2017年02月28日

小説『みんなのふこう』若竹七海

超天然ドジっ子ココロちゃんによる珍騒動を
描いた捧腹絶倒のユーモア小説。

神奈川県葉崎(架空の街)はド田舎だが海があり
ラジオ局もある。瞳子ねえさんによって、
みんなの不幸(笑い話になりそうな不幸話)を
紹介するコーナーに登場するのがココロちゃんだ。
ココロちゃんの行くところ事件が絶えない。
バイトをすればとんでもない失敗をしでかしクビになり、
住居のボロアパートでも事件をを起こし強制退去。
斡旋された新たなバイト先では過去の事件が露見し、
あやしげな宗教団体に何の疑いもなく入り浸る。

しかし不幸続きなのに、ココロちゃん本人はいたって
平気なもので元気いっぱいに暴れまわる。
ものすごいスタンド(守護霊)がついているのか、
本人のダメすぎるドジ体質、失敗に次ぐ失敗、
他人の悪意を受けながらも命を落とすことはない。
しかも本人は他人のズルさや悪意に全く気付いていない。
ある意味超人というか仙人的というか…。
1年を通じて、彼女の活躍?を描いたこの作品は
スカッと笑いたい方におすすめの良作に仕上がっている。
株式会社ポプラ社
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2017年02月25日

小説『かなたの子』角田光代

自分たちが興じた遊びの過失により同級生を殺して
しまったこどもたちは成長し、同窓会で顔を合わせる。
40歳を過ぎて毎年顔を出すメンツは決まっている。
ある種の共犯じみた集い。暗闇に閉じ込めてしまった
かつてのともを思い出すとき自分たちも暗闇の中に…。
『同窓会』

決してでしゃばらないが無表情な妻と暮らす家には
不気味な黒い梯子がかかっていた。ある日、夫は
自分の家に黒い複数の人影が入っていくのを目撃し…。
『黒い梯子』

記憶があいまいになるほど年を重ねた老婆。
30歳になる孫が結婚するという。
まだ中学生だと思っていたのにとうろたえる。
老婆は幼少期から他の者には見えない者を見ていた。
それは生まれてこなかった双子のかたわれ。
特に何をするわけでもなく物言わず自分を見てくる。
きっと生きている自分のことを恨んでいるのだ。
『わたしとわたしではない女』

生まれてこなかった子はどうなるのか?
8ヵ月もお腹の中にいた子をなかったことに
などできるわけがない。如月となづけたかなたの子を
愛で続けた文江は「くけど」に行けばわが子に会えると
聞いてかの地を訪れる。心揺さぶられる作品。
『かなたの子』

など8編を収録した短編集。怖くてせつない。
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2017年02月18日

小説『解』堂場瞬一

1989年。
政治家、小説家になるという夢を掲げる
大江波流、鷹西仁はそれぞれ
大蔵省、新聞記者の道を歩き出した。
時は流れて2011年。彼らは夢を叶えていた。
お互いの活躍をメディアを通じ、会話し称え合う二人。
しかし、大江には親友鷹西にも妻にも言えない秘密が…。

代議士の息子である大江は総理大臣になるのが夢。
鷹西は小説家になろうと賞に応募し最終選考に残るレベル。
夢を叶える下地としてそれぞれ卒業後の進路を決めた二人は
それぞれの道を歩き始めた。
鷹西は静岡県に赴任したが大きな事件も起こらない土地柄と
いうこともあり、物足りない日々を送っていた。
一方、忙しい日々を送っていた大江だったが、父が急逝。
困惑する大江に「弔い合戦」ならぬ選挙への打診をされる。
政治家としては貴重な清貧であった父は財を残すどころか
多くの借金を抱えていた。金がらみのしがらみに捕らわれたくない
大江はこれを断った。政治家になったあとも金が理由で
首に鈴をつけられるようなことを嫌った大江は
潤沢な資金を得るために起業することにした。
アメリカへの留学経験からITが日本を席巻することを予想した
大江にはまとまった金が必要であった。かくして事件が起こった。
新聞記者鷹西にとってはじめての大きな事件であった。
しかしそんな鷹西をあざ笑うかのように異動が決まる。

大震災、悲惨な事件などと共に年を重ね、着実に階段を歩む
二人であったが…。タイトルが示す「解」とは?集英社文庫
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2017年02月15日

小説『噂』荻原浩

噂が人を殺しに駆り立てる。
新ブランドの香水を売り出すために集められた女子高生。
噂の発信地は渋谷。高額報酬により意図的な販売戦略、
口コミにより、都市伝説化した噂により大ヒットした。
「レインマンが現れ、女の子の足首を切るのだが
この香水(ミリエル)をつけていると助かる」
いい噂よりも悪い噂の方が10倍伝わり、
恐怖を交えるとその効果は一層高まる。
まことしやかに囁かれる都市伝説的噂の数々…。
しかし、その不気味な噂は現実の殺人事件になり…。

妻を亡くし、中学生の娘菜摘と暮らす中年刑事の小暮は
優秀な女性警察官名島とチームを組み事件捜査に乗り出す。
被害者である十代の友達、ギャルなどを探る二人は
噂の出所を探る内にムリエルという香水に行き着く。
意図的に広められた噂。これは臭う…。
被害者が年頃の女の子と言うこともあり警戒を強める小暮。
殺人犯の魔の手は自分の娘の友達にも迫っていた。
警察の捜査をあざ笑うかのように連続殺人事件に発展。
拡散した噂は新たな犯行のきっかけになって…。新潮文庫。
ラベル:小説 荻原浩
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2017年02月12日

