2019年12月17日

小説『武道館』朝井リョウ

武道館ライブを夢見る6人組アイドルグループ
NEXT YOUのメンバー愛子が主人公。
小さな頃から歌って踊ることが大好きだった
愛子はアイドルになることを選択した。両親が離婚。
父と母、どちらについて行くのか選択を迫られる。
愛子の選択は父の方であったが
幼なじみである大地と離れたくない気持ちが強かった。

NEXT YOUのダブルセンターを務めた主要メンバーが
1年で卒業決定。武道館は12000人規模のライブもできるが
区切れば半分以下の収容人数でもライブができる。
まずは、そのレベルでの武道館ライブをめざそう!
目標を掲げたその子が卒業してしまった。

5人はフォーメーションの変化や徐々に規模を拡大していく
自分たちのアイドル活動にとまどいながら日々を送る。
握手会や特典商法、盗撮、SNSでの炎上や正義の味方面した
書き込みそれに伴うスルースキル…
アイドルに求められるいろんな重圧や抑圧の中で
愛子は日々揺れながらメンバーや大地との学園生活を送る。

自分の中の夢やアイドルとしての人気が増えていくことで
注目を集めるようになるが、電車に乗っても気づかれない。
乗客はみんなスマホを観ている。
本当に自分の選択は正しかったのかな?
私たちのことなんて何も知らない人たちはもちろん
ファン(自称ファン)は私たちの幸せを望んでいるのかな?
というアイドル目線での半信半疑という鋭い視点を持つ。

少しずつだが人気が出てきて、オリコントップ10にも入り、
武道館ライブも現実味を帯びていく。
一喜一憂する日々の中で、それでも満たされず
物思いにふけることが多いヒロイン愛子。

自分たちを売り出すために必死になっている大人たち。
暗黙の了解というか絶対条件とされる恋愛禁止。
でも人間として生きている以上、そういう気持ちや
理不尽な攻撃に対し怒らないことって人として正しいのかな?
自分が本当のアイドルと認めるメンバー碧や他のメンバーと
共に捧げた青春の日々や選択を誇れるようになる日は来るのか?

現実世界のアイドルの不祥事や彼女たちを取り巻く環境も
交えながら最終的に著者が示したかった思いとは?
偶像として語られるアイドルたちを実像(生身の人間)
として描いた挑戦的な作品。文藝春秋

posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 09:15| Comment(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント