2015年01月18日

小説『風の中のマリア』百田尚樹

疾風のマリアは、オオスズメバチのワーカーとして

生きる誇り高き戦士。高度な社会性、役割分担がなされた

「帝国」(巣)の中でエサを待つ妹たちのために

多くのエサを狩り、肉団子にして巣に持ち帰り与える。

時には危険な相手である敵対するスズメバチ、オオカマキリ、

オニヤンマとの死闘や、鳥などの襲撃を受ける

死と隣り合わせの日々。交尾をし、子孫を残すために

生まれてきた他の虫たちと異なり、ただただ狩りをし、

女王バチや妹、巣を守り、繁栄させるためだけに生きるのは

ハチとアリくらいだが、それ故に強固で一枚岩な組織づくり、

種の保存(ゲノム)を可能とする。

(要約すると、自分の妹を育てた方が自らの遺伝子が

後世に語り継がれる可能性、割合が増えるのである)。

狩りに出かけるワーカーたちはどんなに生きても

一ヶ月ほどで命を落としてしまう。

またその多くは狩りによって亡くなる。

その非情なまでの戦いの日々という宿命を背負ったハチ、

そして多くのムシたちを擬人化させて描いたファンタジー。

しかし、同時に強力なバックアップメンバーである

「ハチ」の権威も加わり科学的要素もふんだんに

盛り込まれ、スズメバチの生態、形成される社会、

彼らと敵対するハチなどの存在、

種の保存など生命の大命題も絶妙に描かれ、

ストーリーに引き込まれる。

作中に登場する虫たちは教養を持ち、思想を持ち、

思考することもできる生命体である。

一寸の虫にも五分の魂どころか、思わず感嘆せずいられぬ

まさに魂を震わせる名著に仕上がっている。

解説は養老先生であり、また豪華である。

講談社文庫
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2014年12月21日

小説【三匹のおっさん】有川浩

還暦迎えた60歳のかつての悪ガキ三人組。
まだジジイと呼ばれ、好々爺に甘んじるほど
気持ちも身体も老いていない。
せめておっさんと呼んでくれ。

剣道のキヨ、柔道のシゲ、工業系頭脳派ノリ。
強力な三匹のおっさんたちは自警団を結成し
自分たちの目の見える範囲で
悪党たちを退治することにした。

平成版三匹が斬る的彼らの痛快な活躍は
彼らの孫である祐希や愛娘早苗も関わることになり
彼らや周囲の人々に多大な影響を与えていく。

年輪を無駄に重ねなかったチョイ悪親父たちの
馬力と含蓄、そして哀愁や、若者たちの成長。
きっと死ぬまで青春な彼ら三匹の生き様ご覧あれ。

文春文庫
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2014年10月25日

小説『塩の街』有川浩

世界が悲しみと混沌に包まれたとき

そこに確実にあったのは愛ではなく恋でした。


世界に飛来した巨大な塩によって壊滅的な被害を受け

人々の身体からは塩が吹き出し原因不明のまま死に至る。

絶望的な状況の中、本性を現し暴徒化した人々。

そして、塩害によってもたらされた莫大な被害は

人々の生活を圧迫し、明日への希望さえも奪っていく。

そんな中、絶対出会うはずのなかったはずの

陸自のパイロット乗り秋庭と女子高生真奈が出会い、

見えない絆で結ばれていき、恋におちていく。

世界の片隅でひっそりと生きる道もあった。

しかし、なぜかいろいろな想いを抱いた人が

彼らの前に現れ、そして消えていった…。

「世界とか、救ってみたくない?」

やってきた男の言葉は天使のささやきかそれとも

悪魔のそれか…。

そして運命の扉は開いてしまった。


あまりにもピュアすぎる有川浩のデビュー作にして

あまりにもすごすぎる名著。

やはりモノが違うなと唸らされる。

世界が変わることを是とするか非とするかではなく

どうありたいかを問いかけ魂に呼びかける作品。泣ける。


角川文庫
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2014年10月18日

小説『まほろ駅前狂騒曲』三浦しをん

便利屋を営む常識人多田と変人の居候行天の

迷コンビの珍騒動を描いた人気シリーズ第三弾。


人口30万人ほどの東京のベッドタウンまほろ駅で

便利屋を営む多田はおせっかいな性格が災いしてか

厄介な仕事や厄介な人物を引き受けてしまうことが多い。

高校の同級生の行天もその一人。

老若男女誰もが「変人」と認める彼を居候兼助手として

家に置いてしまっている多田の下に舞い込んだのは

行天の娘であるハルを1月半の間預かってほしいという

無理難題であった。

行天は少年時代、新興宗教にはまり狂信者と化した母により

心と身体に大きな傷を負っていた。

それは現在の風変わりな人格形成にも大きな影を落としていた。

母親の様に自分の子供を一方的で身勝手な暴力に

さらしてしまうかもしれないと脅える行天だったが

成り行きで多田と共に4歳の少女ハルと生活を送ることに。

なぜか運行会社横中はバスの間引きをしていると

思い込んでいる便利軒の得意客岡率いる老人集団、

無農薬野菜を謳い推奨するあやしげな集団HHFA、

なぜか彼らの行為を監視している厄介な顧客でもある

裏組織の星ら行天に劣らぬ変人たちが、

多田が恋心を寄せるキッチンまほろの柏木亜沙子や

小学生の由良とその友達裕弥らも巻き込んで

大騒動を引き起こす。

しかしやはり騒動の中心にいるのは行天だった。

変人たちに振り回されっぱなしの多田だったが

行天同様に大きな傷を抱える彼もまた

未来に向かって着実に前向きに歩き出す。

まほろ駅前の待望のシリーズは

笑いと感動の大傑作に仕上がっている。
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2013年12月01日

