2017年06月13日

小説『わるいやつら』松本清張

病院を営む医者戸谷信一。複数の愛人を持ち
彼女たちを利用し金を巻き上げ、
手前勝手な理論で生きている冷酷な男である。
経営能力がなく毎月のように赤字を計上する病院。
その赤字は経済力を持つ愛人から引き出す。
不仲な妻とは離婚したいが、それにもまとまった
慰謝料が必要であり、現在の婚姻関係ですら
愛人への歓心、カンフル剤に用いている気すらする。
愛人たちとの関係、病院経営の圧迫から犯罪に
手を染め悪党に堕ちた戸谷。戸谷は医者という立場、
とりわけ死亡診断書を作成できる能力をフル活用。

自己の欲望の為なら平気で他人を利用する戸谷。
だが、経営者槙村隆子と出会い強く惹きつけられる。
彼女と結婚するには自分が経済力に優れた男である
ことをアピールする必要がある。友であり弁護士
下見沢に相談し、隆子の歓心を買おうとする戸谷。
しかし隆子は一筋縄でいかない女性であった。
更に、過去の悪事の捜査が進展しはじめ…。

物語は1960年頃描かれたが、この作品自体は
とにかくすごいの一言。主人公である戸谷は
清々しいくらいのわるいやつである。いわゆる
ピカレスク小説であり、読者を飽きさせない展開、
ミステリーとしても一級品である。
人がモンスターに変化していく過程、心理描写、
逆転劇に思わず鳥肌が立った。主要人物たちが
果たす役割を考えた時、無駄のなさに感嘆した。
新潮文庫 上・下巻 
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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