために昭広は、アメリカアイダホの青い空の下で

地平線まで続くじゃがいも畑で本当の豊かさに気付くのだった。
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2008年11月25日

『佐賀のがばいばあちゃん』島田洋七


世知辛い世の中だからこそ、人のやさしさや助け合いや、

知恵や、笑顔やたくましさが試されるチャンスなのだと思います。


昭和33年、広島と母と二人で住んでいた徳永昭広少年ことオレは

やむを得ない事情から、電車に乗せられ佐賀のがばい(すごい)

おばあちゃんとの二人暮らしをはじめます。七人の子供を、

掃除婦をしながら、たくましく育てあげたおばあちゃんは、

「おばあちゃんの知恵袋」的存在であり、たくさんの生きるヒントを

持っている人でした。明るい貧乏であれ!と語るおばあちゃんは、

磁石で鉄くずを集め、川から流れてくる「恵み」をそつなく回収し、

ケチと言うよりも倹約精神にあふれた、時に切符のよい人でした。


そんなあばあちゃんと、佐賀で出会ったやさしい人たちとの

中学までの青春時代をつづった物語。

物語に登場する同級生や先生とのエピソードがまたいい話ばかりで、

なんか世知辛い世の中だからこそ、余計に人におすすめしたくなる

エッセイです。190ページですが、ページ数より軽く読めます。
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2008年11月08日

『Dr.ヘリオットのおかしな体験』ジェイムズ・ヘリオット 池澤夏樹訳


心優しい動物のお医者さんヘリオットが、動物や人々との生活から

受ける様々な体験をつづったベストセラー。奇妙な行動を取る動物

たちや、ヨークシャーの自然と共に生きるたくましいひとたち、

過酷な兵隊訓練などがユーモラスに感動的に、やさしいタッチで

描かれている。480ページ。


生まれたときから、ずっと世話をし、たくさんの牛乳を出した

老いた牛を売ることにしたデイキンさん。ドナドナをほうふつと

させる第一章は、売られたはずの雌牛ブロッサムが、牧場に戻って

きてしまったときに、「売るのをやめよう」とヘリオットとデイキン

が決心した瞬間からはじまる。そのとき、ヘリオットは過酷な

兵隊訓練を強いられていた。ぼくも家に帰りたい。というすごく

当たり前の気持ちの中で書かれたこのはじまりの物語が、30章を

超えるこの物語の核になる部分であり、最終章31章では除隊となり

かけがえのない家族のいる家に帰れるというしあわせを噛み締める

構成となる。物語は、想像妊娠してしまった動物たちや、献身的な

世話焼き好きなナースのような犬などの奇癖や、数々の奇病と闘う

獣医ヘリオットの活躍を描く。
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2008年10月15日

私小説「ホームレス中学生」田村裕

突如父から「解散」と告げられた中学生の悲喜交々の物語。

どうしようもない飢えの苦しみや、うんこにしか見えない

滑り台がある公園で寝起きする少年の苦悩をユニークな表記を

交えて描く。麒麟がテレビで語っていた「味の向こう側」、

「家族解散」などのすべらない話の詳細も語られる。


人のやさしさとか、こどもの残酷さとか、家族のあたたかさとか、

母の無償の愛とかを笑えるエピソードを交えて描く。180ページ。
ラベル:私小説 読書
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2008年07月28日

私小説「兄弟」なかにし礼




数億円の借金、裏切り、破天荒な生き方をする兄のツケを

払わされるのは私だった。名作詞家なかにし礼の私小説。460ページ。


特攻隊から復員してきた14歳年上の兄は、私の父代わりとして

私を育ててくれたが、山っ気の多い男で、一攫千金めざして、

家を担保にニシン漁に手を出す。

思えば、この頃から破滅への道を歩んでいたような気がする。


苦労に苦労を重ね、ジャズの訳をしながら、立教大学に通っていた

私は、時代の寵児「石原裕次郎」と出会い、昭和の流行歌を次々と

作曲。アメリカンドリームならぬ、大成功を収めるが、金の臭いに

つられて兄がやってきた。兄は、「育ての親」ということや、

母を人質に私から金を無心し続ける。あげくの果てには、私の名前で

勝手に借金を作り、次から次へと会社を起こし、倒産させる。

蛭のように、悪魔のように、私から金銭をむしり取り、精神的にも

追いつめられる私だが、どこかで「改心してくれるのでは?」と思い

兄弟の情や、兄が母と住んでいるということもあり、兄の悪行を

許していたが、遂に決定的な裏切りをし、絶縁状態に至る。


特攻隊の生き残り、墜落体験、アメリカ兵との空中戦……

実しやかに戦争体験を語る兄の言葉に疑念を抱いた私は、

兄の死後、兄が所属していた「戦友会」に赴き、兄の実像と虚像を

推し量る。愛憎と葛藤を繰り返しながら、私は死んだ兄にささやく。

「兄さん、死んでくれてありがとう」



「男はつらいよ」にも言えることだが、ああいう生き方しか

できない人が家族にいたら、言葉では言えないような苦労が絶えない

よなぁと感じた。しかも、この兄は寅さんの比ではないほどの

甘ったれの困ったちゃんである。歴史に「もし」はないが、

この兄がいなかったら、もっと平安な生き方をできたかもしれないが

数々のヒット曲も生まれなかったのではないか?と考えると、

作者ではないが、なんとも複雑な気持ちがしてくる。
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2008年06月17日

「ひとりでは生きられないのも芸のうち」内田樹




一人では生きられないことは、恥ずかしいことではない。

自分一人で、なんでもできて、誰にも依存していない

又そう思いこんでいる者は、自立しているのではなくて、

孤立しているのである。よって、一人では生きられないのは

重要な能力ではなく、いわば才能である。




著者は、東大卒、都立大中退、現在女子大で教鞭をとるエリート。

しかし、その発想は自由で、案外常識的でまとも。

いっそ、学生からもいろいろ学ぼうという柔軟性もある。

そんな著者が、当たり前すぎて(当たり前じゃなさすぎて)

今まで語られなかった諸問題を言及。270ページ。


本書は、ブログで掲載された作品を


「非婚・少子化」「働くこと」「メディアの語り口」

「グローバル時代のひずみ」「共同体の作法」「死と愛」などを考察


基本的にまじめな内容を語るが、

「どうやったら男を篭絡できるか(おとせるか)」、

「なぜ女性は、CanCam的めちゃモテファッションをするのか」

「健康志向人間のストレスに伴う不健康の考察」

など、ユーモア(ブラックも含む)溢れる内容や、

「若者はなぜ3年で辞めるのか」、「非正規雇用について」

「自分のために働いてはいけない」など、

20代、30代が直面する仕事問題も提示。


そして、内田樹は説く。

ある程度の社会組織であれば、5人に1人のまともな大人がいれば

どうにかその社会は周るはずだ。あわよくば、その一人になってと。


内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/
ラベル:読書 エッセイ
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2008年04月11日

エッセイ「勇気凛凛ルリの色」浅田次郎


元自衛官、ピカレスク(≒悪漢、悪道)人生を歩んだ直木賞作家

浅田次郎氏の爆笑エッセイ。


ちなみに、「勇気凛凛ルリの色」は「怪人二十面相」で有名な

「少年探偵団」シリーズから取ったものである。(本文より)

少年の日の浅田氏が、過去を随想しながら「タイトルについて」で

語っている。

 
ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団
勇気凛々ルリの色
のぞみに燃える呼び声は
朝焼け空にこだまする…… ♪


きな臭いウラ話、売れない作家の悲哀、三島由紀夫との出会い、

自衛隊への入隊、自衛隊、自らの巨頭についてなど56編を収録。

いわゆる、エッセイの中では浅田氏のエッセイが一番おもしろいと

思うし、おすすめである。ちなみに、シリーズは4作ある。

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2008年02月18日

私小説「新橋鳥森口青春篇」椎名誠

シーナさん(椎名誠)のサラリーマン時代を描いた私小説。


ある日求人広告に載っていた「編集員募集」という

言葉が気になったシーナさん。

なんとなく受けたその会社になぜか就職が決まった。


デパートの業報誌の編集を扱うその小さな会社は、

いいかげんで、豪快な人々があふれていた。


椎名さんたちは、深夜の会社に集まって酒を飲みながら

賭けポーカーに興じるのであった。


若き日のサラリーマンシーナさんの日常が清々しい

おすすめの物語。派手さはないが、素直に楽しめる。
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2008年02月02日

エッセイ「ひるめしのもんだい」椎名誠

武闘派であり、冒険家であるシーナさんこと赤マントの
爆笑エッセイ集シリーズ第1弾。気楽に読める39の短編集。

読みやすくておすすめ。さし絵は、沢野ひとしさん。

「息づまるどじょうすくいの宴だった」

サラリーマン10年選手だったシーナさんがかつて、味わった

男だらけの殺伐とした宴を語る。華がないのだよ……。

哀愁が漂っているのだよ……。


「カツオブシだよ人生は」

カツオブシを見るとコーフンしてしまうという著者が、

その魅力を熱く語る。たしかに、海外に出かける際に

カツオブシの素と醤油を大量に持参すれば飯に困っても

大丈夫だと納得した。


「ひるめしのもんだい」

選択肢が多いとかえって、どの店に入ろうか、何を買おうか

迷うよなぁ……というエッセイ。

ちなみに、私は食堂で常にカップラーメンとパンを食べる。

それを見た職場の方は妙に心配してくださるが、家では

ちゃんとした食事をしているので大丈夫である。多分……。


「気分はすっかりチンギス・ハーン」

日本で、ジンギスカンと言われるものはチンギス・ハーンだ。

それは、さておいてモンゴルにやってきたシーナさんは、

700年前のチンギス・ハーンと騎馬軍団のドキュメンタリーを

撮ろうと馬に乗る。甲冑を身にまとい行われた撮影は、

いわゆる日本の乗馬とは赴きが違った。圧倒的に。
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2008年01月21日