小説『羆嵐 くまあらし』吉村昭

大正4年北海道。巨大なヒグマにより壊滅的な被害を
受けた集落に、百人規模の警察隊が投入された。
しかしそれをあざ笑うように、ヒグマは人を喰い漁り、
恐怖は人々に伝播し、悪夢のような日々が続く。
冬眠するための穴を見つけられなかったヒグマは
特に狂暴になり、人を襲うという。
100貫(370キロ)クラスの巨体を持った
肉食獣の猛威は止まらない。
悲しみに暮れる被害者家族、そして自分たちがエサになる恐怖に
怯える人々。その恐ろしさは警察官たちとて例外ではない。
死神は今すぐそこに忍び寄っているかもしれない。
この地獄のような状況の中、
100頭以上のヒグマ(羆)をしとめた伝説のマタギ銀四郎に
白羽の矢が立つ。妻に逃げられ、子を失ったこの男は
手に負えない酒乱であり留置場に3度も捕まった問題人物。
できたら関わりたくないと敬遠され、疎まれた存在。
高額報酬こそ約束したものの、来てくれるかどうかわからないが…。
美しい自然の描写、その土地に生き根を下ろすことの意味。
過酷すぎる自然環境と圧倒的存在感を放つ大型肉食獣に
翻弄される人々の悲嘆、スリリングな展開は
実際におこった事件をもとにしたドキュメンタリー。
新潮文庫
ラベル:小説 おすすめ
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2017年02月09日

小説『神様からひと言』荻原浩

「珠川食品」に再就職した佐倉凉平はキレやすい性格が災いし
早速トラブルを起こしてしまう。リストラ要因収容所と
社員たちから呼ばれているお客様相談室にやってきた。
まともな社員なんているわけない。イヤミなキザ上司に
競艇狂い、アニメオタクに心を病んでいる剣道の達人。
KY(会社辞めたい)。だが家賃を払うために
2か月だけは我慢してから辞表叩きつけてやる!と
前向きに考える佐倉だったが…。

たまちゃんラーメンや漬物などを製造している珠川食品は
旧態依然の社風、会社のトップはとっちゃんぼうやの副社長。
上司へのお追従で成り立っているクソ会社で腐敗体質。
まともだった会長は失踪しており、会社は右肩下がりのジリ貧。
社運をかけたカップラーメンはまずいとクレームの嵐。
販売されている製品には苦情も多い。この会社、大丈夫?

お客様は神様。なのでお客様からのクレームを大切に!
という創始者の社訓がかかっているものも、嫌な仕事は
島流し的ポジションのお客様相談室に集中する。
わざわざ商品ごとにお客様の声を聞かせて下さい。
とここの電話番号があるからだ。
佐倉はクレームの洗礼を受け、うんざりする毎日。
でもこの職場をやめるわけにはいかない。
半年前に出ていったリンコが帰ってくるかもしれないし
嫌なことから尻尾をふって逃げるのはかっこ悪い。
これはもはや意地かもしれない。
そんな佐倉に一見ダメ社員だが、クレーム処理の達人篠崎が
謝罪の極意を伝授。篠崎も帰らぬ家族を待っていた。
少年漫画的主人公佐倉のがんばりは神様に、
人々の心に届くのか? 光文社文庫
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2017年02月05日

小説『クリムゾンの迷宮』貴志祐介

目覚めた場所は不気味な深紅色の岩が連なる不思議な世界。
ゼロサムゲームを余儀なくされた藤木たち9人の
悪夢のようなサバイバルゲームの火ぶたが切って落とされた。

藤木芳彦は何者かの手により荒野に立たされていた。
記憶はあいまいではっきり覚えていないのだが、
アルバイトの最終面接に行ったような…。
どうもはっきりしないのだが、冬だというのに暑い。
違和感がぬぐえない。傍らに置かれたゲーム機が告げる。
「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された…」
与えられた情報は限定されたもので、混乱は止まらない。
そんな彼が見た者は人影…。少しでも情報がほしい。
必死で追いかけた相手は大友藍と名乗る女であった。
やはり彼女も記憶があいまいで、ここがどこかは不明。
ゲーム機の導きにより、チェックポイントをめざす二人は
ゲームプレイヤーと合流。7人の男、2人の女は
悪意満々の主催者により、ゲームの趣旨を暗喩的に知らされる。
このゲームは限られたパイを奪い合うゼロサムゲーム。
ゲーム機により、4つのルートが提示された。
それぞれ自分がほしいと思うアイテムを選んでほしいという。
不自由な4択を迫られた9人は、各々の判断で4つのチームに
分かれ、それぞれのルートを歩み出した。
再び合流して、獲得したアイテムを平等に分配し合うという
口約束をして…。しかし…。
角川ホラー文庫
ラベル:小説 貴志祐介
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2017年02月01日

小説『恋愛検定』桂望実

恋愛の神様が人間たちの恋愛力を判定!
恋愛検定に受かると何かと便利。先輩の中には
恋愛検定に合格したことで課長に出世した人も。
上級試験に合格すると、恋愛マスターとして
著書を出しベストセラー作家も夢ではない。
恋愛の神様は対象者の恋愛を6か月観察し合否を判定。
姿を現すときは、自分と対象者(受験者)以外の時間を
とめて会話をするのだが、酒好きで妙に人間臭いのだ。
恋愛の神様は神同士の仕事の中では傍流の末端的役割らしい。
だから仕事や上司に対するグチをする上に、恋愛をしないと
いう神様からしてみたら人間のそれは理解不能らしい。
しかも基本的にヒントを与えることも禁止されていて、
恋愛の相手すら教えてもらえない。
登場する七人の男女はそれぞれの恋愛力に応じた級を
受けることになるのだが…。
恋愛を前向きに肯定的に描き読者を楽しませる要素満載。
祥伝社文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:30| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする