2019年08月19日

小説『極楽カンパニー』原宏一

定年退職した会社人間須河内、桐峰は本気で
会社ごっこをはじめた。
「絵空事・馬鹿正直・度外視」
という現実の会社ではできなかった理想を掲げ、
邁進する二人は彼らに賛同する喫茶店のマスターの
協力もあって架空の会社を設立。

退職後張り合いをなくし、暇を持て余していた
同じ境遇の者たちが想像以上に集まってきた。
喫茶店をオフィスとした本気の会社ごっこ遊びは
会社人間、モーレツ社員たちにとって最高の時間。
金の介在がないだけで本式の会社と見間違うレベルの
ごっこ遊びに定年退職者達は夢中になる。

100人単位に膨れ上がり、喫茶店だけではキャパ超えと
桐峰は新たに別会社をつくり切磋琢磨しようと張り切る。
商社に勤めていた須河内の息子慎平はそんな父を冷ややかに
見ていた。だが将来の独立を真剣に考えるようになり
父たちの会社ごっこはそのままビジネスに転用できる
可能性に気づく。そして資金を出してくれるという
悪評ばかりの二谷の存在もあって会社との決別を決める。

会社ごっこは会社人間だった多くの定年世代の心を捉え、
全国に広がっていく。そんな中、事件が勃発して。

父と子の確執、母の怒り、働き方や働く意味を
ユーモアを交えて描く。作品の中で、登場人物が
会社って一体何なんだろうね?と考えるシーンがあるが
本当に会社って何なのかね?労働環境自体はどんどん
よくなっているはずなのに、離職率とかは上がっている。
終身雇用が崩壊したことや、転職自体のハードルが
ずっと低くなったことや、家庭の形やあり方や
女性の社会進出など多くの要素がからみあって、
一概には言えないのもかもしれない。

職業選択が自由化したことで、かえって複雑化、
迷う要素が増えたような気もするが、職業を変えられる、
逃げられる環境もできた気もするし。いずれにせよ
天職を見つけられればいいけどこればかりは難しい。
集英社文庫
ラベル:小説 原宏一
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 09:26| Comment(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする