2017年09月17日

小説『鮫島の貌 新宿鮫短編集』大沢在昌

元公安一種合格のエリート刑事鮫島は
上司との対立によって新宿署の現場の警官に。
自らの信念に基づき行動するハードボイルド刑事。
喰いついたら離れない鮫のような骨太の漢。
本作では、上司にあたる桃井との出会いと
水面下で行われていた現場での駆け引き。
恋人晶、宿敵仙田、名前をいいわけに稼業の医者を
継がなかったと公言する藪なども登場する。
変化球として両津勘吉、冴羽獠といった
大人気漫画の主人公も友情出演している。

新宿の街に超大物のボスとして君臨する「ドラゴン」。
ヤクザの大物や政治家すらも手にかけると言われる
謎の男は巨大ビルの50階で後継者を捜していた。
都市伝説的な噂を頼りに、ある日俺はその道にたどり着き…
「五十階で待つ」など全10編収録。
新宿鮫異色の短編集。光文社文庫
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2017年06月25日

小説『船上にて』若竹七海

未成年という立場を悪用する橋爪は同級生の姉に惚れ、
拒絶されたことから凶行に及ぼうとするが撃退される。
残念な男は残念ながら意識を取り戻し、逆恨み。
再び犯行を企てるのであった。【タッチアウト】

手紙を書くのももらうのも大嫌いという主人公。
これはきっと厳格でありながら冗談好きでもあった
はた迷惑な祖父の影響に違いない。
そんな彼女がどうしても手紙を書かねばならない
状況に追い込まれた。追い詰められた彼女は
手紙の書き方を記した一冊の本にたどりつき…【手紙嫌い】

言葉で、手紙で想いはどこまで届けられるのか?
5つの手紙に隠された秘密を追う【かさねことのは】

ナポレオンの頭蓋骨というインチキ臭い代物を
手に入れた苦労知らずのおぼっちゃんだったが紛失。
盗まれたと騒ぎ出し、居合わせた者を疑う。
巨大なダイヤモンドが忽然と姿を消した昔の事件を
解決した男の推理とは?【表題作 船上にて】
など8編を収録した短編集。講談社文庫
ラベル:若竹七海 短編集
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2017年04月28日

小説『ロック母』角田光代

【ゆうべの神様】
まるでビッグダディ的な両親の喧嘩が絶えず、
近隣の住人もろくな奴がいない。
閉鎖的な村に住む私は大学受験を控えた女子高生。
胸の中に殺意を隠しながら日々を送っていた。
とにかくこの街から出ていきたいと思いながら
恋人との逢瀬を重ね、勉強に身が入らない。
日々のもやもやは、いよいよ爆発し…。

【ロック母】
瀬戸内海の片田舎の島育ちの私は都会への
あこがれから大学進学を機に故郷を飛び出した。
思い通りにいかず、妊娠させた相手からは
堕胎を勧められ、結局ずるずる引き伸ばした結論は
島に戻りシングルマザーになることだった。
せめて家族や島の人々が祝福してほしい。
甘えたい彼女であったが両親はそのことに触れず
淡々とすごす日々。熟年離婚こそ断念した母だったが
私が高校時代日常を遮断するために聴いていたロックに
逃げ道を発見したらしい。何?この負の連鎖…。
生まれてくる子もきっと…。

【父のボール】
不幸は坂を転がるボールのようにやってくる。
近所で不幸が起きたら下に向かって不幸が起こる。
父の呪詛の言葉は大人になった今でも心に影をさす。
権力者として君臨した父もこどもの成長につれて
恥ずかしい父となり、母への仕打ち、そして死を通して
憎しむべき父と変わっていった。

父の死を見届けることで父とのつながりという
不幸の終焉を実感したい私は入院している父を見舞う。
最期の最期まで卑しく情けない父親の存在により
不幸をたまわる私が父の死を通して受ける感慨とは?

など7編を収録した短編集。この作品に流れる
テーマは怒りであり悪意である。海外に出かければ
異文化交流と言う名の理不尽な差別的扱いを受ける。
民族間同士の小競り合いに出くわす。
住民から嫌がらせを受け、怪文書が出回る。
爽やかさとは無縁の悪臭すら漂ってきそうな日常。
いがみ合いながら、でも人々は寄り添い合い、
結果傷つけ合うというハリネズミのジレンマ的恋。
壊れた世界でも生きていかなきゃいけない。ふぅ。
講談社文庫。
ラベル:短編集 角田光代
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2017年01月14日

小説『ちょいな人々』荻原浩

ワンマン社長の鶴の一声で金曜日にはカジュアルな
格好をするようにというお達しが出た。
おじさん課長である誠一は困惑するが、女性社員瑠璃、
世間のチョイ悪ブームにノセられ、おしゃれにめざめる。
その悲喜交々を描いた「ちょいな人々」。

某おもちゃ会社は画期的とも思える発明に着手したが
モニターの犬と猫、人々は大迷惑?
「犬猫語完全翻訳機」、「正直メール」。

隣家同士の庭、境界線をめぐるちょっとした小競り合い
「ガーデンウォーズ」、目の付け所がよかったのか
人気を博すことになった占い師の快進撃「占い師の悪運」、
いじめの本質、戦う姿勢を描いた「いじめ電話相談室」、
野球狂の父と恋人を持つ主人公は応援球団のすれ違いから
「くたばれ、タイガース」など7編を収録した短編集。
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2016年11月20日

小説『ジャイロスコープ』伊坂幸太郎



蝦蟇倉(がまくら)市にやってきた浜田青年は
「相談屋」稲垣さんの下で住み込みの仕事をすることに。
ときに物騒な解決案をお客様に提示する稲垣さんに
本当っすか?(本当にそれでいいのですか)と首をかしげる
浜田青年だったが、遂に仕事を与えられる。
『浜田青年ホントスカ』

もしあのときああしていれば…。
心ある人間ならば誰しも自らの言動を反省することはある。
日々繰り返される日常の暮らし。通勤にバスを使う主人公は
事件に巻き込まれる。バスジャックであった。
『if』

いろいろな事情からサンタクロースがクリスマスにやってこない
場合がある。そんなこどもたちのために、プレゼントを届ける
会社があった。縁あってこの会社に入った者の中には
プレゼントをもらったことのあるかつてのこどももいた。
冒頭で危機が報じられ、会社での会話となり、見事に帰結させる。
『一人では無理がある』

新幹線の清掃員として働くちゃんとした人たちが主人公。
彼らが尊敬する鶴田さんが急病によって倒れる。
パウエル国務長官によって勇気づけられていた鶴田さんを
心配しながら、彼らが仕事を通じて体験した不思議な出来事を描く。
『彗星さんたち』
など7編を収録。新潮文庫。
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2016年11月07日

