2008年05月19日

小説「I’m Sorry, Mama.」桐野夏生


私は、女の顔をした悪魔を一人知っているのです。
その女のしたことを考えるだけで、ぞっとします。
彼女の本当の名前が何というのか、今現在、
何という名前を名乗っているのかは知りませんけど、
もちろん彼女はまだ生存していて、人を騙し続けて
います。そして、へいぜんと人を殺し続けています。

彼女は正真正銘の大嘘つきです。泥棒です。放火魔です。
詐欺師です。そして、世にも怖ろしいことに人殺しです。

彼女の手口はとても巧妙で、証拠を残すことは一切ありません。
彼女は金欲しさからいとも簡単に人を殺し、
闇から闇へと消えて行くのです。彼女は顔のない悪魔です。
どこにでもいる中年女。でも、その心は真っ黒です。
(本文より)

今まで読んだどの小説の登場人物よりも、「不幸」な
ヒロインアイ子は、親の愛を知らないモンスター。

物語は凄惨を極め、登場人物の大半が悪しき心を
持っている。アイ子は、その恵まれた体躯と欠如した
倫理観によって、次々と犯行を繰り返す。
そして、唯一の心の拠り所である「母の形見」と
信じる白い靴に話しかけるのだ。

ホラーには、大きく分けて2つの種類がある。
「現実味のあるホラー」と「非現実的なホラー」だ。

この物語は、前者に分類されるホラーであり、
ミステリー要素も備えている。犯人は、アイ子と
はっきりわかっているので、読者はアイ子の逃亡劇の
展開に集中できるという利点がある。かなりハードな
内容であるが、その凝縮された内容や後半の
ラストのうまさなどは流石だなと思う。
240ページ(ハードカバーの方が)

おすすめ同著として、「OUT」、「柔らかな頬」、
「魂萌え」などがある。

「柔らかな頬」、「魂萌え たまもえ」の紹介はこちら。
http://book0001.seesaa.net/pages/user/search/?keyword=%8B%CB%96%EC%89%C4%90%B6&vs=http%3A%2F%2Fbook0001.seesaa.net%2F&fr=sb-sesa&ei=Shift_JIS
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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