突然訪れる「悲劇」と「別れ」をテーマに描かれる4つの物語。
280ページ。ハッピーエンドは嫌いと言う方には、特におすすめ。
「ダックスフントのワープ」
大学の心理学科に通う僕は、聡明だが自閉的な少女マリの
「家庭教師」。僕は、マリの心を開くためダックスフントを
主人公にした物語を聞かせることにする。いわゆる家庭の事情を
抱えるマリであったが、少しずつ回復の兆しをみせていく。
しかし……。「信頼」とか、「世の無情」とかを思う。
作品名セリフ抜粋
笑顔と信頼は隣同士のかけら。このふたつが背中をよせあわなきゃ、
世界全部が壊れてしまう。〜ここであきらめちゃ、信頼を裏切る
ことになる。
「ノエル」
翔子とノエルは、腹違いの姉弟。ノエルの美貌を見た人は一様に
賛辞の言葉を惜しまないが、翔子にはそれが腹立たしい言葉として
しか思えない。翔子は、ノエルに贈られた忌まわしい
アンティーク人形を破壊することにした。
いつだって、傷つくのはこどもの方だ。
いろいろ考えさせられる作品。
「ユーレイ」
叔父の骨董屋の手伝いをしている僕。そんな僕の家にユーレイは
やってきた。彼女は、4時間だけ「こちらの世界」におわします。
友達が皆無な僕だったが、なぜか彼女とは仲良くなり不思議な
心地よい時間をすごすことになるのだが……。