小説『温かな手』石持浅海

人間の生命エネルギーを得ることで生きる知的生命体は
人の姿をし、推理力に長け、人と共生関係をつくっていた。
パートナーと同居している、ギンちゃんとムーちゃんは兄妹。
過剰摂取してしまったエネルギー(カロリー)を吸い取り、
感謝される超人だ。
この兄妹は人間生活で起こる殺人事件や不思議な失踪を
解き明かす高い考察力を有していた。

人間社会に正義はないと断じるギンちゃん、
冗談めかして事件を解き明かしていくムーちゃん。
彼、そして彼女のパートナーにそれぞれ選ばれた
畑、北西は美しい魂の持ち主でそういう人から得られる
エネルギーはおいしいらしい。
ちなみに魂が汚れているとまずいらしい。
じゃあ、松井秀喜とか体操の白井君とかはおいしくて
鳩山由紀夫とか森とかあの歌舞伎役者とかはまずそうだ。

パートナーからエネルギーを吸い取るときは愛情をもって
行われるので心地よいらしいが、悪意を持つ輩に対しては
苦痛を与えながら死に至らしめることも可能である。怖い。
読み手に手をつなぎたい相手を連想させる傑作ミステリー。
創元推理文庫
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2015年11月27日

小説『クジラの彼』有川浩

自衛隊員だって恋をする。
有川節全開のベタ甘制服シリーズは「空の中」「海の底」に
登場したあのキャラの番外編も収録。
ラブコメ好きに送る6つの恋の物語。内3作品をご紹介。

潜水艦を「クジラ」と呼んだことから合コンで親しくなった
恵美であったが、潜水艦乗りの冬原とはろくに連絡もとれない。
そんなとき、会社のウザくて無能な上司に気に入られてしまい、
つきまとわれる日々。私の王子様助けに来て!
表題作「クジラの彼」

恋人と会うために脱柵(隊から脱走)した過去を持つ清田。
そこには「ロミオとジュリエット」のような甘美だが
他人から見たらまぬけな喜劇的要因を含んでいた。
脱柵未遂の隊員に自らの脱柵を語り、その行動を諭す。
「脱柵エレジー」

パイロットの妻を持つ高巳が、自分のこどもに
ママとのはじめてのキスを教えなくてはいけなくなるが
ちょっと複雑なんだよなぁ…。
傑作「空の中」の番外編「ファイターパイロットの彼」
ラベル:有川浩
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2015年10月03日

小説『張込み』

【一年半待て】

髪結いの亭主となり、怠惰になった夫は働かず
遂には外に恋人を作る始末。保険外交員の妻が
必死に働いた金で酒と女に費やし妻子に暴力をふるう。
典型的なダメ人間に成り下がった夫に妻は…

【鬼畜】

腕の良い職人だった宗吉は妻と共に印刷所をはじめる。
需要が高まり仕事も増え、職工も雇えるようになり、
まとまった利益を上げるようになった。
そうすると、宗吉は外に愛人を作った。
そして妻にばれず8年の歳月が流れ、三人の子供もできた。
しかし、経営が傾いたことで愛人が乗り込んできて…。
たがが外れた三者は鬼畜と化した。

【カルネアデスの舟板】

第二次世界大戦を前後して、価値観は一転した。
学界における権力者の縮図も大逆転した。
かつて軍国主義で辣腕をふるった大鶴は追放され、
彼の弟子であった玖村は時流に乗り、すべてを手にしていた。
そんな玖村を頼って大鶴がやってきた。
昏い情熱によって玖村は大鶴に
自分の成功を見せつけていたのだが…。

など8編を収録した短編集。読み応えあり。
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2015年07月19日

小説【てふてふ荘へようこそ】乾ルカ

幽霊とシェアハウス?
敷金礼金なしで家賃はわずか13000円。
破格のアパートはワケあり物件だった。
はっきりくっきり見える幽霊と同居する住人たちは
いつしか本音を吐き、魂(心)を通わせる。
恋をした女性を急死させてしまう高橋の同居人は
愛らしい陽気な幽霊さやかであった。
傷心癒えぬ高橋は部屋を変えてほしいと申し出るが…。

なんだかんだで同居人同士うまくいっている部屋と
いつまで経ってもうまらない幽霊だけが住む部屋。
美声で世話焼きの大家によって生まれた不思議な空間
てふてふ荘でのヒューマンドラマは切なくて愛しい。
角川文庫
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2014年10月11日

小説『輝く夜』百田尚樹

報われぬクリスマスイブに真の幸せを噛みしめろ。

逆境に立たされながら、それでも些細なしあわせや

他者への思いやりをしめそうとする主人公たちの

清々しい姿が涙と感動を誘う短編集。

とにかく読後感のよさと清涼感漂う作品であり、

心地よいハッピーエンドと祝福の鐘が

聖夜の夜に鳴り響く。

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2008年09月11日

直木賞「暗殺の年輪」藤沢周平

「暗殺の年輪」

馨之介は、かつての盟友金吾と共に、藩の実力者嶺岡兵衛の

暗殺を命じられる。しかし、彼はこれを辞退。

その後、「父の死」に隠された悲しい宿命を悟った彼は、

己が道を開かんと立ち上がる。


主人公に芽生えた心の変化の描写と、緻密な構成、武家社会に

潜む非常な掟、そして理不尽を描いた直木賞受賞作。


「黒い縄」

姑の不気味な嫉妬におびえ、出戻り娘となったおしのは、

幼なじみであった宗次郎と出会う。

宗次郎には、「殺人」の容疑がかけられていて、

しつこく彼をお縄にしようとつきまとう元岡っ引きの地兵衛。

かねてより、宋次郎に好意をよせていたおしのは、

「殺人」をしていないという宋次郎の言葉を信じ、淡い恋心を

抱くのだが……。


「ただ一撃」

仕官登用にあたり、剣術の腕前を披露した猪十郎は次々と藩内の

人間を叩きのめす凄惨な試合を展開した。藩の矜持をかけて

猪十郎を叩きのめさんと藩内において、白羽の矢がたったのは

齢六十を超えた一人の老人。

無謀とも思えた老人の家族は、これを危ぶむが淡々とした様子を

見せる老人は、ふらりと修業の旅に出かける。


「くらい海」

「富獄三十六景」を描き、風景画の大家として名声を博していた

北斎であったが、人気に陰りもあり、不安を感じていた。

そんな北斎の耳に評判の絵師である安藤広重の「東海道五十三次」を

称える声が聞こえてきた。年老いた自分と、まだ若くして名声を

勝ち得た広重と謙虚な姿勢から垣間見える若さゆえの自信、

それでいて平凡にしか見えてこない絵を見るにつけ、北斎の心の中が

荒れた海のようにうずき出し、いつしか殺意に変わる。


「囮」

彫士をしながら、下っ引き(岡っ引き)をする甲吉が主人公。

殺人を犯した徳蔵を捕まえんと、徳蔵の恋人であるおふみを

見張る甲吉はいつしか、おふみに魅かれるようになる。

人間の持つ残酷な心をえぐるように描いた物語。
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2008年06月24日

短編集「タンノイのエジンバラ」長嶋有

はた目には誘拐。しかし、脅迫されているのは俺の方だ。


フリーターの俺は、職安で失業保険を受けながらハローワークに

通っていた。そんな折、同じようにハローワークに来ていた

母子家庭の女性から、一方的に小学生の女の子を押し付けられた。


俺は、実は隣に住んでいたその女の子に飯をごちそうしてやる

ことにした。母から一万円を渡されたし。

「なんか誘拐みたいだね。脅迫状書いてよ」

「嫌だよ。お前が俺を脅迫してるんじゃないか」


そんな心温まる楽しい会話の中で、俺は思った。

この子は、捨てられたんじゃないか?

