清は、名前の通り「きよく、正しく」をモットーに生きていた。
バレー少女だった彼女は才能に溢れ、高校卒業後もバレーを続ける
人生設定をたてていたのだが「事件」をきっかけに、バレーを辞めた。
そして、4年の月日が流れて、海なし県から海の見える高校に教師と
してやってきた。
高校のバレー部の顧問になろうと考えていた清だったが、彼女が
任されたのは「文芸部」だった。
清は、文芸部で一人活動する垣内君が中学校時代はサッカー部の
キャプテンであったことを知り、疑問を感じながら顧問を行う。
清の不倫の恋や、くったくのない弟拓実とのやりとりを描きつつ、
満たされない気持ちと、少しずつ「傷」から立ち直っていく過程を
描いた物語。
感想
理由もなく、走り出したくなることは確かにあります。
「罪悪感」の感じ方や、その度合いは人それぞれですが、
主人公たちのように不器用な人間って好きです。
清が、垣内君によって「情熱」を取り戻していく過程がよい。
漱石の「こころ」を引用しているのですが、これが物語の複線に
なっています。
160ページ程度と短く、読後感もよいです。