奇行を目撃し、彼に自分を殺してほしいと依頼した。
どうせなら今まで誰もしたことがないような事件となり
長く語り継がれ、その後の少年A少女Aにとって
バイブルのような存在になりたい。
繊細だが面倒、自覚なく他人を傷つけ、見下す。
自分の痛みには敏感でも他者の痛みには鈍感。
中二病のアンは死や猟奇的なものにあこがれを持つ。
そういったニュースや本を探す日々を送るがそれを隠し
「普通」のリア充として振る舞い生きていた。
クラスでも上位グループに位置し、恋人もいたことがある。
そんな彼女にとって、下位に位置付けている徳川は
ただ席が隣なだけの存在だったのだが。
アンは河川敷で徳川を目撃する。
ビニール袋に入れられた何かをけり続ける姿には
猟奇的で危険なものを感じた。
徳川は勉強ができるわけではないが、絵がめちゃくちゃうまい。
彼の描く絵は暗くて、アンのお気に入りである。
多くの者が敬遠しそうな題材、内容ではあったが。
副担任に端を発した面倒ごとを徳川によって助けられた
形になったアンはなめてかかっていた徳川に注目。
猟奇的なこと、そういった類のエピソードや写真集などにも
非常に詳しい徳川に時期がきたら自分を殺してほしいと依頼。
「事件」を自演しようと目論む二人は、こっそり会い
着々と準備を進めるのだが。
ちょっとしたことがきっかけで変わってしまう
学園ヒエラルキーの勢力図。友達との関係。
逃れられない親との関係。崩れそうで頼りない未来を
必死に走り抜け、彼らは「事件」を成就できるのか。
集英社文庫