そういえば、そんな映画あったよなぁ……と


表題作「タンノイのエジンバラ」 おすすめ



私たち3兄弟(姉、私、弟)は、久しぶりに出会った。

父が危篤であり、不倫の果てに結婚したミドリさんと、

社長をしていた父の遺産相続が問題になった。


私には、さして思い入れのない実家だが、姉にとっては

そうではなかったらしい。姉は、病的なまでに実家を

自分たちのものにしようと躍起になる。

ニートの弟はなぜか、変なことに詳しく、ときに私を驚かす。


解散してしまった家族。でも、やはり家族は家族なのだなと思った。

「夜のあぐら」



妻と姉とバルセロナにやってきた。離婚と、猫との別れと

不幸が続いた姉を励ます目的で、おしゃれでガウディの塔がある

この街にやってきたのだ。姉は元気になれるだろうか?

「バルセロナの印象」



ピアノ教室に勤めていた主人公だったが、いっそ違う仕事をと

パチンコ屋さんで働くようになった。自動車の駐車場にまんなかに

堂々と自転車を止める男を、上から眺めていた主人公は、

その男と恋愛ごっこを楽しむ。しかし、いつしか本気になっていた。

「三十歳」


の4編を収録。190ページ。(ハードカバーで)。文庫版あり。

流れるような文体で読みやすくおすすめ。

おすすめ同著として「猛スピードで母は」がある。
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2008年06月23日

短編集「てのひらの迷路」石田衣良

24のストーリー。前書き2ページ+7ページの本編形式を取り、

(一部異なる)、私小説、創作ホラー、恋愛ものなどを

織り交ぜた短編集である。

会社を辞めたことで、手に入れたやすらぎの日々、

取材や日常を通して出会った人々、

作家なりの苦労、自己の恋愛などを描く。


「ウエイトレスの天才」

お客様の注文したメニューを、数万単位で覚えていられる

(顔を見ると思い出すらしい)という天才に出会った著者は、

さっそく彼女を取材し、御飯をおごることにした。

無邪気な様子の彼女が胸に残る作品。


「タクシー」

愛想のよいタクシー運転手に乗り合わせた著者の逸話を収録。

一方的な会話形式でありながら、なかなか含蓄のある話である。


「イン・ザ・カラオケボックス」

彼女は片道3時間かけて、渋谷に訪れる。左右で色の違う

カラーコンタクトをつけて、奇抜な格好をした彼女であったが、

その姿は堂々としていて、清々しささえ漂う。

「黒い髪をして、しっかりした服装をしていた時、

 私は生きた心地がしなかった。服装変えて、渋谷に来るように

 なったら、人と同じにしなくていい、自由でいいって思えた」


「I氏の生活と意見」

人よりもずっとたくさんの給料をもらいながら、

仕事に対して俯瞰的に、生きる手段としてしか考えられなった

I氏は会社を辞めた。そして、作家の道を踏み出すのだった。

I氏は、基本的に楽天家だった。

読書と音楽に関しては、仕事にはない情熱を注いでいたが、

実際に文章を書いたことはなかった。I氏はとりあえず、

ジャンルを決めずに賞と名のつくものに片っ端から応募した。

文章を書くのは楽しかった。
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2008年06月18日

小説「陰陽師 付喪神ノ巻」夢枕獏


10世紀の京の都を舞台に、晴明・博雅が鬼退治を行う

人気シリーズ第3弾。約310ページ。


「陰陽師」、「陰陽師2」はコチラから。
http://book0001.seesaa.net/pages/user/search/?keyword=%89A%97z%8Et&vs=http%3A%2F%2Fbook0001.seesaa.net%2F&fr=sb-sesa&ei=Shift_JIS


「瓜仙人」

老人が植えた、瓜の種はたちまち芽を出し、ずんずん成長し、

実をたくさんつけた。一部始終を見ていた博雅は、その不思議な

体験に首をひねるばかりだった。


「鉄輪」

待ち続けた男は、他に女をつくってしまった。

焦がれ続けた女は、嫉妬に狂い、人が鬼になる手前の

生成(なまなり)になり、五寸釘と鎚を携えて

「丑の刻参り」を行う。博雅のやさしさが心地よい作品。


「這う女」

男は、あやしい女からあやしい箱を渡された。

そして、ある女性に渡してほしいと頼まれる。

家に帰ってから、男の妻があやしんでその箱を

開けるとグロテスクすぎるものが入っていた。

二人は、いつものように厄介ごとをされる。


「迷神」

晴明のライバルとも言える、強力な力を持つ陰陽師道満登場。


「ものや思ふと……」

絢爛豪華な歌合せ。そこから起こった悲劇。赴き深い作品。


恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり

 人知れずこそ 思ひそめしか     by 壬生忠見


忍ぶれど 色にいでにけり わが恋は

 ものや思ふと 人の問ふまで     by 平兼盛 


歌合せに負けた忠見は、飯が咽を通らず餓死。そして亡霊に。


「打臥の巫女」

美しい占い師「打臥の巫女」は、藤原道長の父にあたる兼家に

忠臣を申し上げる。

「いいか悪いかはわかりませんが、瓜がみえます」

今まで、巫女の占ったことは悉く当たっていた。

兼家は、大好物の瓜を買うのだが、なんとなく口に入れることが

できずに、晴明に助けを求めた。

二人の会話から、友情が垣間見えるこそばゆい作品。


「血吸い女房」

さるお屋敷に、現われる怪物は寝ている女房たちの血を吸う。

吸われた者は、次の日血の気をなくし、ふらふらになると言う。

例によって、二人の所に相談が舞い込むのだった。
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2008年06月12日

小説「陰陽師 飛天ノ巻」夢枕獏


安倍清明、博雅が妖怪退治をする人気シリーズ第2弾。

「天邪鬼」

年の頃は、10歳程度。不気味な佇まいを見せる
天邪鬼(あまのじゃく)が現われ、通行人の邪魔をする。

「陀羅尼仙」

「人は、仏にもなれないし、ましてや仙人になれない」
と清明は、言い切った。仙人を夢見た男が出した結論とは?


