2018年04月06日

小説『ニッチを探して』島田雅彦

銀行員副支店長藤原道長は使途不明金の背任の罪を
かけられ逃れるように失踪してしまう。20億円にも及ぶ
巨額の中小企業への融資は彼なりの正義の発露。
実際は不正を指示した支店長への面当てだった。

自分の居場所スキマ的ニッチを追い求める道長。
支店長は道長を捜し出し罪をなすりつけようと画策。
道長は不正の証拠を隠し、家族である妻と娘に連絡を入れ、
ドロップアウトを愉しむことにした。

初めこそ道長は豪遊し、都内をうろつき孤独のグルメを
堪能するがすぐに資金が底をつく。
ネットカフェ、段ボール生活、そして路上生活…となるが、
食いしん坊なやさしいジャイアンと出会ったり、
神佑天助か意外な幸運によって生き長らえていた。

しかし、道長が切り札に取っておいた
いざという時のための隠し財産をめぐり裏社会からの
刺客が放たれる。ニッチを探し続ける道長の命運は?
ドロップアウトは蜜の味?
それともほろ苦い教訓を残すのか?
レールから落ち、生存競争に負けニッチを求める
ことになるのは果たして誰なのか?
高い知性と鋭い考察力、構成力にガンガン引き込まれる。
人間行動学的見地、随所に登場するトリビアもおもしろい。
新潮文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:13| Comment(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする