2015年12月19日

小説『明日この手を放しても』桂望美

後天性の眼の病気により19歳で視力を失った凛子。
裁判官めざして勉強に励んでいた完璧主義で潔癖症の
彼女だったが目の前が真っ暗になってしまった。
無遠慮でがさつな性格が災いするのか恋人はできるが
なぜかいつもフラれてしまうその兄真司。
性格も異なり決して仲の良くない兄妹であったが、
不幸な事故で母が亡くなり
漫画家だった父も謎の失踪を遂げてしまう。

父の作品は視覚障碍者のヒロインが主人公であり、
凛子がストーリーを考え、父が作画をしていた。
この作品は大切にしたい。兄真司と共に凛子は
新しい漫画家と共にこの作品を守り、父の帰りを待つ。
ちゃらんぽらんで自分の努力のなさを社会のせいにする
あまちゃんだった兄は成長を遂げ、凛子も作品に愛情を
注ぎ込むことで前向きに歩みだす。
いつしか二人は強い絆で結ばれていく。

これはよくあるきょうだい間の恋愛感情を描いた作品ではない。
家族に限らず、人の距離感というのは微妙で難しいものだ。
同時にまともそうに見えても人それぞれ、裏の顔というか
どこかズレた感覚を持ち合わせていて驚かされたり…。
真司は結構登場人物たちに振り回されているなぁ。 新潮文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月07日

小説『悪の教典』貴志祐介

学園の人気英語教師ハスミンこと蓮実聖司には裏の顔があった。
サイコパスにして連続殺人犯(シリアルキラー)。
露見していないが、既に30人以上の命が奪われていた。

容姿端麗、巧みな弁舌能力、悪魔的思考力の持ち主。
特に共感能力が欠如していることから人道にもとる行為をしても
痛痒を感じない。この男は学園内で圧倒的な信頼と人気、
強固な地位を築き、自らの望む王国の再建をもくろんでいた。
あえて問題児ばかりを引き受けることで、学園の美少女を集めた
2年4組の担任の地位を得る。メリハリのある授業を行う蓮実の
ファンは多く親衛隊までいる。人心掌握術によって人たらしの
この男であったが、一部の勘の鋭い者は得体のしれぬ恐怖を感じ
ぬえ的化け物的危惧を抱くのであった。
2年4組の片桐怜花もその一人だった。
この学園には誰もが恐れる格闘家にして求道者の体育教師園田や
三下チンピラ教師、陰気で不気味な猫田らヤバそうな教師もいる。
だが、玲花はほとんどの者が信頼を置く蓮実こそ最も危険な人物
ではないかと本能的に感じていた。

蓮実は自分の日常を楽しく快適なものにしようと次々と
裏工作や奸計によって、自分にとって都合の悪い人物を排除し
自らの理想郷づくりに余念がない。
悪魔の所業を繰り返した蓮実は自らの犯罪を隠すために
もっと大きな犯罪を起こすことにした。
本当の悪魔は口笛を吹きながら美しく涼しい顔で悪事をなす。
死屍累々の狂気の殺戮の行き着く終着点は?
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする