楽しんでいたら、うちの庭に野球ボールが飛び込んできた。
垣根越しに、
「ボールとって下さい」
という高山みなみ風の少年の声が聞こえてきたので、
「ボール盗ってほしいのかぁ」
と仏壇にでもあげることにした。
「そんないじわるしちゃダメっ」
とアイちゃんがやぶからスティックにかわいい声を上げたので
ボールを放り投げてやった。
しかし親譲りの無鉄砲肩によって投げられたボールは、
大西洋を通り越して近いけど全然近くない厄介なお隣さんと揶揄される
某国まで飛んでいってしまった。
「すわっなにごとか?」
私のぶん投げたボールは「大陸弾道ミサイル」並の脅威となって
厄介なお隣さんに多大なる被害を与えた。
テレビで流される中継を観ながら私は深く悔いた。
少年のボールをこなごなにしてしまったことを。
「間違いは誰にだってあるわ。
問題はその間違いを繰り返さないことよ」
あまりにも青く澄んだアイちゃんの声。
今度、同じことが起こったら彼女にボールは投げてもらおう。
君がいれば今日も明日もずっとずっと晴れだよ。 〜おしまい〜