二十数年前にある県職員が提示し、実現すれば
大きな観光の目玉になること請け合いの企画だった。
しかし、事なかれ主義のお役所のこと。
熱心なその男の呼びかけは受け入れられず、
官職に追い込まれた男は失意のまま県庁を去る。
そして時は流れた…。
高知県庁に「おもてなし課」が生まれた。
若手職員掛水は高知振興のために著名人たちを
観光特使に依頼し、名刺を配ってもらうように
呼びかける。しかし、そこはお役所仕事。
民間の感覚を持たない彼らはことごとくチャンスを
失っていく。そんな中、地元出身の人気作家である
吉門という男だけは親身になってこのお役所仕事に
痛快なまでのダメ出しをしてくる。
吉門に触発された掛水は彼のアドバイスを受けながら
このダメダメなおもてなし課の意識改革に乗り出す。
たまたまアルバイトとして働いていた優秀な多紀を
コンビに据え、吉門が推挙するある男に会いに行く。
それはかつてパンダ誘致論を唱えた奇抜な男だった。
吉門とその男には浅くない繋がりがあった。
高知の最大の売りである自然を武器に攻勢をかける
ことにした同志たちは、ときに苦く渋い想いをしながら
県振興、観光促進をめざして歩き出していく。
地方を舞台に仕事と恋をからめた人間ドラマを痛快に描く。