小説「14歳」千原ジュニア




14歳の僕は、パジャマを着て出歩く。進学校に入ったものの、
自分が本気でほしいものは見つからず、僕は学校に行かなくなり、
ついには自分の部屋に鍵をつけた。僕は、ずっと待っていた。

自分が戦うべき場所を……。
生きる目的がみつかるその日を……。
自分が進むべき道を……。

僕の中には、たくさんの虫がいるんだ。

僕は人とは、同じ生き方ができない。

タレント本だが、内容はいわゆる私小説的なまじめな内容の小説。

「14歳」が抱える苛立ち、あるがままに生きることの難しさ、
自分らしく生きるための意義を彼なりに吐き出す。

そして、ついに光は射す。約160ページの短編エッセイ。
ラベル:中学生 読書 小説
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2008年01月18日

エッセイ「モンパの木の下で」椎名誠 絵沢野ひとし

椎名誠さんの爆笑エッセイ。39編を収録。読みやすくおすすめ!

独自の視点によって、
馬の舌のうまさ、自称宇宙人のタクシードライバー、
酒の席での男同士のバカ話、150キロの巨漢と思われるオカマの話、
しょうもないゲロ話、格闘に対する熱い想い、
日本人のおかしな習性、直すべきJR問題、美人談義とブス談義、
箱物行政に対する義憤、困ったファンやオバサンの話などを語る。

「委細めん談」

麺好きである、椎名さんが麺のあれこれを語る。また、独自の
うどん調理方法を公開。麺に対する情熱を感じる。

「うどんとオバサン」

立ち食いうどん屋でのエピソードを語る。消費税はたしかにうざい。

「全日本いらないものベスト10」

題材がおもしろい。作品が16年前位に書かれた物なので、既に
ないものもあるのでは、オチである10位の「作家はいらない」は
身も蓋もない意見である。

「椎名一族の陰謀」

ファンを集めるという企画はあるが、「椎名」姓の人々を集めると
いうのはおもしろい。

全員椎名なので、作者は「誠」という名札をつけて、会に臨む。
彼らは、「椎名一族」の興隆をめざして陰謀を企てる。(冗談で)
また作者の前にエーザイの「椎名誠」さんが現われる。

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2007年12月15日

エッセイ「五体不満足」乙武洋匡

障害は、不便である。しかし、不幸ではない」 ヘレン・ケラー

先天性四肢切断という障害を持ちながら、親や周りの理解もあり、
すくすくとユニークに成長した乙武さんが描いた「生きる力」を問う
大ベストセラー。バリアフリーという言葉を、世の中に印象づけた
名作エッセイ。読みやすくて、おすすめです。

「五体不満足」は、小学校4年生以上で習う漢字にルビがあり、
世代を問わず沢山の人に愛されました。

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2007年12月05日

名エッセイ「旅の途中で」高倉健


健さんのエッセイはすばらしい。健さんの優しさと、
「人が好き」というのが伝わってくるからだ。
1996〜2000年のエッセイ。

「ゴッドファザー」のマーロン・ブランドの
演技に感動する話を描いた(ひとすじの涙)。

鉄道員の名演から貰った賞を、謙虚な姿勢で
受け取る話を描いた(心に鞭)。

アメリカで、全米を代表するシェフになった
松久さんを描いた(デ・ニーロが待った男)。

生き仏、大阿闍梨(だいあじゃり、世の中の
人の為に千日回峰行というものすごい修行を
成し遂げた者への尊称)との談話など映画話
を中心に語られる珠玉のエッセイ集。
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2007年12月03日

名エッセイ「南極のペンギン」高倉健




日本を代表する、国際的俳優高倉健さんのエッセイは、ほろ苦くて、かつ温かい気持ちになれるやさしい童話のような短編集。

世界で出会った素敵な人たちや、南極に生きるペンギンの力強さ、
島民総出で行われる石垣島の運動会など、すばらしい内容。

年齢を問わず、読んでいただきたいおすすめの名作小説。清々しい!
120ページ。さし絵あり。
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2007年12月02日

「あの頃ぼくらはアホでした」東野圭吾




直木賞作家の、小学生時代から就職するまでを描いた
おバカな短編エッセイ集。(作者は、1958年生まれです)

ワルの巣窟と、言われるような中学校に、知らずに入学
してしまった作者は、恐ろしい日常を送ることを余儀なく
される。(球技大会は命がけ)

無事(?)高校に入学した作者は、おしゃれに余念のない
女子高生に目を白黒。更衣室に潜入しのぞきをはかる…(笑)

どう考えても、万年金欠だった作者のアホな高校時代の話を
綴った(僕のことではない)など、抱腹絶倒の24編のエッセイと、
ガメラ監督金子氏との対談を収録。爆笑エッセイ。
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