2015年10月20日

小説『バイバイ・ブラックバード』伊坂幸太郎

傍若無人な規格外の大女(190cm、200キロ)繭美により
「あのバス」に連れ去られることになった星野一彦。
彼の最後の願いは五人の恋人に別れを告げることだった。
五股をかけながら変に律儀で無邪気なバカ星野の願いは
なぜか叶えられた。
監視役の毒舌モンスター繭美をフィアンセと偽り、
それを理由に5人と別れることにした星野。

星野と「月」を冠する5人の恋人との「出会い」。
そして報告後のあれこれを繭美という存在感がありすぎる
キャラクターによっておかしさを加味して描かれた
現代版「グッド・バイ」。(太宰治の未完作品)

「常識」「上品」などの言葉を塗りつぶした辞書を持ち
人々を罵倒し、なぎ倒す。その姿は浮沈艦を連想させる。
そして、行動を共にすることで生まれた不思議な「友情」…。
「死」を運んできたはずの繭美という存在が、
自分をどこかで卑下していた星野に生きる意味を与えた
ように感じた。うまいの一言に尽きる。双葉文庫。
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2015年10月07日

小説『愛しの座敷わらし』荻原浩

冴えない高橋一家が、引っ越しを機に座敷わらしや
新天地の人々と出会い、忘れていた大切なことに気付く。
5人の家族は6人になれるのか?

東京に住んでいる高橋一家。
何事も一生懸命だが、家族との関係も仕事も空回りの父晃一。
転勤ばかりの会社によって振り回され不満ばかりの母史子。
中学でいじめに遭っている梓美。
そしてぜんそく持ちで引っ込み思案の弟智也。
認知症がはじまったばぁば…。
どこにでもいそうな冴えない高橋一家は
父の転勤を機に田舎の420坪の大きな一軒家に住むことに。
もちろん不便だし、家の中は所々がたがあるし、
何よりこの家には「座敷わらし」がいた。
智也、ばぁばを筆頭に徐々に姿を捉えるようになるその
不思議な存在は、悲しい過去を背負っていた。
最初は得体のしれない存在と怖がっていた一家だったが
その頼りない存在に愛しさすら抱くようになる。
彼らは新しい出会いを通して、家族の大切さ、
人との絆を結び、しあわせをつかんでいく。
わかりやすいストーリーであり、感情移入しやすい。

朝日新聞出版 上・下巻
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2015年10月03日

小説『張込み』

【一年半待て】

髪結いの亭主となり、怠惰になった夫は働かず
遂には外に恋人を作る始末。保険外交員の妻が
必死に働いた金で酒と女に費やし妻子に暴力をふるう。
典型的なダメ人間に成り下がった夫に妻は…

【鬼畜】

腕の良い職人だった宗吉は妻と共に印刷所をはじめる。
需要が高まり仕事も増え、職工も雇えるようになり、
まとまった利益を上げるようになった。
そうすると、宗吉は外に愛人を作った。
そして妻にばれず8年の歳月が流れ、三人の子供もできた。
しかし、経営が傾いたことで愛人が乗り込んできて…。
たがが外れた三者は鬼畜と化した。

【カルネアデスの舟板】

第二次世界大戦を前後して、価値観は一転した。
学界における権力者の縮図も大逆転した。
かつて軍国主義で辣腕をふるった大鶴は追放され、
彼の弟子であった玖村は時流に乗り、すべてを手にしていた。
そんな玖村を頼って大鶴がやってきた。
昏い情熱によって玖村は大鶴に
自分の成功を見せつけていたのだが…。

など8編を収録した短編集。読み応えあり。
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