「伝統、名誉、規律、美徳」をモットーにする抑圧的で、
閉鎖的だった学園にキーティングは疑問を呈し、独自の授業を行う。
「もっともらしい学者の名前と架空の説を書けば、大学のテスト
なんてまかり通ってしまうものだ」と言い切るキーティングは、
文法などの授業は行わず、いっそ情緒あふれる詩でも論じた方が
価値があると熱く語る。
生徒たちは、戸惑いながらも少しずつ彼に惹かれていく。
彼を慕うクラスの有志によって、キーティングが学生時代につくった
秘密組織「死せる詩人たちの会」を結成させたのだが、悲しい事件が
起こった。
テーマは「自由と管理教育の対立」と「青春学園ドラマ」。240ページ
作中には、有名な英米の詩が多数引用されている。
「ありがとう、みんな……ほんとうに……ありがとう」
作品のイメージは、「Thank you」SOPHIAっぽい。←歌詞
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=66350
注……これより下、ネタバレありです。
この作品のよい所は、やはり学園を追放されることになった
キーティングの呼びかけに対して生徒たちが立ち上がる
ラストシーンであろう。
「自由とは何か」を語りかけるキーティングの呼びかけに、
生徒たちは立ち上がり、学校に対して「反対」の意を唱える。
しかし、生徒たち全員が立ち上がるわけではない。
スタンディング・オーベーションのように全員が「ブラボー!」と
叫ぶのではない。
キーティングに賛同する者に対して、「退学させる」と脅しが
かけられている点も含めて、このシーンは感慨深く、同時に
リアリティーがある。反逆、反骨精神を「勇気」と取るか
「無謀」と取るかは、人それぞれであって確かな答えはない。
「ありがとう」っていう言葉のよさを改めて、
考えさせられるおすすめの名作である。