2008年02月03日

短編集「雪が降る」藤原伊織


「雪が降る」イチオシ

「母を殺したのは、志村さん、あなたですね」

親友であり、かつての恋敵である高橋の息子から届いた

メールによって、志村は20年前の恋とあの日のほろ苦い

出来事を思い出す。そうかつて本気で愛した陽子はまるで

妖精のようで、あの日志村は、今まで「空白の疾走」を

続けていたことに気付いてしまった。

クレームマニアを煙に巻いたり、会社で起こる大騒動など

どこ吹く風だった志村だが、高橋の息子に対しては嘘を

つけない。そして、自分の気持ちにも。読後感がよい作品。


「台風」おすすめ

人を殺した人間には、かつて一度しかあったことはない。

という文章から始まる。切なくて、やさしい物語。

人を殺したり、人に殺されるきっかけなんて些細なこと

なのかもしれない。だからこそ、言動には注意が必要。


「トマト」

「わたしはね、人魚なのよ」彼女はそういった。

もちろん、僕は人魚に会ったのは初めてだった。

彼女はトマトを丸かじりしながら、他愛のない

話をし、大物政治家の末端秘書である僕も自分の

しょぼい身の上話をするという8ページの短編。


「紅の樹」おすすめ

主人公は、銃撃事件を起こしたことのある元ヤクザ。

知り合いになった母娘のために、拳銃片手に暴力団と

闘うことに……。かつて、拳銃を用いた時とは全く

別の理由から。信頼してくれた人との約束を守る為に。

ハードボイルド作家である著者の約100ページの中篇。


など、全6編を収録したおすすめの短編集。

「テロリストのパラソル」で直木賞・江戸川乱歩賞を
ダブル受賞した藤原伊織さんの珠玉の短編集。

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posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめの短編・短編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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