小説『夜行観覧者』湊かなえ

ひばりヶ丘は高級住宅地だが、そこに住む

人たち(家族)もそれぞれの悩みを抱えていた。

遠藤家には癇癪持ちの娘がおり、

たびたび騒ぎを起こしていた。

彼女は受験に失敗し、すっかり卑屈になり、

他者のせいにすることで自我を保っていた。

そんなある日、殺人事件が勃発した。

世間的には優秀で幸福なモデルケースのような

高橋家の主であり医者の夫が殺されたのだ。

夫を殺したのは自分だと高橋の妻が名乗り出るが、

事件のあった夜から姿を晦ましている

次男の高橋慎司が俄然あやしい。

遠藤家、高橋家、そしてひばりヶ丘に長年住む

小島さと子らによって、

事件の真相や動機が少しずつ語られていく。

殺人事件は特別な環境下で起こるわけではなく

日常どこにでも潜んでいると思わせる怖さがある。

最後まで出てこない

小島さと子の旦那の存在もなかなか不気味だ。


双葉文庫 
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2013年08月25日

小説『告白』湊かなえ

愛娘を事故で亡くした中学校の理科教師

森口悠子。終業式で語りだしたその告白は

自分の愛娘が自らが担当する教室の生徒

二人に殺されたという告白だった…。


聖職者である森口は、二人が13歳だったことから

彼らの罪を糾弾しても大した罪になることもなく

また犯人の一人が心から反省することもない

見抜いていた。彼女はクラス全員に事件の「真相」

を語り、とんでもない爆弾発言をした結果辞職し、

中学校を去って行った。


犯人の一人が学校に通い続け、もう一人は不登校に。

教室内には不穏な空気が流れ出す。

事件の当事者といえる、加害者、その家族、

被害者、その家族…などの生い立ちが語られ

ラストに終結していくまでのハラハラ感は

すごいの一言。ラストも…。
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2013年01月22日

小説『死神の精度』伊坂幸太郎

【死神】

本編の「死神」とは不幸な事故(災害を含む)や

殺人事件などによって命を落としてしまう人間に対し

調査部の「死神」がその対象者の前に姿を現し

一週間観察することで

その人間の死を「可」とするか「延長」(延命)するかを

決めることを仕事としている存在である。

どちらを選択しても死神に特に功績やペナルティーが

あるわけではなく、「可」とした場合

死神に出会ってから8日目に命を落とすことになる。

ちなみに自殺や病死などは死神の仕業ではない。

死神に共通していることはジャンルを問わず音楽好き。

また、対象者に合わせて、姿かたちを変えて

対象者の前に現れることができる。

食事や睡眠などは全く不要であり、それで体力などが

損なわれることはない。ちなみに味覚はない。

暴力などによる打撃に対するダメージはない。

人間の持つ心の機微などの類は基本的に理解していない。

死神に直接触れられると気絶してしまい、

寿命が1年縮むらしい。


本作における主人公の死神は千葉と名乗る存在で

性別はとりあえず男。

死神の中にはろくな調査もせず対象者を「可」とし

ずっと音楽を聴き続けているだけの死神が多いが

千葉は仕事に対してまじめなので調査に比較的熱心。

よって対象者と行動を共にする時間も長く

おかしくも奇妙な人間?ドラマが展開される。

彼は人間界のことに疎いので対象者と行動を共にする間

すっかり変わり者扱いされてしまう。


死を連れてくる「死神」という存在の千葉だが

恐怖や畏怖の対象とはほど遠い。

彼が行くところ雨が降り、

未だに晴れた空を見たことがないという。

物語は千葉に遭うことで起こる対象者の激動の一週間を

コミカルにかつ卓抜な文章で描いた傑作小説である。

千葉と関わる対象者の6つの人生を垣間見るとき

「生」と「死」が地続きの存在であると再認識する。

また人に対して愛おしさがこみあげてくる。


『ACCURACY OF DEATH』

文春文庫
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2008年11月10日

小説「恋愛中毒」山本文緒


第5夫人として、小説家と恋愛関係の泥沼に陥っていく、

謎多き女性水無月の悲しき恋愛体験を綴った傑作恋愛小説。

吉川英治文学新人賞。導入部もうまく、ぐいぐいひき込まれる。


恋愛関係のごたごたから転職した青年。心のバランスを失って

しまった元恋人は、出版を営む職場にまで押しかける始末。

現状から逃げようと青年は、「今日だけはお願いします」と

電話の取次ぎを事務員の水無月に任せた。

水無月はその後、会社に押しかけてきた女性を説得して

一旦引き下がらせた。妙に貫禄があり、事務所の書籍の5%がなぜか

水無月に振り込まれているということを知った青年は、水無月の

秘密を知ることになる。水無月は語りだす。


水無月は、離婚経験のあるさえない30過ぎのおばさんだ。

英語に堪能なので、ちょっとだが訳書をしたり、弁当屋のパートを

しながら生計を立てていた。水無月は、ある日自分が学生の頃から

ずっとファンだった芸能人にして小説家創路と出会う。

過去の悲しい体験から

「これから先の人生、他人を愛しすぎないように。

 他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように」

と思っていた水無月だったが、人の心に土足であがることに

何のためらいもみせない創路によって結局つきあうことになった。


創路は、妻と3人の愛人がいる(わかっているだけで)こどもっぽい

わがままな男であり、水無月はことごとく創路に振り回される。

しかし、そんな生活であっても水無月は彼に必要とされていると

いう想いから奮闘。創路の愛を独占しようと、姦計を企てる。


登場人物のほとんどが、ひとくせもふたくせもある人々であるが、

水無月自身も言動から「普通ではないな」と思わせる所があり、

後半に謎多き彼女の悲しい過去が語られ、構成とかも含めて

唸らされた。恋愛小説なんてとバカにしていたが、いわゆるべたべた

感もないし、登場人物に対する著者の突き放し方とかがよかった。


私の本の好き嫌いは、登場人物の言動に同調できるか、

反対に全く自分と違うからこそ魅力を感じるのだが、

この本の場合は明らかに後者だ。400ページ。
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2008年10月06日

小説「白夜行」東野圭吾




権謀術数、裏切り、見えない絆、暗躍する影……

殺人事件の被害者の息子桐原亮司と容疑者の娘西本雪穂の

壮大で物悲しい白夜行は次々の不幸を巻き起こす。

基本的に物語りは暗く、ハードな内容を含む。850ページ。


1973年、大阪の廃墟ビルで質屋を営む桐原亮司の父が殺された。

質屋であり、評判のよくない男でもあったため、容疑者は次々と

浮かび上がっていった。西本雪穂の母もそのひとり。

事故死か、自殺か、殺人か不確かなまま事件は迷宮入りした。


物語はその後の、桐原亮司と西本雪穂のそれぞれの「成長」を描く。

彼らの近くでは、次々と事件が巻き起こり、そこにはお互いの影が

見え隠れするのだが、不気味なベールに包まれたまま証拠はない。

誰も信じない陰気で影の多い少年と、貴族然とした薄幸の美少女の

瞳に映る未来は?


物語は、「オイルショック」「V9ナイン」「阪神優勝」

「インベーダーブーム」「マリオブーム」「宮崎勤事件」

などの歴史的事件も扱って、19年という大きな舞台を描いた傑作。

暗い魅力に溢れた作品であり、ダーティーな二人の主人公がなぜ

人々の魂を掌握・翻弄することに長け、また魅了するのか?

絶望の淵から這い上がろうとする魂の叫びを感じる作品。


桐原亮司

金に汚い。それは「金」の力を知るゆえ。

謎の多い秘密主義の男で、コンピュータの知識や犯罪にも積極的に

関わる。コンプレックスを抱えている。権謀術数に長けている。

「俺の人生は、白夜の中を歩いているようなものやからな」

西本雪穂

はっとするような美貌の持ち主。黒い薔薇、フランス人形などに

喩えられるが、それは酷薄なイメージとも繋がる。

高い演技力と向上心の塊であり、人々を掌で転がす悪女。
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2008年10月01日

小説「砂の器」松本清張



方言、特殊な殺害方法、「カメダ」の謎に、砂の器の示唆するもの

とは?読み応え十分のおすすめミステリー。上・下巻で810ページ。


バーで目撃された、東北訛りの男と連れの男。

東北訛りの男は死体となって見つかり、捜査線上に容疑者として

連れの男が浮かび上がる。被害者の身元がわからないまま、

バーで漏れ聴こえてきた「カメダ」という言葉から、捜査本部は

東北地方の「亀田」姓に聴き込みをするものの、依然被害者が

何者かはわからない。地道な捜査と、温厚な人柄で尊敬を集める

老練刑事今西は、偶然の産物から東北地方に亀田なる地名がある

ことを突き止め、気のおけない若手刑事である吉村らとともに

事件解明に乗り出す。東北地方に訪れた、謎の男の存在、電車で

奇異な行動をした女性……など少ない貴重な事実から今西は、

紆余曲折を経て事件の核心に迫っていく。地道な捜査により今西は、

「ヌーボー・グループ」と言われる先進的であり鼻持ちならない

新進芸術家たちが事件の核心を担うことを確信していく。

題名の示唆する「砂の器」の意味を暗示する文章の演出や、

斬新な殺害方法などもおもしろい。刊行されたのが61年と古いことも

あり、国鉄や100円ホテルなどピンと来ない表記も多いが、あまり

気にならず楽しめるのはやはり名著という感じがした。


愛とは孤独なものに運命づけられているのであろうか。
三年の間、わたしたちの愛はつづいた。
けれども築き上げられたものは何もなかった。
これからも、何もないままにつづけられるであろう。
未来永劫にと彼は言う。
その空疎さにわたしは、自分の指の間から砂がこぼれ落ちる
ような虚しさを味わう(本文より)

これは、犯人の女性の手記だが、同時に、これは「砂の器」の器量

しか持ち得なかった犯人にも当てはまることである。
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2008年09月15日

小説「明日の記憶」荻原浩


50歳の広告会社営業部長に訪れた突然のアルツハイマーの恐怖と、

夫婦愛、家族愛、そして人生を描いた号泣必死の物語。

ハードカバーで320ページ。

山本周五郎賞。本屋大賞2位。すごくおすすめの小説。


主人公は、最近とみに物忘れがひどくなった。

人の名前や、簡単な暗算、よく知っているはずの建物の場所……

が出なくなった。娘は結婚を控えているし、ビッグビジネスが

動き出している。焦燥を抱えながら、主人公は医者から

「若年性アルツハイマー」だと告げられる。生活の所々に影が

生まれ始めた主人公は、彼を必死で支える妻と格闘しながら、

未来を模索するのだが……。


絶望感の中で、一縷の望みにかけて「自分らしくありたい」と

必死でもがくまさに等身大の人間を描いた物語は涙を誘う。

文章もすばらしい。趣味ではじめた陶芸にのめり込んでいく姿や、

仕事を遂行しようと必死でメモを取る姿などには、心を揺さぶられる

ものがある。


「心配しないで。だいじょうぶですよ。この道で間違いない。

 僕がずっと一緒に行きますから」
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2008年07月17日

名作「大誘拐」天藤真




身代金は100億円。日本のみならず、世界中が注目の大活劇。



和歌山県の山林王柳川とし(とし子)は、日本屈指の大富豪であり、

長年福祉事業に携わってきた功績もあり、「神様」として

人々から慕われていた。

ちなみに、所有する山林などの土地は4万ヘクタールであり、

時価総額は700億円超という途方もない金持ちである。

彼女は最近、小間使い役の紀美と共に、この途方もない山道を

毎日のように横断していた。


そんな折、元スリ師の健次が出所した。みなしごだった彼は、

施設でとし子と会ったことがあり、彼女の誘拐を目論む。

刑務所で知り合った正義、平太と共にとし子を誘拐し、

身代金5000万円を手に入れようと画策、準備を整えて努力?の甲斐

あって、とし子を誘拐することに成功した。


自らの計画をとし子に披露した健次だったが、身代金が5000万円と

いうことを知ったとし子は大激怒。100億円にしろと言い出す。

健次たちは困惑しながらも、とし子の言い分を聞きながら、

「犯行」を行っていくのだが、なぜかとし子が犯行の手助けや

その類稀なる頭脳を駆使して、あれこれと三人に指図してくる。

主客転倒のこの大誘拐計画は、果たして成功するのか?


また、とし子を大恩人として尊敬やまない県警本部長井狩は、

三人組「虹の童子」を捕まえてとし子を救出せんと血脈をあげて

この大捜索に乗り出す。



飄々とした登場人物たちのキャラクターと、血なまぐさいシーンが

ない安心して楽しめる傑作小説である。アイディアもすばらしいが、

筆致も確かであり、存分に楽しめる内容。誘拐犯(実質とし)と

捜査本部の心理戦・頭脳戦もおもしろく、引き込まれる。


30年前の作品であり、時代背景などわかりづらい点もあるが、

「名作は色あせない」の言葉通りさして気にならない。

文句なくおすすめ。435ページ。


作中名言

「子が母のために尽くすは当然のことや」
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2008年06月25日

小説「レディー,ゴー Lady,GO」桂望実


自分の居場所求めて、キャバ嬢になったヒロインの

サクセスストーリー。読後感もよい。


かわいくないし、ネクラだし、笑顔を見せるのも苦手。

まじめで、上手に嘘もつけない。そんなヒロイン南怜奈は

ある日、身勝手なダメ彼氏から一方的に別れを告げられ、

派遣会社からも一方的に契約打ち切りを告げられた。

条件にあう仕事がない中で、知り合いからキャバクラの

タイニュー(一日体験入店)をしてみないか?と言われる。

生活費に切羽詰っていた南は、一日のつもりで働き、

2万円を手に入れる。


やっぱり自分は、キャバ嬢には向いていないと思った南だったが、

かつて自分と同じように地味で、片隅で生きていると

位置づけていた同級生の姉と出会い、彼女に身の上相談をした。

彼女美香は、六本木の華やかなキャバクラでNo1を取るほどの

転身を遂げていた。そして、南にはキャバ嬢が向いているの

じゃないかと説得。


おそるおそる、キャバ嬢になった南はプロ意識をもった人々

美香や、店長羽田、スタイリストでゲイのケイや、

お店でいろいろな理由で働くキャバ嬢や、

自分のことを見てくれるお客と出会い、

少しずつ自信を持ち、努力を覚え、夢を育んでいく。


喜んで、怒って、哀しんで、楽しんで、学んで……。

ここには、自分の居場所があるかもしれない……。

そして、自分のことを本気で考えてくれる人がいる。


片隅でひっそりと生き、人の不幸を想像することで、

自身の悲しみを紛らわせていた南だったが、

「人を幸せにしたい」、「笑顔にしたい」と思うようになる。


仕事のことを漠然と考えている高校生や大学生に

特に読んでほしいおすすめの一冊。390ページ。
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2008年03月28日

直木賞「青春デンデケデケデケ」芦原すなお


40年前の香川県を舞台に、純情?な高校生たちがバンドを組んで

ロックに・音楽に挑むユニークで爽快感溢れる物語。直木賞。


ベンチャーズの「パイプライン」のデンデケデケデケ〜〜!を

聴いて、身体中に電気が走ったように感じた僕(藤原竹良)は、

ロックの虜となり、どうせなら自分でギターを弾きたいものだと

思った。


僕は、檀家の高校生であり、すでに住職の仕事をこなしている

いろんな意味で成熟な富士男や、色白の美青年白井、軽音楽部の

岡下などとバンドを組んで、ロックに明け暮れる。

さしあたっては、夏休みにアルバイトをして楽器を買わなければ!

純朴な?高校生たちの友情や恋や出会いと別れと、旅立ちをテーマに

描かれたおすすめの物語。

現在の高校生が読んだら新鮮であろうし、かつての高校生が読んでも

やはりおもしろい作品だと思う。230ページ。独特の方言表記も○。


藤原……バンドのリーダーにして主人公。ボーカル。サイドギター

    出会いと別れと、旅立ちを経験しながら大人になっていく。

    
富士男…頭の回転のよい、バンドの頭脳。如才なく、冗談好き。

    恋愛相談を受けることが多いらしく、某高校の恋愛事情に

    富に詳しい。はんにゃーはーらーみーたーと読経を読む。

    僕いわく、彼なら女子大以外なら全部受かると思う。

白井……細面で色白の美青年。実家は魚屋。

    男勝りな姉を持つ。僕のギターの師匠。

    引っ込み思案だが、一本芯が通った性格。

岡下……軽音楽部の太鼓奏者だった彼に目をつけた僕らは、

    「太鼓じゃ一生モテない。だが、ドラムはモテる!」と

    半ば強引に勧誘し成功。おばあちゃんこ。


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「セイジ」「肉欲企画」「多重人格」「伝きり」「あん」がおすすめ
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2008年03月02日

直木賞「新宿鮫 無限人形」大沢在昌

新宿鮫シリーズ第4弾。

新宿署鮫島警部は、ワル共の間でたった一人でも獰猛に犯罪者を

追い詰める性格から、「新宿鮫」と恐れられている。


本編は、新型覚せい剤をテーマにした、ハードボイルド長編。

鮫島の生き方、考え方がすてきで共感を覚えます。


なぜルール(法)を遵守させ、犯罪者を捕まえるのか。

それは、まじめに生きている人が法を守らない輩によって、

泣きをみたり、無力感ややるせなさを感じたりしないためだ。


どのシリーズかは忘れましたが、こんなようなことを鮫島が

言っていて印象的でした。


超難関といわれる国家T種試験を合格し、エリート中のエリート

だった鮫島は、ある事件をきっかけに刑事として動きまわって

います。それは、ある種警察組織が抱える矛盾に満ちた問題。

事件によって、傷を負った刑事に重要な役割を与えるなど、

このシリーズの完成度の高さにはいつも驚かされます。


まず、シリーズ最高傑作と評されている第一弾「新宿鮫」(400ページ)

を読んでほしいです。音楽に生きる恋人フーズ・ハニイの晶との

出会いと事件が描かれています。映画化もされています。


眠らない街 もう一度 星屑のほほえみを ♪


本の方がおすすめです。

無限人形は570ページ、読み応えがあります。

「新宿鮫シリーズ」は、9巻「狼火」まで読みました。

相変わらずすごいと唸らされるすばらしい作品でした

昌をはじめとしたいつものメンバーが登場しない、

「灰夜」だけは、ちょっと見劣りする気がします。

ある意味シリーズの転換的な作品でもあります。

「天使の牙 上・下」もお薦めです。





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2008年02月25日

直木賞「凍える牙」乃南アサ 


女刑事音道貴子は、典型的な男性社会である警察機構の中で

「女である」ということで、孤独な戦いを強いられていた。

そんな折に、獣に噛み切られた遺体が発見され、音道刑事は

この事件に当たることになる。

「殺人犯」に奇妙な親近感を抱いてしまう、音道警部の心の

動きに注目!。


スピード感溢れる展開、卓越した文章力。切ない長編ミステリー。

510ページ。同著「幸福な朝食」もおすすめです。
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2008年02月17日

小説「パレード」吉田修一




5人の主人公の視点で、描かれた連作物語。

軽いタイプの主人公→重いタイプの主人公に移行していく

手法は斬新で、おもしろい趣向。山本周五郎賞受賞作品。

前半は、軽いタッチで描かれるが、後半はやや難解な内容になる。

著者吉田修一作品の中では、一番のおすすめ小説。

〜主人公および、その紹介〜

「杉本良介」 21歳 H大学経済学部3年生

現在、下北沢のメキシコ料理店でバイト中

男女4人で、同居中。(琴美、未来、直樹)

7万円で買った愛車に「桃子」と名づける。
しかし、桃子は10キロ走るごとにエンスト。

なぜか、車がトラブッた時助けてくれるのはヤンキーだ。

中学時代、ヤンキーの友達がいたが、事故で死んでしまった。

基本的に明るく単純、ロマンチスト。精神的にヤバイ時期が
あった。父は寿司屋。

「大学行くと、日本中のいろんな奴に会える」という父の言葉を

大事にしている。


「大垣内琴美」 23歳 無職

現在、若手人気俳優「丸山友彦」と熱愛中。

美女だが、それを鼻にかけないので女友達の受けがいい。

ノリのいいタイプで、誰からも好かれる。恋に一途な面も。

日がな一日、恋人丸山からの連絡を待っている。

あやしげな隣人に対して、琴美は警戒しつつ興味津々。


「相馬未来」 24歳 イラストレーター兼雑貨屋店長

現在、人生を見つめて深酒中。

前衛的な絵を描き、琴美と一緒に道端で売っているのだが、
大概立ち止まってくれるのは、琴美目当ての男連中ばかり。

彼女の芸術が認められる日は来るのか?

酒癖が悪く、それが原因でルームメイトが増えた。

病的なビデオを持っていて、それを見ると落ち着くようだ。


「小窪サトル」 18歳 自称「夜のお仕事」に勤務

現在、無駄な若さを切り売り中。

複雑にして、厄介な性格で、心の中では4人を罵倒しながら、
4人との生活に妙な居心地の良さを感じたりしている。

思いやりを感じさせる意外な場面も。


「伊原直輝」 28歳 映画配給会社勤務

現在、第54回カンヌ映画祭パルムドールの行方を予想中。

自分本位の意見を言うのに、周りが勘違いして彼を頼ったり、
尊敬を集めるという事態になる。

映画に詳しく、会話の端々に映画の話しが登場。

サトル同様、難解な性格。
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2008年01月05日

おすすめ「砂漠」伊坂幸太郎


僕(北村)は、仙台の大学に通い始め、合コンで知り合った
西嶋、南、東堂、鳥井らと知り合い楽しい4年間を過ごす。

犯罪者との戦い、麻雀の魅力、ボウリング対決、洋服の選び方、
恋愛、超能力対決……などを絡めた「春・夏・秋・冬」の物語を
安定した筆致と、計算されたストーリーで描いたおすすめの物語。

400ページと長いが、読み終えるのがもったいないと感じる内容。
読後感もよく、ラストも鮮やか。

〜主な登場人物〜

僕……冷めていて、基本的に物事を客観的に判断したりすることに
   優れたバランスのよい優等生。まともであり、物語の語り部。
   ケータイは持たない主義。
   地球や世界のことを憂いている、なんてことは、まるでない。

西嶋…物語の主役であり、小説の題材にするのに適した癖の多い男。
   地球や世界のことを憂いている。不器用で、不恰好、議論好き
   のトラブルメイカー。独自の考えと、行動をとる。
   揺るがない信念を持つ男であり、ラモーンズを愛している。    麻雀では「平和」(麻雀における役)を作ろうと躍起になる。
   しゃべり方は、丁寧語。
   ブッシュの強引な戦争路線に業を煮やし、プレジデントマンに
   肩入れをする。変人であり、偉人。坂口安吾が好きらしい。
   (プレジデントマン…作中において、「大統領か?」と問いかけ
   てくる現在指名手配中の通り魔であり、主人公たちの近所で
   事件を犯している。西嶋は、きっと彼は戦争を憂いてあんな
   ことをしているのだと推理し、密かに応援しているようだ)

   名言
   「中国語と、確率の勉強しないか?」(麻雀に誘った時)
   「俺は恵まれないことには慣れてますけどね、
    大学に入って、友達に恵まれました」(酔っ払った時)
  
南……地味で無口な女の子だったが、少しずつ明るくはっきりした
   性格に変容していく。スプーンを曲げたり、ちょっとした
   物を動かす超能力の持ち主。車を動かせたこともあったが、
   今はできないらしい。わかりやすいタイプの「いい娘」である。
   麻雀のセオリーを知らないが、その腕はかなりのものである。

東堂…人形的な美貌を持つ。伸びた背筋とぶっきらぼうな態度。
   傲慢というわけではなく、その美しさ目当てに男が集まって
   くるが、次々撃沈。死屍累々。あっさりした性格であり、
   無愛想なため、何を考えているのかはわかりづらい。
   あることをきっかけに、西嶋のことが好きになる。

鳥井…お調子者で、女の子と遊ぶことが大好きな典型的な遊び人。
   ガハハと笑い、思慮が浅く「楽しけりゃいいじゃん」と
   公言するタイプ。金持ちの家の子であり、苦労知らず。
   作中においては、試練を受ける。後半においては、
   意外な一面を見せてくれる。
   近所にあるキックボクシングのチャンピオンのことについて
   詳しい。(著者は、どうも作品に格闘家を登場させるのが
   好きらしい)
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2008年01月03日

小説「夢を与える」綿矢りさ


恋人との離れてしまった心をつなげるために、強引な手段によって
女は子供をつくり、結婚するという目的を達成した。
そして、二人にこどもができた。こどもは、天使のようだった……。

「夕子」と名づけられた天使は、すくすくと成長し、幼少時に芸能界の
長期のCM起用と契約を手に入れ、中学卒業後本格的に芸能活動を
始める。夕子の隣には、常に夕子を守り、戦い続けてくれる母がいて
心から好きだと思えるボーイフレンドがいた。しかし、中学卒業を
機に彼女の生活は激変。忙しい毎日の中で、夕子の日常≒芸能界と
なっていき、仕事を優先するようになった。

強いプレッシャーとたくさんの人の期待の中で、夕子は少しずつ
歳を重ねていき、意味もわからず「夢を与える」仕事をしていた。
華やかでありながら、限られた世界の中を走り続けた。
そして、夕子は恋をした。人の目を気にしながら……。

変わっていったものと、変わらないもの……、覚えたことと、
忘れたこと……、傷つかず、つまずかない生き方なんてないと
いう凄みを感じる作品。おすすめの長編。300ページ。