「鬼小町」

小野小町。絶世の美女ともてはやされた彼女も年をとる。

その情念は消えることなく、小町は鬼となり清明・博雅の
前に現われる。

など、短編7編を収録。博雅の詳細を語る
「源博雅川橋にて妖しの女と出逢うこと」などもおすすめ。
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2008年06月10日

芥川賞「ブエノスアイレス午前零時」藤沢周

場末の旅館で働く孤独な従業員と、
盲目の老婆が出会った。

「温泉卵みたいな、においがするの……」

事実主人公カザマは、毎日のように名物の温泉卵を
お客様に提供していたし、自分でも食べていた。

「ブエノスアイレス、アルジェンティーナ」

不思議な言葉をつぶやく老婆と、カザマが踊るとき
雪が舞った。ブエノスアイレスの雪が舞った。


屋上にあるプレイランドに配属されたオレは、
一種世間から隔絶された感のある職場から解放
されてみたいと考えていた。こどもとゲームと
犬と猫に囲まれ、屋上から見えるのは地平線。
開放的でありながら、どこか物淋しい屋上。

そこには、一匹のポニーがいた。ほとんど動かず、
感情を表さず、超然としたポニー。

ある日、オレはすべてを解放せんと試みるのだが……

「屋上」、表題作「ブエノスアイレス午前零時」の2編を収録。
淡々とした作風、派手さはないが描写力の高いおすすめの芥川賞。
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2008年05月26日

小説「月のしずく」浅田次郎


「月のしずく」

ただただ毎日を地道に地味に、まさに
アリンコのように働いて生きてきた。
コンビナートの荷役(パッキン担ぎ)を
続けてきた男の前に、十五夜の晩、美女が
現われた。そうまるで、月の住人のような。


「銀色の雨」 おすすめ

不幸に負けずに努力を続けてきた勤労青年。
だが、ふとしたことがきっかけで、進むべき
レールからずれてしまった。年上の女性の
アパートに転がりこんだ彼は、その日暮らしの
生活を送っていたが、そんな彼の前にまるで
ピストルのような男が現われる。

彼は、実際に人を殺している組の厄介者であり、
主人公は彼の面倒をみることになる。

おっかながりながらも、主人公は次第に男に
あこがれに似た思いを抱くようになる。

たくさんの人の「やさしさ」に包まれて、
主人公は自らの進むべき道を模索する。


「ふくちゃんのジャック・ナイフ」 おすすめ

ふくちゃんには夢があった。ブラジルに渡り、
牧場主になるのだ。少年だった僕(主人公)に
だけそっと秘密を打ち明けるふくちゃん。

ふくちゃんには、恋人がいたが彼の心酔する
裕ちゃん(石原裕次郎、都知事の弟)は、
絶対恋人を連れて行ったりしないはずだ。
置いていくと、ふくちゃんは言い切る。


紆余曲折を経て、「あるぜんちな丸」に乗り込む
ふくちゃん、その時……。


など7つの短編を収録。約330ページ。
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2008年05月10日

小説「インストール」綿矢りさ




私は、特別だ。特別なんだと信じたい。だけど、やっぱり
私はフツーの女子高生でしかなく、代わりばえしない存在。
一生懸命働いても、まともにアルバイトすれば700〜800円
しかもらえない存在でしかないんだ。

ある日、3年生の私は受験とか高校とか生活とか、もろもろの
ものを投げ出すことにした。とりあえず、私は家にあった
おじいちゃんとの思い出のパソコンやマンガ「バガボンド」や
机といった家にあるすべてのものをゴミ捨て場に運んだ。

そして、そこでカズヨシという小学生にあった。カズヨシは
私のパソコンを持っていった。

カズヨシには、若くて、少しずれたお母さんがいた。カズヨシの
実の母ではなく、不器用で、カズヨシは戸惑っていた。今考えたら、
カズヨシがあやしい世界に踏み込んでしまったのは、この人の
せいかもしれない。私はカズヨシと手を組んで、押入れの中で、
パソコンを介してのひともうけを企てる。私たちは、大人の世界を
垣間見る。さくっと読めちゃう125ページ。

「沈黙」をむりやり埋めてしまうくだりや、不恰好さを伴う不器用さ
に対する考察などがおもしろい。内容は、ちょっと官能的。



今日も俺は、プレゼントを与える。こうすることが、俺を彼・彼女に
つなぎとめる最大の方法であり、手段だ。なんだかんだ言っても、
プレゼントをすればみんなは、俺に対して悪感情を持たない。
そんな俺に、好きな人ができた。でも、彼女にはいわゆる値の張る
ようなものでなく、ちょっとしたものを贈りたい。心がこもった
ようなものを……。醒めた心に宿った、熱い心。35ページの短編。
「You Can Keep It」
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2008年05月06日

短編集「見知らぬ妻へ」浅田次郎


「下品な音を出すな」と、下劣なマエストロから言われた
僕は、詫びるかわりに、タクトをマエストロの顔に投げ返した。

必死で練習に明け暮れた僕だったが、そのことがきっかけで
大きなチャンスをつぶしてしまった。

一人のチェリストのその後と、彼を頼る多くの人たちの想いが
交錯する物語。
そして、僕はマエストロになった。覚悟はできている。
「スターダスト・レビュー」



今日も、ぼったくりバーに連れ込まれた客が、酒に睡眠薬を
入れられ、金を奪われ、路上に放り出される。

主人公花田は、不倫の末家族と別れ、今はキャッチをしていた。
そして、10年間、毎月10万円の仕送りを続けていた。

最近、娘が花田といっしょに暮らしたいと言ってきた。どうやら
妻が現在つきあっている男と近々結婚するらしい。娘は、
一縷の望みを掴もうと、必死に花田に呼びかける。家族に戻ろうと。

そんな花田の元に、「偽装結婚」の話が舞い込む。
出稼ぎに来ている中国人と結婚してほしいというのである。
なかば強引に話は進み、花田は李という女性と結婚をした。
李は、必死に生き、国に10万円の仕送りをしていた。
それは、大晦日の夜のことだった。

李は、本当に美しい女性で、花田は家族というものの意味を
見出した。そして、彼女を愛し始めていた。しかし……。

「純情」故に傷つくのであれば、鈍くなりたいか?答えは否。
表題作「見知らぬ妻へ」


他6編を収録した短編集。前編を通して、ほろにがく切ない。
おすすめ度合いとしては、「鉄道員」「姫椿」の方がおすすめ。
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2008年03月26日

直木賞「白球残影」赤瀬川隼

元記者の主人公が、30年前に22勝というすばらしい成績を

あげながら、突然、「引退」してしまったピッチャーを発見した。

彼に好感を抱いていた主人公は、彼と野球談義に花を咲かせた。

だが、「誤解」によって、話は打ち切られてしまう。

後日、誤解が解け、かつてエースだった男がたどった意外な人生が

明かされる。感動的な物語。


他に、戦後、就職しながら東大をめざす若者の青春を描いた

「夜行列車」など全5編を収録。

特に、往年の野球ファンや、野球好きの方にお薦めの短編集。
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2008年03月15日

