2008年08月09日

直木賞「東京新大橋雨中図」杉本章子

明治時代、主人公小林清親は絵師として激動の時代を駆け抜ける。

第100回直木賞受賞作。305ページ。下町情緒あふれる粋な作品。


小林清親は、江戸に居を構える小役人。たくさんの兄弟がいるものの

母といっしょにかつかつの生活をしていた。時代は幕末。

「幕族」薩長の侵攻によって、江戸の町は「明治維新」を余儀なく

され、江戸っ子や武士たちは蔑ろにされる。清親は、年老いた母と

ともに江戸を離れた。絵を描くことが好きだった清親は、それを機に

自分の画帳を燃やしていたが、母の頼みもあり江戸の景色を描いた

1冊だけは手元に残った。



転居先で身体を動かす仕事をし、生計を立てていた清親は

退屈さを感じ、親友である圭次郎らと共に、昔取った杵柄で

斬り合いを見せるショーに参加することにした。しかし、

限界を感じ、これを機に江戸にふたたび舞い戻ることにした。


その後、清親は自己流で描いていた絵を見込まれ、「光線画」や

漫画のような「ポンチ絵」、新政府の風刺絵などを描き好評を博す。


絵師として成功を収めながらも、大切な人と離別をしたり、

殺害現場に居合わせたり、結婚をするも妻と心が離れたり、

いいことばかりではないが、絵師仲間の芳年と切磋琢磨しながら

また自分を取り立ててくれたパトロンや自分の絵や成功を喜ぶ人

のために清親は筆を取るのだった。


変わっていく世の中、変わっていく町々、変わっていく人々……。

でも変わらないものもあるんじゃないか。

変えてはいけないこともあるんじゃないか。

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posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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