2008年06月11日

小説「陰陽師」夢枕獏


まだ、人が闇や鬼といっしょに暮らしていた平安時代の話。

「しきがみ」と呼ばれる不思議な超能力や、陰陽道に通じ、
和歌の才に溢れた不思議な男がいた。その名を安倍清明。

清明には、気のおけない唯一無二の親友がいた。

天才的な音楽の才能を持ち、醍醐天皇の孫にして、
誰からも慕われる少年的なやさしさを持った武士。
その名を博雅。

彼らを頼って、都に現われる鬼や不思議な物の怪、
あやかしなどの退治の依頼がなされる。

「今昔物語」などを下地に描かれる世界観は独特で、
その内容に惹きこまれれば、シリーズ化されている
その後の作品も存分に楽しめる。古典に通じていれば、
そのおもしろさは、一層引き立つこと請け合いの作品。

妖怪退治と、二人の会話の掛け合い、言葉遊びなどが
おもしろい。


「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」

羅城門に、美しい音色を奏でる鬼が現われた。
鬼は、一級品の琵琶と交換に女性を要求。
清明と、博雅は鬼を退治せんと出かける。


「梔子の女」(くちなしの女)

口のない女が、現われた。何故か?

言葉には、文字には力があると語る清明の
言葉が生かされた傑作。
有名な歌合せの逸話も収録。


「黒川主」

ある日のことだった。もののけに見初められた孫娘が
夜中に自宅の鯉や鮎を、生でバリバリと食べている
ではないか。そして、現われた生臭い化け物。

二人は、もののけ退治を頼まれ、この奇妙な怪物と対決。


「蟇」(ひき)

封じ込められた妖怪。清明は、完全に妖怪の怨念を
封じ込めない方がよい。と説く。逃げられなければ、
多少その歪みが封じ込めた場所に現われても、それは
仕方がないことだと説く。


「鬼のみちゆき」

「迎えに来る」という約束を信じ、待ち続けた女は
男に会えぬまま非業の死を遂げた。恨みは募り、
新たにひとりの鬼が生まれた。悲しみは癒えるのか?


「白比丘尼」

人魚の肉を食らったばかりに、悲しい人生を宿命
づけられた女がいた。博雅のやさしさが溢れた作品。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめの短編・短編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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