芥川賞を受賞した「蹴りたい背中」もすごかったが、人間の持つ
本音と建前、美しさとどろどろした部分、切なさ、やるせなさ、
ほろ苦さどれをとっても秀逸。印象的なフレーズも多い。

「純粋」すぎた夕子が、絶望の淵に沈み、「夢を与える」や「信頼」と
いう言葉の意味をつぶやく場面は号泣してしまう。読後感は悪い。

名言
 「信頼だけは、一度離せば、もう戻ってきません」
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2007年12月21日

青春「TUGUMI つぐみ」吉本ばなな


私(まりあ)の幼なじみである病弱な美少女つぐみは、
生意気でわがままで意地悪だ。少女時代にたちの悪い
いたずらを仕掛けられたが、それも今では良い思い出だ。

海辺の旅館で一生に暮らし、育った私は今だから笑える
つぐみとのキラキラした思い出を回想する。

そして、「ふるさと」に帰省した私は、つぐみの恋人修一と
共に、淡く切ない最後のひと夏をすごす。

少女から大人に変わる「つぐみ」の成長を描く切なくて、
透明感あふれる名作小説。220ページ。山本周五郎賞受賞。
おすすめの短編。さくっと読めます。手紙の導入が秀逸。
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2007年12月13日

「容疑者Xの献身」東野圭吾


「ガリレオ」こと湯川と、草薙のコンビが超難題に挑む。対戦相手は、
彼らの大学時代の同級生であり、湯川が「天才」と認めた数学者。

石神は、優秀な数学者であったが不遇な道をたどり、現在は高校の
数学教師。彼の趣味、人生の大半は「数学」に関することに集約され
ていた。最近の石神の日課としては、アパートの隣人靖子が勤める
弁当屋に行くことである。

靖子は、娘の美里と共に暮らしている。靖子達は、かつての夫から
ひどい暴力を振るわれたことを理由に、離婚をし、アパートに逃げ
てきたのだが、ヒルのようなその男富樫は靖子たちの前に現われ、
たかりを始める。そして、親子悲劇が訪れる。突発的に、富樫を
殺してしまったのである。事件を推理から導き出した石神は、
彼女たちの窮地を救うべく、ある決断をし、それを実行する。

石神は、卓抜したその頭脳を駆使して、靖子たちに適切な助言や
指示をし、靖子たちを守ろうと奔走する。

その後、顔と指紋が判別できないような変死体が発見され、草薙
刑事は事件捜査に乗り出す。湯川は、捜査線上に浮かんできた
石神がかつての友達であることを知り、珍しく捜査に積極的に
加わる。お互いを「学者」として、尊敬しあう二人の激しくも
悲しい対決に目が離せない。究極のミステリーであり、恋愛小説
と言える。350ページ。絶対おすすめの一冊。うならされた。

「探偵ガリレオ」、「予知夢」とは、独立したストーリーで、
この本をはじめに読んでもなんら差し支えないです。号泣。感動。

名セリフ
「紙と鉛筆には限界がある。まあトライすることには意味が
 あるかもしれんが」(物理学者:湯川)

「正しい答えがある問題をつくることと、その問題を解くことは
 どちらが難しい?」

「この世に無駄な歯車なんかないし、
 その使い道を決められるのは歯車自身だけだ」(石神)

「これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。
 いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった」

東野圭吾作品現在7冊ご紹介。
http://book0001.seesaa.net/pages/user/search/?keyword=%93%8C%96%EC%8C%5C%8C%E1&vs=http%3A%2F%2Fbook0001.seesaa.net%2F&fr=sb-sesa&ei=Shift_JIS
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2007年12月07日

おすすめ「スキップ」北村薫


青春を満喫していた17歳の主人公真理子は、眠りから覚めたら
17歳の娘を持つ、一児の母で42歳、国語の高校教師になっていた。

「空白の25年間」という、突然の変化に戸惑う真理子と真理子の家族。だが、時間は刻々と過ぎていく。真理子は、前向きに歩みだす。

心は17歳、見た目は42歳。揺れ動く心を描いた傑作小説。
真理子がスキップしてしまった理由とは?550ページ。
絶対おすすめの長編小説。
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感動作「秘密」東野圭吾

バス転落事故に合った三人家族。妻直子は、亡くなってしまうが、
平介と娘藻奈美は一命を取りとめる。しかし、藻奈美の様子がおか
しい。藻奈美の中に、直子の心が入り込んでしまったというSF物語。

全く別の人生を歩もうと、猛勉強を始める直子。とまどいながら、
「秘密」を守ろうと、支え合い、時に傷つけ合ってしまう二人の切ない物語。「泣きたい」という人におすすめの感動的なストーリ−。

最後に明かされる本当の「秘密」とは?410ページ。(ハードカバーで)
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2007年12月05日

感動長編「手紙」東野圭吾

兄は、弟を大学に行かせてやりたいと考えていた。
そして、盗み目的で入った家で殺人をおかしてしまう。

将来の門を開いてやりたかった兄の想いは、意図に反し
弟の将来という門をことごとく閉ざしてしまう。

兄と弟の間に、行きかう手紙。伝わらない想い、
伝えられない想い。読むほどに切なく、涙が止まらない。

被害者の家族、加害者、加害者の家族が抱える「傷」を
巧みに描いた社会派作品。

兄弟が、再会するラストシーンは感慨深い。355ページ。
(ハードカバーの長さです)
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2007年12月04日

直木賞「対岸の彼女」角田光代




新しく仕事を始めた主人公の小夜子は、働く女性葵と出会います。
葵の隠された過去と、現在の二人を描いていく二部構成と
なっていて、ぐいぐい話に引き込まれます。

昨年(2006年)読んだ本200冊の中で、一番面白かった作品です。
読後感が良く、前向きな気持ちになれるおすすめの名作小説。
本棚に並べて、再読してみたくなる一冊!

