2016年04月29日

小説『嫌な女』桂望実

石田徹子は母と姉の熱心な働きかけにより勉強に明け暮れ
弁護士に。しかし、常に心は満たされぬ想いを抱えていた。
そんな彼女の遠縁に同い年の小谷夏子という女がいた。
幼少期から大人の心をわしづかみにしわがまま放題。
徹子のひまわりのワンピースをずたずたにした夏子の印象は
もちろん最悪である。

小悪党で人の心の隙間に入り込むことに天性の才能がある
この悪女は詐欺によるトラブルを起こし、
結果徹子はこの厄介な親戚の揉め事の解決に駆り出される。
お金が大好きでまじめに働くことは嫌い。普段の行いも悪い
夏子に眉をひそめていた徹子であったが、年を重ねるごとに
彼女の魅力に気付く。いつしか夏子を応援している徹子。

確かに夏子は人から金を奪うが人を勇気づけたり、夢を見せたり
と与えている部分も多い。つめが甘く、大金をせしめることに
失敗したり、ターゲットに詐欺行為を見破られていることもある。
不思議と愛嬌があるのである。

また本作では弁護士徹子が遺言作成に関わる事案が多いのだが
そのエピソードや弁護士事務所でのやりとりなど秀逸な点も多い。
登場人物たちが年齢を重ね、またどういった人間関係を築いて
いくのかも見ものである。光文社文庫
ラベル:桂望実
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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