2016年07月23日

小説『ゼロの焦点』松本清張

新婚旅行を経て、仕事の引継ぎのため出かけて行った
夫鵜原憲一は謎の失踪を遂げる。
夫を心配する妻禎子は、会社の関係者や憲一と懇意にしていた
室田夫妻らと共に憲一の安否を気遣う。
どうも憲一には秘密にしていたことがあるようだ。
その秘密に近づき、真相を知ろうとする者たちが
次々と命を落としていく。一体誰の仕業なのか。
禎子は二枚の写真や非業の死を遂げた者たちの足跡をたよりに
真実に近づいていく。
それは戦後間もない時代が引き起こした悲劇だったのか。
『点と線』に次ぐ著者のミステリー物。
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2016年07月16日

小説『ハッピーエンドにさよならを』歌野晶午

挑戦的なタイトルが示す通り、無慈悲な話が次々と展開される。
一流の小説的技巧が光る内容。
努力が必ずしも報われない悲しい結末。
殺人事件が起こり、もし真相にたどりつけても
そこには決して素直に喜べない「裏」の顔が待っている。
切り離したはずの男はしつこく喰らいついてきて、
平穏な生活に影を落とす。
禁忌を犯し、あの部屋に入ってしまった私は…。
掲げた高い目標、「夢」はいつしか「悪夢」に変わり…。
内容は非常に優れていて、一気に楽しめた。
アイディアを惜しげもなく詰め込んだ短編集。角川文庫
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2016年07月11日

小説『オーダーメイド殺人クラブ』辻村深月

中2のリア充小林アンは昆虫系とさげすむ徳川の
奇行を目撃し、彼に自分を殺してほしいと依頼した。
どうせなら今まで誰もしたことがないような事件となり
長く語り継がれ、その後の少年A少女Aにとって
バイブルのような存在になりたい。
繊細だが面倒、自覚なく他人を傷つけ、見下す。
自分の痛みには敏感でも他者の痛みには鈍感。
中二病のアンは死や猟奇的なものにあこがれを持つ。
そういったニュースや本を探す日々を送るがそれを隠し
「普通」のリア充として振る舞い生きていた。
クラスでも上位グループに位置し、恋人もいたことがある。
そんな彼女にとって、下位に位置付けている徳川は
ただ席が隣なだけの存在だったのだが。

アンは河川敷で徳川を目撃する。
ビニール袋に入れられた何かをけり続ける姿には
猟奇的で危険なものを感じた。

徳川は勉強ができるわけではないが、絵がめちゃくちゃうまい。
彼の描く絵は暗くて、アンのお気に入りである。
多くの者が敬遠しそうな題材、内容ではあったが。

副担任に端を発した面倒ごとを徳川によって助けられた
形になったアンはなめてかかっていた徳川に注目。
猟奇的なこと、そういった類のエピソードや写真集などにも
非常に詳しい徳川に時期がきたら自分を殺してほしいと依頼。
「事件」を自演しようと目論む二人は、こっそり会い
着々と準備を進めるのだが。

ちょっとしたことがきっかけで変わってしまう
学園ヒエラルキーの勢力図。友達との関係。
逃れられない親との関係。崩れそうで頼りない未来を
必死に走り抜け、彼らは「事件」を成就できるのか。
集英社文庫
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2016年07月06日

小説『アナザー Another』綾辻行人

3年3組には死がつきまとう。
まことしやかにささやかれる「呪い」に関する
噂とルールによって、秘密は守られるのか。
謎という名のミステリー、そして背筋を凍らせるホラー。
死を招くもうひとりは、ほらあなたのすぐ隣にいる。

転校生として5月にやってきた主人公。
彼は人形のような美少女を見かけるが
クラスメイトたちはそんな彼女が見えていないようで。
彼女は実体のない幽霊なのか。
惹かれるように彼女を追う主人公であったが
「気をつけて。もう、始まってるかもしれない」
と彼女はささやくのだった

このクラスには何かがある。
新しい生活にとまどう主人公は、この学校の三年三組が
抱える「呪い」について少しずつ近づいていく。

かつて人気者だったクラスメイトが亡くなった際、
クラスメイトたちは彼女が生きている者として扱い
生活をしていた。善意ではじまったその行いは
卒業写真にいるはずのない彼女が映るという結果を生む。
それ以降、三年三組のメンバー及び2親等内に奇怪な死が相次ぐ。
発生しない年もあるが、一度始まってしまうと
尋常ではない数の者が亡くなる。
誰にも知られず増えていて、亡くなっても誰も覚えていない
死を招く死神のような存在。誰が死を連れてくるのか?

長年の蓄積と経験則からある一定のルールが敷かれ、
彼らはその決まりごとを守ることにした。戦慄の旋律。絶賛。
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2016年07月02日

小説『検証捜査』堂場瞬一

ミスにより離島に飛ばされていた神谷警部補だったが
神奈川県警への出頭を命じられた。警視庁に所属する彼は
頭をひねりながら、捜査本部にやってきたらそこには
本庁、埼玉、大阪、福岡、北海道らで編成された刑事が集結。
婦女暴行殺人事件の犯人が不当な取り調べにより自白を強要され
誤認逮捕された事実が判明。神奈川県警の大失態を捜査するため
この特別チーム「特命班」が編成されたようだ。
なぜ失態を演じ、離島に飛ばされていた自分に
お鉢が回ってきたのかと首をかしげる神谷は
自分に対してやたらとげとげしい態度をとる保井凛、
キャリアの永井らと共に検証捜査をはじめた。
明るみに出るずさんな取り調べ。
意図的に塗り替えられた証言。
捜査を妨害するかのような某神奈川県警の圧迫を受けながら
真相に迫っていくスリリングな描写は巧みで惹きこまれる。
真相に迫る神谷が知る驚きの結末。直球の警察小説。
ラベル:堂場瞬一 小説
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 09:24| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする