2007年11月26日

小説「ブエナ・ビスタ 王国記U」花村萬月




芥川賞「ゲルマニウムの夜」の続編。

修道院を「卒業」することにした、赤羽修道士。
雪の降る町を朧(ろう)と一緒に歩き、アパートにたどり着く。

和やかな雰囲気で、昔話をしていた二人だったが、朧の告白で一転。
朧のかねてからの計画通り、シスターテレジアが妊娠した。さらに、脅迫するように言葉を紡ぐ朧。テレジアを引き取ってはくれないか?

ゆがんだ倫理観、暴力と性衝動を持つ朧との対話から、修道士赤羽は何を思い、どんな答えを見出すのか。

聖職者と崇められる一方で、「禁欲」の誓いを破り、滑稽なほど欲望に支配される赤羽親子の、人間脆さが興味深い。(ブエナ・ビスタ)


農場の責任者であった赤羽修道士が去ったことによって、
朧、宇川の農場での仕事は峻烈を極める。

一段と寒さが、身体に応えるようになったある朝に、
鶏舎に訪れた朧が見た凄惨な光景。

その光景を連想させるような、牧草刈りの描写は秀逸。

朧を恋い慕う愛人ジャンと、恋人教子との微妙な関係。

消えない傷を作りながら、朧と宇川に生まれた不思議な友情。

そして、「処女懐胎」。

皮肉屋、不器用、暴君、臆病、残酷な朧のめざす王とは?
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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