2017年03月10日

小説『太陽の坐る場所』辻村深月

高校卒業から10年。毎年開かれるクラス会に
女優キョウコの姿はなかった。
神話を題材とした映画の活躍により、
東京の看板にその姿を見せるほどの芸能人になった彼女。
同級生たちにとって話題に上らないことはない。
なぜ彼女が姿を見せないのかを考える同級生たちは
やはりあの恋愛がからんだ「革命事件」が関係している
と考えていた。かつて近い所にいながら、
現在は遥か高みに行ってしまった同級生の姿は
太陽のようにまぶしすぎて実体をつかめない。
登場人物たちは本音を隠しながら、彼女に呼びかける。
キョウコに出てきてほしい、と。
徐々に明かされていくキョウコの高校時代の姿。
そこで描かれるのは女王が君臨する学園ヒエラルキー。
恋愛のためにこの高校を選び、自分を輝かせるために
選ばれた臣下としての女友達。女王の顔色を窺い、
苦汁をなめさせられていた者たちにより信頼を失った
女王は、ある事件をきっかけに…。

この物語は読んでいると違和感を覚える。
それは徐々に明かされていくのだが、伏線の張り方、
凝り方は小説じゃないとできない手法である。
登場人物たちの中には歪んだ性格の者も多く、
勘違いが引き起こす長年の葛藤も描かれている。
登場人物の心情の変化、選んだ行為、
高校における立ち位置と現在の立ち位置の変化を
描いたのは流石のひとこと。イヤミスと思わせて
うまく消化させてくれるうまさがある。文春文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする