夜の留置場に現われた謎の老人「天きり松」。
彼は、何を隠そう天下の大泥棒にして義賊として
尊敬を集めた「目細の安吉」一家にいた。
六尺に四方にしか聞こえないという夜盗の特技
闇がたりによって、今夜も大正ロマンの幕があがる。
「闇の花道」
9歳の松蔵は、ある日父のてびきによって「安吉」一家
と出会い、その一員となった。安吉は、極道界の大親分
銀次が、拘留中に留守を任せられるほどの器量の
持ち主であり、その実力は「官」ですらお墨つきを
与えていた。銀次が、放免となったその日事件が起こった。
筋を曲げない、潔い安吉の器の大きさに注目。
安吉……親分。中抜きが得意。
→財布から現金のみを抜き取り、財布を戻す。
銀次……大親分。2000人の手下がいて、大時代的。古い任侠。
「槍の小輔」
山県有朋卿のお宝の「金時計」を盗んだ安吉一家のおこん。
蛇蝎のごとく嫌われていた有朋卿の悲哀と、おこんとの
「恋愛」をからめて描いた物語。盗んだつもりが盗まれて。
「盗みは小手先でするもんじゃござんせん。心意気で盗るもんだ」
おこん……美女。啖呵を切る姿がかっこいい。振り袖おこん。
ゲンノマエが得意→正面から盗み取る。
「百万石の甍(いらか)」
百万石の家の妾の子英治は、松蔵が目標にしている兄貴分。
英治は、貧乏長屋の一本木な棟梁の息子として育てられ、
現在は安吉一家にいる。そんな英治に、100万石の花清から
「家に戻ってくれないか」という勝手な了見が告げられる。
英治は、見事な意趣返しを行い、この世には血よりも濃くて
大切なものがあることを知らしめる。
英治……筋を通す一本木の性格は、血よりも濃い父譲りの職人気質。
人に媚びず、へつらわず、口数少なく、嘘はつかない。
シャツの袖口、足袋の裏が常に真っ白という男の中の男。
黄不動の異名を持つ。得意技は、「天切り」である。
→瓦をおっぱずし、天上裏から忍びこむ。
「白縫華魁(しらぬいおいらん)」「衣紋坂(いもんざか)から」も
収録。一作50ページほどで、計250ページ。心意気、粋、いなせ。
天切り松闇がたり、読みました。
江戸弁がかっこよすぎですよね。
記事リンクさせていただきました。また訪問させていただき
ます。
→コメントありがとうございます。
登場人物や、作り上げられた舞台観が
好きです。