美しい島、純朴でまっすぐな人たちは、海における資源と贈り物に
感謝しながら生きています。貧乏だが、男らしく素朴、たくましい
漁師の青年と、清らかで純潔な美少女の恋を圧倒的な描写力で描いて
います。
それは、古代ギリシャ人が理想とした完璧なまでの美しさ。ちょっと
気恥ずかしくなるほどにに美しい小説で、登場人物のほぼ全員が善人というストーリーは、かえって斬新であり類をみません。
爽やかな読後感を残す、三島作品を代表する一冊と言えます。
海の持つ美しさと、怖さや、小さな島で起こる人間ドラマを巧みに
描いていて、「流石」と息を呑んでしまいました。
モンゴル800の「小さな恋の歌」を思い出しました。
同著のおすすめ本は「金閣寺」、「仮面の告白」、「宴のあと」、
「葉隠入門」。