自分の居場所求めて、キャバ嬢になったヒロインの
サクセスストーリー。読後感もよい。
かわいくないし、ネクラだし、笑顔を見せるのも苦手。
まじめで、上手に嘘もつけない。そんなヒロイン南怜奈は
ある日、身勝手なダメ彼氏から一方的に別れを告げられ、
派遣会社からも一方的に契約打ち切りを告げられた。
条件にあう仕事がない中で、知り合いからキャバクラの
タイニュー(一日体験入店)をしてみないか?と言われる。
生活費に切羽詰っていた南は、一日のつもりで働き、
2万円を手に入れる。
やっぱり自分は、キャバ嬢には向いていないと思った南だったが、
かつて自分と同じように地味で、片隅で生きていると
位置づけていた同級生の姉と出会い、彼女に身の上相談をした。
彼女美香は、六本木の華やかなキャバクラでNo1を取るほどの
転身を遂げていた。そして、南にはキャバ嬢が向いているの
じゃないかと説得。
おそるおそる、キャバ嬢になった南はプロ意識をもった人々
美香や、店長羽田、スタイリストでゲイのケイや、
お店でいろいろな理由で働くキャバ嬢や、
自分のことを見てくれるお客と出会い、
少しずつ自信を持ち、努力を覚え、夢を育んでいく。
喜んで、怒って、哀しんで、楽しんで、学んで……。
ここには、自分の居場所があるかもしれない……。
そして、自分のことを本気で考えてくれる人がいる。
片隅でひっそりと生き、人の不幸を想像することで、
自身の悲しみを紛らわせていた南だったが、
「人を幸せにしたい」、「笑顔にしたい」と思うようになる。
仕事のことを漠然と考えている高校生や大学生に
特に読んでほしいおすすめの一冊。390ページ。