2019年07月15日

小説『くちびるに歌を』中田永一

Nコン合唱コンクールをめざす長崎県五島列島の
中学生たちと合唱部を指導する自称ニートの美人教師の
奮闘を描いた青春小説。作者は乙一先生別名義中田先生。

産休に入った信頼厚い音楽教師松山先生の代理で
美人ピアニストでニートをしていた柏木先生がやってきた。
松山先生と柏木先生は友人であり三角関係の当事者。
松山先生の旦那はかつて柏木の恋人ということもあり
複雑な想いを抱いていた。生徒達には伏せられていたが
松山先生は心臓が悪く危険度が高い。
それを知る教師達は彼女の容態を危惧していた。

合唱部は元々女子しかおらず、まとまっていた。
しかし、美人の柏木先生目当てで男子生徒が数名入り
(桑原サトルのみ違うが)、不協和音が生まれることに。

美形の2年生男子をちやほやする浮かれた女子生徒、
練習をまじめにせず女子生徒から不況を買う男子生徒、
めだたないまじめな生徒だった桑原がみせる意外な才能、
部内で生まれた恋愛感情や恋愛関係。

思春期を迎えた中学生がいろんな悩みに直面しながら
等身大の自分と向き合いながら生活を送る。
一見おちゃらけて見えた人物の意外な素顔、
明るくてかわいいあの子の素の部分や悩み、
家族から過度の期待を背負わされた生徒、
そして案外メンタル弱い顧問の柏木先生に
部員を支えるしっかり者の部長、
自分の意外な恋心に気づく女子生徒と
盛りだくさんなキャラクター、感情がほとばしる。

「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」、そして作中登場人物が
十五年後の自分に向けた手紙を描いているが、
そこにこめられた想いやそのときに感じた
あれこれを形にするというのは、恥ずかしさと同時に
大切な思い出に変わる日がくるかもしれない。

主人公の一人であるサトルは、自閉症の兄がいる。
将来を心配した両親から、兄の面倒をみる存在として
生まれた子である。ある種の義務感、責任感を
あらかじめ運命づけられた存在であり、消極的で
めだたない彼はともだちもできず得意は寝たふり。
しかし、明るくかわいい同級生長谷川コトミが
つぶやいた毒舌を聞いてしまう。寝たふりを続け、
聞いていなかった演技を続けるが、おそらく
バレている。でもそんなこともあり、サトルは
コトミのことが気になり、ひょんなことから入部。

サトル意外の男子生徒は柏木がいないと露骨に
まじめに練習をしないので女子から敵視される。
女子部員の中でも男子擁護派、男子敵視派(主流)が
生まれ対立が表面化。昔のラブレターによる裏工作と
ほほえましい?水面下の交渉も勃発。
本気でNコンをめざす女子部員は、男子を出さない
強硬案を主張する自体に。混声合唱は生まれるのか。
小学館文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:38| Comment(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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