290ページ。同著「空中庭園」もすごくお薦めです。
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2007年12月03日

号泣「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス

主人公のチャリーは、素直で働き者の32歳。だが知能は、
幼児程度しかない。大学の実験では、ネズミのアルジャーノン
との迷路の勝負にチャーリーは勝てない。

ある日、教授がチャーリーに頭をよくする実験をしないかと
提案する。チャーリーは、これを快諾する。
 
日記形式で書かれるこの作品は、初めにに読んで、面食らう
かもしれませんが、徐々に文体が整っていく手法なので、
気にせず読み続けて下さい。賢くなることで、チャーリーに
訪れる悲劇。読んだ後切なくて、号泣してしまう一冊。
副題は、「まごころを君に」。480ページ。おすすめの名作。

「心の鏡」という同著に、「アルジャーノンに花束を」の中篇が
収録されていて、そちらは70ページにまとめられているので、
さくっと読めます。

ダニエル・キイス作品紹介
「五番目のサリー」、「ビリー・ミリガン」シリーズなどの
「多重人格」ものを発表。好評を得るが、かなり難解な作品
であることを付け加えておきます。
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2007年12月02日

名作「星の王子様」サン・テグジュぺリ



「大人のメルヘン」と呼ばれる、世界的に有名な名作童話。
さくっと読める長さであり、それでいて学べることは多い作品。
宇宙を旅する星の王子様は、こっけいな人々に出会います。

王子様によって語られる、目に見えないものの大切さをずっと
忘れずにいたいものです。

砂漠で出会った王子様のことを思い出すとき、ちょっと切なくて、
やさしい気持ちになれます。やさしいタッチのさし絵も魅力的。
年齢を問わず、おすすめできる一冊です。140ページ。
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2007年11月30日

イチオシ「リセット」北村薫


生まれ変わりをテーマに書かれる、感動的なラブストーリー。
移ろい行く時の中で、求め合いながら、交錯することのできない
魂と魂が出会う時、感動があなたをさそうはずです。

この本は、直木賞受賞作を凌駕していると言っても何ら問題
ないほどの完璧な名作です。420ページ。

ちなみに、直木賞46作品読んでますが、同格は3冊です。
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おすすめ「間宮兄弟」江国香織



まっすぐで、純粋で、弟思いの兄思い、そしてモテない、
そんな30過ぎても、一緒に住んでいる癖のある兄弟が主人公。

読書好きで、映画好きで、パズル好き、そしてベイスターズ
ファン……というインドア派の兄弟が思い切って、女性を部屋に
招待する。警戒されながらも、おずおずとやってきた女性たちは、
不思議と居心地のよい空間と、思いやりあふれる兄弟たちに
好感を抱くのだが、恋愛の対象とはならないようで……。

いわゆる外見的には、全くかっこうよくない二人が、支え合って、
それでも前向きにまっすぐ生きていく姿に涙腺が緩みます。

話しのテンポの良さも、間宮兄弟をはじめとした登場人物たちに
魅力があり、文章のよさも秀逸。恋のはじまりと、終わりを描いた
恋愛小説ですが、ラストも含めて納得の内容のイチオシ作品です。
直木賞受賞作「号泣する準備はできていた」よりもおもしろいです。
感動あり、号泣ありの名作長編。
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2007年11月28日

三ツ星「魔術はささやく」宮部みゆき




主人公の日下守は、叔母のより子の家に居候している

クールな高校生。趣味はランニング。


ある夜、より子の夫が運転するタクシーで若い女性を

轢いてしまう。「ひどい。ひどい。あんまりだ」という

言葉を残して女性は死亡。そして夫は、逮捕されてしまう。


独善的で、正義なき心で、一方的にかけられる嫌がらせ電話。

その中で、気になる一本の電話があった

「特殊能力」を持つ守は、事件の調査を始める。

やがて、隠されていた謎と真実が見えてくる。


ストーリー自体はほろにがいが、守の理解者も配置されており、

やさしい気持ちになれる名作。

宮部さんは最も尊敬する作家であり、その中でもイチオシの作品。

まだ読んでいないという方は、ぜひ。
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2007年11月27日

三ツ星「となり町戦争」三崎亜記 




主人公の住む町と、となり町との間で「戦争」が勃発。

目には見えない所で、着々と戦争は行われている。

役所の業務のように、淡々と行われる水面下の戦い。


作戦上の都合から始まった、僕と香西さんの淡々とした「生活」。


僕と香西さんの「戦争」に関しての意識の度合い、

温度差。決して埋められない、大きな隔たり。


徐々に僕の目にも、戦争の傷跡や現実が見えてくる。

確かな形として……。


戦争によって引き起こされる理不尽さ、悲しさ、喪失感を

淡々と描いた透明感のある傑作。190ページ。(ハードカバーで)

芥川賞・直木賞の両方の要素を持った名作小説。

小説すばる新人賞受賞作、直木賞候補作となった三ツ星小説!
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする