椎崎先生の息子陽介の死によって暗い影を落とす。
陽介が大切にしていた愛犬が急に走りだしたことで
陽介が引きずられ、そこに自動車が…。
愛犬は行方不明になってしまった。
事故死と思っていた秋内であったが、あれは意図的に
起こされた殺人なのではないか?と切り出した。
単純で計算できない男秋内は、智佳にひとめぼれ。
どうにかお近づきになりたいものだ。
恋愛経験に乏しい秋内にできたことは
智佳との会話のシミュレーションのみ。
そんなとき京也が近づいてきた。
彼いわく、自分がひろ子とつきあうようになれば
自然とそのともだち智佳とも接点が生まれる。
だから俺と仲良くしていればよい。
自分のシミュレーション手帳を拾われ読まれ
智佳への想いがバレたが、バラされる地獄は避けられた。
でもそんなにうまくいくわけないよと思っていた
秋内であったが、京也はあっさりひろ子とつき合いだす。
よって秋内は智佳と近づくチャンスを得るが
奥手なのでなかなか切り出せない。
事故現場での京也の行動があやしいと疑う秋内は
友への疑惑を晴らしたいと真相を探り出す。
事件を追う秋内は思わぬ人物から「告白」を受け、
葛藤しながら推理を働かせる。
大学内で変人として定評のある間宮助教授に教えを
乞うことにした秋内。
事件のカギを握るのは犬の生態なのではないか。
人の持つ滑稽さや生きていくことで抱える傷、
悲しみを巧みにつづったミステリー調の傑作小説。
ワクワク感があって、引き込まれる。文春文庫
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