直木賞「思い出トランプ」向田邦子 

「かわうそ」

脳卒中で倒れてから、妻の顔がかわうそのように見えてきた。

快楽のために、魚を沢山殺すという「かわうそ」のように。

「許されぬ嘘」を否がおうにも思い出した主人公に、

湧き起こる衝動。静かなスリルが怖く、ぞくぞくします。


「犬小屋」

妊婦の達子は、犬がきっかけで家族ぐるみのつきあいをしていた、

魚屋のカッちゃんを電車で見かける。しかし、声を掛けることが

できなかった。


「花の名前」

まじめで専門バカの夫は、花の名前などほとんど知らないような

男だった。夫の「先生」になった主人公。銀婚式を迎えた妻の前に、

見知らぬ女が現れて……。

などを収録したおすすめの短編集。13作品。直木賞。
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2008年03月12日

短編集「ダックスフントのワープ」藤原伊織


突然訪れる「悲劇」と「別れ」をテーマに描かれる4つの物語。

280ページ。ハッピーエンドは嫌いと言う方には、特におすすめ。


「ダックスフントのワープ」

大学の心理学科に通う僕は、聡明だが自閉的な少女マリの

「家庭教師」。僕は、マリの心を開くためダックスフントを

主人公にした物語を聞かせることにする。いわゆる家庭の事情を

抱えるマリであったが、少しずつ回復の兆しをみせていく。

しかし……。「信頼」とか、「世の無情」とかを思う。


作品名セリフ抜粋

笑顔と信頼は隣同士のかけら。このふたつが背中をよせあわなきゃ、

世界全部が壊れてしまう。〜ここであきらめちゃ、信頼を裏切る

ことになる。


「ノエル」

翔子とノエルは、腹違いの姉弟。ノエルの美貌を見た人は一様に

賛辞の言葉を惜しまないが、翔子にはそれが腹立たしい言葉として

しか思えない。翔子は、ノエルに贈られた忌まわしい

アンティーク人形を破壊することにした。

いつだって、傷つくのはこどもの方だ。

いろいろ考えさせられる作品。


「ユーレイ」


叔父の骨董屋の手伝いをしている僕。そんな僕の家にユーレイは

やってきた。彼女は、4時間だけ「こちらの世界」におわします。


友達が皆無な僕だったが、なぜか彼女とは仲良くなり不思議な

心地よい時間をすごすことになるのだが……。
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2008年02月29日

短編集「月下の恋人」浅田次郎


「告白」

高校生の私には、親友がいる。

饒舌で一本筋の通った考え方をする奈美だ。

高校生の私には、秘密がある。

今日私は奈美に秘密を話す。

女性にとっての「親友」と男性にとっての「親友」の

違いとは?感動系。


「忘れじの宿」

本気で愛した女性だから、忘れたくても忘れられない。

杉田は、忘れじの宿に訪れて、「記憶」を消すかどうかを

尋ねられる。杉田の出した答えとは……?


「黒い森」

長い海外出張から戻ってきた竹中は、社内で出会った

小夜子と恋愛の末、結婚を申し込み結婚が決まるのだが……。


「小夜子って一体何者?」と読んだ方は思うに違いない。


「月下の恋人」

すべての人は別れる運命にある。

若い僕らも別れるために、旅行にでかけた。

彼女は、心中してほしいと僕に告げた。

僕もそれでいいか……と思ったのだが。


相変わらずうまいなぁと堪能しました。

11の短編集。30ページ弱の作品ばかりなので、

さくさくっと読めます。安定感は流石。

電車や、昼休みなどに読むのにおすすめの一冊。
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2008年02月27日

直木賞「帰郷」海老沢泰久

F1のメカニックとして選抜された主人公は、イギリスへ。

輝かしい思い出を作り、日本に帰ってきた。


しかし工場の仕事をしながら、F1で扱った怪物エンジンを

思い出し、仕事に身が入らない。


いつしか、家族・恋人と距離を置くようになってしまう。


テーマは、「時と共に色あせてしまう思い出」。

不器用なエンジニアのほろ苦く切ない物語。表題作(帰郷)

全6編の短編集。ハードカバーで230ページ。

おすすめの同著として、「F2グランプリ」、「F1 走る魂」、

傑作野球小説「監督」があります。

海老沢と言えば、エビちゃんですが、作家の方もいいです。
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2008年02月12日

短編集「約束」石田衣良


生きているとつらいことや悲しいこと、理不尽なことに出会う

ことがある。壁にぶつかって、立ち止まったりすることもある。

主人公たちは、それらを体験しながら、それでも

前へ突き進もうと生きていく。読後感のよい作品を集めた

7つの「再生」と「感動」的な物語。特に表題作「約束」はイチオシ。


「約束」おすすめ

幼なじみであり、唯一無二の親友、そして自分のあこがれの

ような存在であった同級生の死。

「彼はボクをかばって死んでしまった。

ボクが被害者になればよかったんだ」

少年は、決して感じる必要のない自責の念にかられてしまい、

自傷行為を繰り返す。

「ボクも死んでしまいたい……」

最悪の選択を選びかけた少年の元に現われたのは、

たくさんの鮮やかな思い出を残してくれた少年の親友だった。


池田小事件に深い怒りと悲しみを覚えた作者渾身の一作。

「約束」って言う言葉の意味を考えさせられた。感動・号泣。


「青いエグジット」

左足を失ってしまってから、わがまま・横暴を繰り返す息子。

事実上の左遷によって、定年間近でありながら苦境にたたされた

主人公。そして、息子のわがままにおろおろする妻。

家庭と家計が崩壊間近という悲惨な苦境に立たされた家族。

いっしょに出かけた本屋に貼られていた、「スキューバダイビング」

のポスターに興味を示した息子の横暴とも思えるわがままによって

家族は痛い出費を迫られることになるのだが……。

美しい景色を見て、この景色を誰かに見せてあげたいと思った

ことはありますか?


「ひとり桜」

日本人は桜が好きだ。満開の桜が好きな人もいるだろうし、

散っている様が好きな人も、まだ蕾の状態が好きな人もいるだろう。

カメラマンである主人公は、毎年のように撮りにくる桜があった。

9分9厘がこの桜にとって、最高の被写体になる。彼は、悲しみを

乗り越えようとしているひとりの女性と出会った。

写真には写らない部分があってもいい……。

写真には写らない美しさがある……。
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2008年01月27日

短編「図書館の神様」瀬尾まいこ


清は、名前の通り「きよく、正しく」をモットーに生きていた。

バレー少女だった彼女は才能に溢れ、高校卒業後もバレーを続ける
人生設定をたてていたのだが「事件」をきっかけに、バレーを辞めた。

そして、4年の月日が流れて、海なし県から海の見える高校に教師と
してやってきた。

高校のバレー部の顧問になろうと考えていた清だったが、彼女が
任されたのは「文芸部」だった。

清は、文芸部で一人活動する垣内君が中学校時代はサッカー部の
キャプテンであったことを知り、疑問を感じながら顧問を行う。

清の不倫の恋や、くったくのない弟拓実とのやりとりを描きつつ、
満たされない気持ちと、少しずつ「傷」から立ち直っていく過程を
描いた物語。


感想 
 
 理由もなく、走り出したくなることは確かにあります。

 「罪悪感」の感じ方や、その度合いは人それぞれですが、
 主人公たちのように不器用な人間って好きです。

 清が、垣内君によって「情熱」を取り戻していく過程がよい。

 漱石の「こころ」を引用しているのですが、これが物語の複線に
 なっています。

 160ページ程度と短く、読後感もよいです。
ラベル:高校生 小説 読書
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2008年01月26日

