2008年09月11日

直木賞「暗殺の年輪」藤沢周平

「暗殺の年輪」

馨之介は、かつての盟友金吾と共に、藩の実力者嶺岡兵衛の

暗殺を命じられる。しかし、彼はこれを辞退。

その後、「父の死」に隠された悲しい宿命を悟った彼は、

己が道を開かんと立ち上がる。


主人公に芽生えた心の変化の描写と、緻密な構成、武家社会に

潜む非常な掟、そして理不尽を描いた直木賞受賞作。


「黒い縄」

姑の不気味な嫉妬におびえ、出戻り娘となったおしのは、

幼なじみであった宗次郎と出会う。

宗次郎には、「殺人」の容疑がかけられていて、

しつこく彼をお縄にしようとつきまとう元岡っ引きの地兵衛。

かねてより、宋次郎に好意をよせていたおしのは、

「殺人」をしていないという宋次郎の言葉を信じ、淡い恋心を

抱くのだが……。


「ただ一撃」

仕官登用にあたり、剣術の腕前を披露した猪十郎は次々と藩内の

人間を叩きのめす凄惨な試合を展開した。藩の矜持をかけて

猪十郎を叩きのめさんと藩内において、白羽の矢がたったのは

齢六十を超えた一人の老人。

無謀とも思えた老人の家族は、これを危ぶむが淡々とした様子を

見せる老人は、ふらりと修業の旅に出かける。


「くらい海」

「富獄三十六景」を描き、風景画の大家として名声を博していた

北斎であったが、人気に陰りもあり、不安を感じていた。

そんな北斎の耳に評判の絵師である安藤広重の「東海道五十三次」を

称える声が聞こえてきた。年老いた自分と、まだ若くして名声を

勝ち得た広重と謙虚な姿勢から垣間見える若さゆえの自信、

それでいて平凡にしか見えてこない絵を見るにつけ、北斎の心の中が

荒れた海のようにうずき出し、いつしか殺意に変わる。


「囮」

彫士をしながら、下っ引き(岡っ引き)をする甲吉が主人公。

殺人を犯した徳蔵を捕まえんと、徳蔵の恋人であるおふみを

見張る甲吉はいつしか、おふみに魅かれるようになる。

人間の持つ残酷な心をえぐるように描いた物語。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 17:49| Comment(0) | TrackBack(1) | おすすめの短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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