2016年06月04日

小説『はじまりの島』柳広司

イギリス海軍船がガラパゴス諸島に立ち寄り11人が上陸。
その中にはあのダーウィンもいた。
独自の進化、生態系を持つこの島にダーウィンは興奮し
画家である私アールに動植物のスケッチを求める。
船長以下11人は島の生き物たちが人や他の生物に
全く警戒心を持たない事実に気付く。
これじゃ捕獲し放題じゃないか。
料理人の提供した食材は宣教師を怒らせ、人々の食欲を奪う。
そんなちょっとした事件の次の日、宣教師の死体が発見された。

物語はミステリー形式で、当時のダーウィンの発想がいかに
突飛であり、またキリスト教世界が普遍的に蔓延、「常識」として
人々の精神、生活に及んでいたかが物語の鍵となる。
作中、世界のスタンダードはイギリスであり、神が前提、
科学が万能の世界ではない。そんな中現在「常識」とされる
ダーウィンの『種の起源』的発想がいかにキリスト世界に
おいて不都合な真実であるかは想像に難くない。
新しい発想や発見は人々の心に不安や混沌、虚しさを
与えることもある。事件に隠された異常とも言える動機、
裏側を知るとき、時代、場所、生い立ちにより
「価値観」がいかに頼りなく揺るぎやすい脆いものなのか
が問いかけられる。「常識」と「非常識」とは。
創元推理文庫 
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 06:58| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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