短編集「夕方らせん」銀色夏生

透明感あふれる不思議な文章である。たよりないようで、
計算されているようで、独自の世界観を持つ16の短編集。

「小夜鳥姉妹」

鳥子と、小夜子は「死んじゃったごっこ」に興じる幼い姉妹。

祖父から渡された「万華鏡」を覗きながら、彼女たちの10年後、

20年後をさらりと描いた物語。おすすめ。


「Kの告白」

K太郎は、僕の友達だが決していい奴なんかじゃない。

でも一見ぼっちゃんぽいから「いい人ね」と言われている。

そんなK太郎に僕の好きなS嬢が恋をした。あぁ失恋だ。

しかし、意外な様相を呈する。Kが告白することには……。



「草むらの中 星がでて」

夕一兄は、底抜けに明るい。

葉一兄は、虫の研究家にして暗い。

僕理一は、大学生で名前の由来は麻雀の「リー」からだ。

風変わりな母を持つ僕の家庭に、「お嫁さん」候補の女性が

やってきた。はてさて、恋の行方は……。


「ウエタミ」

海で出会ったウエタミは、不思議な少年。

ユリアは、何かしら心ひかれるものを感じた。おすすめ。


「ハーバービュー」

母子家庭のお母さんが、旅行費用を掠め取りにかつての「恋人」の
元に出かける切ない物語。着地点もとい読後感がよい。

 「何か探すさ、何だってできるさ。やろうと思えばね」
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2008年01月19日

短編集「初恋温泉」吉田修一


温泉に訪れた男女5組の物語。180ページ。

「初恋温泉」

光彦は、レストラン経営者。妻の彩子と共に、熱海の温泉に
やってきたが、彩子から「離婚しましょう」と言われる。

動揺する光彦に、「あなたは、自分のいい時しかみせてくれない」
とつぶやく。


「白雪温泉」

若菜と辻野は、青森の温泉にやってきた騒がしいカップル。
口から生まれたようなおしゃべりな男辻野と、その倍はしゃべる
若菜は「離れ」の間を希望したが、その部屋はおとなりの部屋と
襖一枚隔てただけの部屋で、二人は激しく後悔した。

そして、おとなりの二人組がやってきたが彼らは驚くほど「無口」
なカップルだった。


「ためらいの湯」

ダブル不倫によって勇次と和美は、真夏に京都の温泉にやってきた。

罪悪感抱きながら、満たされぬ湯につかぬ湯に入る主人公が印象的。


「風来温泉」おすすめ

保険の外誘員である主人公恭介は仕事の鬼。社内では優秀な成績を
維持し、妻との生活は豊かなものであったが、いっしょに行くはず
だったのに妻に「行きたくない」と言われ激しく動揺。

恭介は、給与明細を見て一喜一憂した日々や、保険の契約を結ぶ
たびに自分にかかってくる電話が減っていった事実を思い出す。
切ないが、真に迫るものがありおすすめ。


「純情温泉」おすすめ

高校生カップルが、温泉に行くという物語。

健二は、大好きな真希と恋愛にいそしむ。部屋で裸だった健二を
発見した親父は、勘違いして健二を蹴り倒す。

ほのぼのとした高校生カップルの物語。

とりあえず、健二が真希を好きだと思う今の気持ちは本当だ。
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2007年12月29日

短編小説「ピアニシモ」辻仁成

中学生の持つ孤独と、苛立ちを描いた傑作小説。

転校生を繰り返す孤独な僕は、僕にしか見えない
「ヒカル」という少年を作り出す。底なしに明るいヒカルは、
僕の支えであり、殺伐とした転向先での唯一のオアシスだ。

冷たい視線や、悪意にみちあふれた教室、家庭は崩壊寸前。
僕は居場所を求めて、ヒカルといっしょに街を歩く。

ぼろぼろになりながら、「ヒーロー」という名の偶像に
追いすがる少年が、自立と成長をめざす切ない物語。

その姿は、とても痛々しくて心を打つ。そして、心の荒廃が
彼の転機をうむ。

読んでいて、「楽しい」と感じる作品ではありませんが、
芥川賞的な文章のうまさ、透明感を感じる作品です。

伝言ダイヤルで知り合ったサキは、今ならネットでの出会い
になるのでしょう。初めて読んだのが中学生の時だから、
思えば時代が大きく動いたのだと改めて感じます。

第13回すばる文学賞受賞作。

同著として、「海峡の光」もおすすめです。
ラベル:小説 読書 中学生
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2007年12月27日

小説「カモメのジョナサン」リチャード・バック

ジョナサンは、ただ飛ぶことが好きだった。

他のカモメは、餌を捕る目的の為に「飛行」
をしていたが、ジョナサンはより早く飛ぶ為
その滑空技術を磨き続けた。

異端視扱いされたジョナサンは、カモメの群れ
から追放されてしまうが、新しい仲間によって
新たな世界の扉が開かれる。

そして、ジョナサンは更なる飛躍を目指す。

カモメを擬人化し、72年にベストセラーに
なった寓話です。ジョナサンが特別だった
わけじゃなく、‘きっかけ’によって誰でも
力強く生まれ変われるんだと思います。

挿絵が多く、100ページ程度と短いので、
さくっと読めます。新潮文庫を参考にしました。
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2007年12月26日

直木賞「私生活」神吉拓郎

自分だけが知っていると思っていた釣りの穴場に先客がいた。

勝手な話しかもしれないが、「ここはオレの場所」的なものを
抱いてしまうものだ。名人釣り師の語る、悲しくも恐ろしい物語。
「釣り場」
 
突然ふらっといなくなり、四年ぶりに家に帰って来た夫清治。
妻喜久子は、あえて何も尋ねなかった。秀逸な題材「鮭」など

全17編を収録した短編集。
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2007年12月25日

短編集「空飛ぶ馬」北村薫


クリスマス会の時に、子供たちに贈られた「木馬」が
夜の間だけ消えた謎(空飛ぶ馬)

など全5編。約330ページ。
文学部の女子大生である私が主人公。

教授の紹介で、噺家円紫師匠と知り合いになった私は、
ごく日常的な観察によって見えてくる、不可解な謎を
手繰り、そこに潜む「真意」を探り出す。

喫茶店で起こった、競争するかのように紅茶に砂糖を
入れあう女達の謎。(砂糖合戦)

