武藤翔と魂(意識)が入れ替わってしまい…。
かくして漢字の読めない総理が誕生し、
酔っ払い大臣が生まれ、
与党をあげつらうだけで本気で政治のことを考えない
野党が生まれ、政治家は政治屋に成り下がる。
揚げ足取りのマスコミの暗躍によって本題を外れ、
毎年変わるカレンダー総理に国民の心は離れる。
物語は麻生総理を連想させる主人公が、息子の身体になり
就職活動を通じて息子の意外な一面を知り、
そこに本来の自分のあるべき姿を思い出していく
というものである。
息子は息子で、若さの持つ特権によって公式の場での
問題発言(理想を感情的に吐露しているだけだが)をかまし
物議をかもしていく。
前半は人の魂が入れ替わるという「よくある」設定によって
巻き起こる珍騒動によって笑いを誘う。
後半は仕事とは、人とは、国とはどうあるべきかを嘆かける
感動的な話に転じていく。
現実と向き合ったとき、そこには自らが進むべき道があった。
文春文庫