2015年06月12日

小説【月と蟹】道雄秀介

海辺の町に住む少年慎一は祖父と母と暮らしている。
父は癌となり、カニの形の癌細胞に侵され命を落とした。
同級生の美少女鳴海は赤ん坊の頃母を亡くしていた。
慎一の父が起こした事故が原因であり、そのことから
教室において彼に話しかける者はほとんどいない。
慎一同様にクラスでともだちがいない春也、
そしてなぜか自分に話しかけてくる鳴海のみ。
慎一は唯一無二の友達春也と共に海岸に出かけ、
ペットボトルを使ってヤドカリを獲る。
ヤドカリをヤドカミと呼び願いを込めた儀式を行う。
はじめはたいしたことを願っていなかった。
お金がほしいとかだった。
でもいつしかその儀式にはドロドロとした想いが
こもるようになっていた。

母が内緒で男と会っているらしい。
春也はどうも父親から虐待を受けているようだ。
好意を持つ鳴海。でも春也を見つめる鳴海。

無邪気に遊びを楽しめた少年時代は終焉を迎え
いろいろなことに気付きはじめてしまった。
そのことで葛藤し、激しくも切ない衝動に駆られる。
腹の底に溜められていった情念は噴出し
いつしかズルくなってしまった少年は
儀式に自らの想いを託した。直木賞受賞作。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:30| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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