計算されているようで、独自の世界観を持つ16の短編集。
「小夜鳥姉妹」
鳥子と、小夜子は「死んじゃったごっこ」に興じる幼い姉妹。
祖父から渡された「万華鏡」を覗きながら、彼女たちの10年後、
20年後をさらりと描いた物語。おすすめ。
「Kの告白」
K太郎は、僕の友達だが決していい奴なんかじゃない。
でも一見ぼっちゃんぽいから「いい人ね」と言われている。
そんなK太郎に僕の好きなS嬢が恋をした。あぁ失恋だ。
しかし、意外な様相を呈する。Kが告白することには……。
「草むらの中 星がでて」
夕一兄は、底抜けに明るい。
葉一兄は、虫の研究家にして暗い。
僕理一は、大学生で名前の由来は麻雀の「リー」からだ。
風変わりな母を持つ僕の家庭に、「お嫁さん」候補の女性が
やってきた。はてさて、恋の行方は……。
「ウエタミ」
海で出会ったウエタミは、不思議な少年。
ユリアは、何かしら心ひかれるものを感じた。おすすめ。
「ハーバービュー」
母子家庭のお母さんが、旅行費用を掠め取りにかつての「恋人」の
元に出かける切ない物語。着地点もとい読後感がよい。
「何か探すさ、何だってできるさ。やろうと思えばね」