2017年05月20日

小説『ザビエルの首』柳広司

教科書に載る位有名な人物宣教師ザビエルを追う
超常現象の物書き修平。奇跡体験を通じて
生前ザビエルが遭遇した謎を秘めた殺人現場に遭遇。
不思議な力により事件を目撃した修平は、
事件に居合わせた人物の中に憑依し真相を暴く。

死後ザビエルの遺体は腐敗せず、生きているかのような
状態を保っていたという。この「奇跡」は認められ、
彼の遺体は厳重に保護されているという。
(死後2回以上の奇跡を起こし、遺体が腐敗しないと
「聖人」として認定され手厚く保護される)

ザビエルの首が鹿児島で発見されたといううさんくさい
情報を記事にするために辺境の村にやってきた修平。
どう見ても村おこしのためのでっち上げと思われたが、
ザビエルの首と、不思議な目を見た修平は
過去の世界に飛ばされていた。

自身が体験したアフガニスタンでの地獄のような日々。
大国アメリカの誤爆により結婚会場に集まった人々は
無残な最期を迎えた。戦場で修平は生死をさまよい、
一命をとりとめ帰国。当たり前のように平和な日常をすごす
日本の中で、傷は癒えたかのように思われていたが
意識下の中に「なぜ」という疑問が渦巻いていたのだろう。

なぜ何の罪もない人が殺されるのだろうか?
なぜいつの時代も人は争い合うのだろうか?
なぜ人は安易に悪意をまき散らすのか?
なぜ人は神にすがり、神は人を本質的な意味で助けないのか?
矛盾をはらんだ宗教。場合によっては犯罪にも加担し援護する。
ちんけな奇跡起こしている暇などないはずなのに。
意識下に潜んでいた「怒り」のような感情とやるせなさが
数奇な人生をすごしたザビエルと共鳴したのかもしれない。
講談社文庫
ラベル:柳広司 推理小説
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 06:47| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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