仲のよい3人組が遭遇した、愛らしい少女と事件。
(胡桃の中の鳥)

随所に落語、シェークスピア、アンデルセン・グリム
童話などを織り込んだ傑作小説。
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2007年12月22日

短編集「トリップ」角田光代


中途半端な平凡な町で暮らす、ほんの少しだけ
ズレた感覚を持つフツーの人々の短編集。

・変化を求めて「駆け落ち」しようともくろむ女子高生

・あやしいクスリに手を出し、出産後も辞められない主婦

・新生活を求め、ヒモ同然の生活をしている男

・パッとしない肉屋に嫁ぎ淡々とした日々を過ごす女性

・片思いが昂じて、女性を見守り続けるストーカーまがいの男

など、全10編を収録した短編集。230ページ。

ヒモの男と、片思い男の話がおもしろいと思います。
ラベル:小説 読書 短編集
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2007年12月16日

小説「松ヶ枝町サーガ」芦原すなお

舞台は、1960年頃の香川県。

西鉄ライオンズの大投手稲尾に魅せられた、小学生の僕
(ツーちゃん)は、三角ベース(少人数野球)や、メンコ・
たこあげ・お祭りと……遊ぶことに大忙し。

駄菓子屋の息子である同級生マサヨシたちや、船乗りに
憧れるクンちゃん、水泳だけはすごいタケミ先輩らと、
元気に遊びまわる充実した日々を送る。

腕はいいが、悪ふざけする建具職人で博打好きの父と、
クンちゃんのエピソードが特によいです。

約265ページ。短編連作。おすすめの短編集。

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2007年12月14日

短編集「最後の息子」吉田修一


小説「最後の息子」は、
「最後の息子」、「破片」、「Water」の3編を収録。
70〜80ページ。

「最後の息子」
 
 僕は、新宿のゲイ「閻魔」(えんま)ちゃんと同棲中。
 時々、ガールフレンドとも会いながら、気楽な
 モラトリアムの日々を過ごしている。
 包容力、経済力のあるえんまちゃんを母にどう説明
 しようか。そして、僕のビデオ日記に残された映像とは…。

「破片」

 東京に行っていた兄が、故郷に帰ってきた。一年ぶりの
 兄は、なんか顔つきが変わっていた。 
 
 弟は地元に残り、働きながら「恋」に明け暮れていた。
 弟の必死な恋を目の当たりにして、兄は自分が本気で
 恋をしていないことに気付かされる。

 弟の恋は、いいか悪いかは別にして「一途さ」を感じる。

WATERおすすめ作品

 長崎の高校水泳部員たちを、爽やかに描いた青春小説。
 毎日、水泳の練習に黙々と取り組む凌雲はキャプテン。
 旧来の上下関係を忌み、部員は仲良く、明るくをモットーに
 楽しいチーム作りを心掛ける。泳げない省吾の
 入部を快諾し、練習に付き合ってやるやさしさを持つ。

 凌雲たちは、メドレーでの全国大会をめざし、チーム
 一丸になって練習に明け暮れるかたわら、恋に悩んだり、   
 家庭の問題に巻き込まれながら、運命の日を迎える。

 事故で死んでしまった凌雲の兄の、残した日記が印象的。
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小説「日曜日たち」吉田修一


短編連作方式。190ページ。

無職でふらふらしている自分と、女医を目指す彼女との日々

親友からの電話によって、深夜彼女の元に駆けつけることにした女

久々に出会った父親と、酒を酌み交わす男。

女性と付き合うたびに、職と住所が変わる男。

自らの不幸な体験から、相談員としての道を歩み始めた女。

ありふれた日曜日であっても、5人の主人公にとって、
それは特別な意味合いを持つ日曜日。

5人のそれぞれの過去を繋ぐ、家出小学生の兄弟。

読後感のよくさらりと読める一冊。
ラベル:小説 読書 短編集
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2007年12月13日

短編集「とかげ」吉本ばなな


「とかげ」 おすすめ
 風変わりなとかげに恋をした、風変わりなカウンセラーの僕。
 暗い過去と、心の痛みを乗り切って、再生していく秀逸の物語。

「血と水」
 友人に騙されたことから、両親が宗教にはまり、18歳まで
 小さな村で共同生活をしいられてきた主人公は、村から逃げ出し、
 「自立」する。

 少しずれた私は、「コイサンマン」と呼ばれ変わり者として人気を
 博し、順調な2年間を送っていた。昭と出会うまでは……。

 温かい気持ちになれる作品。

「キムチの夢」
 不倫の恋は、大抵成功しないというが、主人公は不倫の恋が実り
 結婚することになった。キムチの匂いを嗅ぎながら、二人は
 似たような夢を見る。
ラベル:短編集 恋愛
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2007年12月05日

恋愛短編集「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」江国香織



私たちの「ばばちゃん」の命が危ないらしい。病院に訪れた私と妹、母をばばちゃんは病院のベッドで静かに
待っていた。医者の話では、あと少しの命だという。しかし、
私たちは悲観にくれるわけではない。悲しみを乗り切る術を
知っているからで、ばばちゃんを愛していないからでは断じてない。
(泳ぐのに、適切でも安全でもありません)

など愛にためらわない、10の女性の物語。
ラベル:短編集 恋愛
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2007年12月04日

小説「予知夢 よちむ」東野圭吾

「探偵ガリレオ」シリーズ第2弾。

探偵ガリレオの紹介文はこちらです。
http://book0001.seesaa.net/article/70746394.html

小さな工場を経営する忠昭は、「金の回収」に行くと出かけて、
翌日ホテルで死体として発見される。睡眠薬を飲み、首に異常な
跡があったことから、警察は絞殺と断定。忠昭には1億円という
保険がかけられており、アリバイを持たない妻に疑いの目が向け
られる。忠昭の娘が、忠昭が殺されたとされる犯行時間に見たと
いう「火の玉」の証言から、科学探偵湯川は一つの答えを導き出す。
名作ミステリー。(絞殺る しめる)

自分の向かいのマンションに住む愛人が、首吊り自殺をした。
目撃者は3人。男と妻と友人。とりあえずの聞き込みに出かけた
刑事達は、隣の娘が「2日前にも、同じ部屋で女性が首吊り自殺を
していた」と証言。「超常現象」関係で高い実績をあげる草薙刑事に
お鉢がまわる。草薙は湯川に相談。(予知る よちる)

など全5編を収録。約240ページ。ドラマ「ガリレオ」原作。

「容疑者Xの献身」(絶対おすすめ、直木賞)はコチラから。
http://book0001.seesaa.net/article/72665088.html
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ホラー「薬指の標本」小川洋子


「薬指の標本」 約80ページ

工場の事故によって、薬指の先を失くしてしまった私。

新しい職場として、「標本室」を選んだ。

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、3つのキノコ、火傷の傷跡……。

人々の思い出を、「標本」の中に封じ込めていく標本技術士と私。

ある日、私は技術士から素敵な靴を渡された。
「毎日この靴を履いてほしい」という彼の言葉を聞き入れ、
靴を履くと、ぴったりだった。
そして、二人の愛は、ひそやかに進んでいくのだが……。

意味深なラストが印象的な、ちょっと怖くて素敵な小説。
私は、彼の愛を受け入れたのだと解釈しました。


「六角形の小部屋」 約90ページ

スポーツクラブの更衣室で、私はミドリさんと出会った。

そして、六角形の語り小部屋に私は辿り着いた。

小部屋では、自分を見つめ、心を吐露できる。
不思議な空間で、私は自分自身と対峙する。

今日も、背中の痛みが私を襲う。

誰にも言えない自分の気持ちを、吐き出すのが目的の小部屋。
身も蓋もない言い方をすれば、「独り言」なのだが、主人公は
言葉にできないやるせない気持ちや過去に整理をつけてしまい
たかったのだと思う。おすすめの力作です。
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2007年12月03日

ミステリー「探偵ガリレオ」東野圭吾

警視庁捜査一課の草薙俊平は、説明のつかない難事件に直面。

若者の頭部がいきなり燃え上がるという「奇怪」な現象が起こった。

草薙は、友人である大学の物理学の助教授である湯川学に相談。
「科学探偵」の名推理に驚嘆。人気シリーズ第1作。

「燃える」 
「転写る」(うつる)
「壊死る」(くさる)
「爆ぜる」
「離脱る」(ぬける)の5編を収録。

1作品約60ページ前後。

ドラマ「ガリレオ」の原作。
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小説「偶然の祝福」小川洋子

小説家の私が主人公。短編連作。180ページ。

何の前触れもなく、叔母が失踪した。叔母には変わった趣味が
あった。彼女は、嘔吐袋を集めるのが好きだったのだ。
(失踪者たちの王国)

実の弟の死と、知り合った女性から聞かされたその女性の弟の死。
私は、その女性の話を参考に小説を書き、賞をもらった。(盗作)

私の最大の味方であり、最大の理解者であるお手伝いのキリコさんは、私のなくし物を探す名人だった。彼女のおかげで今の私はある。(キリコさんの失敗)

売れない作家の私にとって、数少ない熱狂的なファンである、
自称「私の弟」の男。影のようにつきまとう男に嫌悪感を覚える
主人公。なぜ、彼はこれほどまでに「弟らしい弟」なのだろうか?
(エーデルワイス)

犬のアポロが病気になった。動物病院に出かけたら聞きなれない
病名を告げられる。そういえば、恋人はアポロの毛を異常に嫌って
いたっけ……。アポロを心配しながら、そんな回想にふける私。
(涙腺水晶結石症)

リコーダー、万年筆、弟、伯母、恋人……。主人公は大切な物を
失くす一方で、アポロ、そして新しい命、息子とかけがえのない
ものも手に入れる。透明感溢れる、素敵な小説。
ラベル:読書 小説
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2007年11月30日

直木賞「号泣する準備はできていた」江国香織



主人公は強いふりができる位の「強い女」。別れた隆志への
愛情・憎悪を胸に、自分が死んだ時の墓碑銘を考えてみる。
甘美で、切ない表題作「号泣する準備はできていた」

15年という長く濃密な「不倫」関係。男の離婚が決まり、
楽しい旅行で終わるはずだった。しかし、余計な一言に
よって、ほころびが顔を出す。「そこなう」など透明感
溢れる繊細で甘美な12の物語。一つ一つの物語が、
大体20ページ位なので気楽に読める。
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2007年11月29日

短編集「セント・メリーのリボン」稲見一良


ハードボイルド短編集。テーマは、「男の贈り物」。
5編を収録。男たちは、自分の信じる道を行く。

「焚火」 おすすめ

やくざに追われる主人公が出会った、男気溢れる老人。
ささくれ立った主人公の心が、素直になっていく。


「花見川の要塞」ファンタジー

カメラマンは、未だに戦争を続けているという不思議な
おばあさんと青年に出会った。おばあさんたちの言う
思い出の「電車」と「青春」に彼は出会えるのだろうか?


「麦畑のミッション」軍事もの

「終着駅」おすすめ

赤帽(電車の荷物運び)が主人公。夢をかなえる、
思いがけないチャンスが訪れる。逃す手はない。


「セント・メリーのリボン」

探偵が主人公だが、ミステリーではない。猟犬や、盲導犬の
奪還を行う主人公の抱えるジレンマや戦いを描く。
ラベル:短編集 硬派
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2007年11月28日

小説「覆面作家の愛の歌」北村薫



覆面作家シリーズ第2弾。

天国的な美貌と、卓越した推理能力と、個性的な
多重人格者である御令嬢探偵の活躍を描く。

「覆面作家のお茶の会」

覆面作家新妻さんの担当編集者となった良介は、
彼女とともに、ケーキ屋さんで遭遇した「事件」の
謎に挑む。パティシエは、何故消えたのか?


「覆面作家と溶ける男」

近くで起こった小学生の誘拐殺人事件。
良介と新妻さんの知り合い、静さんの甥が
あやしい男に、「血液型」を尋ねられた。

男が言うのには、「血液型占いで、A型の人に頼み、
ポストにラブレターを入れてもらえば恋愛が叶う」
とのこと。僕らは、もちろん不審を抱いた。


「覆面作家の愛の歌」

劇の演出家として、天才ともてはやされる南条弘高。
南条の恋人だった天才女優が、殺された。捜査線上に
浮かぶのは、その言動などから自信家南条弘高ただ一人。

この難問トリックに、覆面作家が果敢に挑む。

の3編を収録。新キャラ歌って踊れる編集者
静さんと、僕の双子の兄優介の活躍にも注目。


第3弾「覆面作家の夢の家」(同シリーズ最終巻)

壊れてしまう愛と、より強くなる愛をテーマに
したミステリー。僕と覆面作家の愛の行方は……。
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2007年11月27日

ミステリー「覆面作家は二人いる」北村薫

世田谷の大豪邸に住む、可憐なお嬢様新妻千秋。

「自分の力でお金を稼いでみたい!」と、雑誌社に小説を応募。

作品には、旧時代的なちぐはぐな部分もあったが、

光る才能を感じた僕(良介)は、会って話をしてみることに。

才色兼備で、世間知らず、超内向的なお嬢様。

まさに「深窓の令嬢」という言葉がぴったりの小柄な新妻嬢に

どきまぎする僕。その美しさは、天国的。

しかし、一歩大豪邸を出た新妻さんは豹変。

暴力的で、ストレートな物言い、数々の武勇伝を持つ凶暴な虎に

なるのであった。そう、新妻さんは極端な「外弁慶」だった。


聡明な彼女は、高校の女子寮で起こった殺人事件、

小学生の誘拐事件、万引き(窃盗)事件などを次々と解決。

翻弄されっぱなしの僕と、魅力的な新妻嬢の活躍を

ミステリー初心者におすすめの物語。約220ページ

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