2008年01月03日

小説「夢を与える」綿矢りさ


恋人との離れてしまった心をつなげるために、強引な手段によって
女は子供をつくり、結婚するという目的を達成した。
そして、二人にこどもができた。こどもは、天使のようだった……。

「夕子」と名づけられた天使は、すくすくと成長し、幼少時に芸能界の
長期のCM起用と契約を手に入れ、中学卒業後本格的に芸能活動を
始める。夕子の隣には、常に夕子を守り、戦い続けてくれる母がいて
心から好きだと思えるボーイフレンドがいた。しかし、中学卒業を
機に彼女の生活は激変。忙しい毎日の中で、夕子の日常≒芸能界と
なっていき、仕事を優先するようになった。

強いプレッシャーとたくさんの人の期待の中で、夕子は少しずつ
歳を重ねていき、意味もわからず「夢を与える」仕事をしていた。
華やかでありながら、限られた世界の中を走り続けた。
そして、夕子は恋をした。人の目を気にしながら……。

変わっていったものと、変わらないもの……、覚えたことと、
忘れたこと……、傷つかず、つまずかない生き方なんてないと
いう凄みを感じる作品。おすすめの長編。300ページ。

芥川賞を受賞した「蹴りたい背中」もすごかったが、人間の持つ
本音と建前、美しさとどろどろした部分、切なさ、やるせなさ、
ほろ苦さどれをとっても秀逸。印象的なフレーズも多い。

「純粋」すぎた夕子が、絶望の淵に沈み、「夢を与える」や「信頼」と
いう言葉の意味をつぶやく場面は号泣してしまう。読後感は悪い。

名言
 「信頼だけは、一度離せば、もう戻ってきません」
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 13:38| Comment(0) | TrackBack(1) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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夢を与える 綿矢りさ
Excerpt: 私は他の女の子たちよりも早く老けるだろう。チャイルドモデルから芸能界へ。幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。成長する少女の.....
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