2015年07月15日

小説【影法師】百田尚樹

下級武士でありながら家老に大出世した勘一は
唯一無二の親友にして「恩人」彦四郎の死を知る。
剣は達人、塾では最高の成績でありながらおごらない。
誰もが認める豪傑だったが、ある日を境に
奇矯な振る舞いをとるようになった。
不遇や不幸なめぐりあわせが彼を変えてしまったのか。
勘一は過去を回想しながら、彦四郎の姿を追う。
そこには、かつて友と交わした約束を破らせるだけの
男の生き様があった。

江戸時代。封建的で閉鎖的な階級制度の社会。
下級武士の子であった勘一は幼くして父を亡くす。
ヨゴレ上級武士によりこどもが斬られそうになり
これをかばったからである。涙を流す勘一に
「武士の子が泣くものではない」と言われた。
彦四郎であった。その言葉を支えに勘一は精進。
誰もが認める天賦の才を持つ彦四郎と共に勘一は
成長していき、藩の抱える問題に直面していく。
米の不作により生活が逼迫した農民が直訴、
受け入れられなければ一揆を起こすという。
武士だけでなく農民も命懸けでやってきた。

藩の窮状を知った勘一は財政再建のために
干拓事業の夢を彦四郎に語る。今の立場で進言すれば
不敬であり最悪切腹を申し渡されると止められた。
私腹を肥やし暗躍する家老や上級武士、
藩主に逆らった不穏分子を殺害せよ。
手練との戦いにより二人の明暗は分かれてしまった。
藩主に気にいられ重用されていく勘一、
逆に彦四郎は背中に傷を負い不遇の日々を送る。
竹馬の友から聞こえてくる彦四郎の近況は耳を疑う
よくないものばかりだった。
不幸なめぐりあわせが、自分のとった言動が彦四郎の
悪循環を引き起こしたのではないか。
かつてお互いを自分以上に高く評価しながら、
全く違う道を歩んだ二人が「信じた」こととは。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 06:14| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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