2015年05月31日

小説『扉は閉ざされたまま』石持浅海

伏見は新山を殺害することにした。
コロンボ形式で描かれる推理小説。
犯人は伏見、探偵役として
伏見がかつて本気で愛しながら女性優佳が担う。
なぜ犯人伏見は新山を殺害したのか。
動機は何だったのか。
そして、なぜ部屋の扉を閉ざしたのか。
そこに一体どんな意図があったのか。
伏見と優佳。二人の頭脳の対決と、その勝者。
そして動機を知るとき納得の会心作と気付く。

歴史ある世田谷の豪邸ペンションにやってきた七人。
大学の同窓会のメンバーとその関係者である彼らは
休憩を挟み夕食の鍋をつつき団らんするはずだった。
しかし、新山がやってこない。
犯人である伏見はほくそ笑む。
完璧な密室ができた。扉は閉ざされたままだ。
不自然な言動をとらないように気をつけなければ。
なぜならここにはあの優佳がいる。
下手なことを言えば自分の計画が破たんする。
うまく誘導しなくては…。
伏見はさりげなく会話をリード。本心を隠して。
完璧と思われた計画であったが、
思わぬほころびがあり。最後に本意を遂げるのは…

祥伝社文庫
 
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2015年05月25日

小説『ソロモンの犬』道尾秀介

大学生の秋内、京也、智佳、ひろ子の日常は
椎崎先生の息子陽介の死によって暗い影を落とす。
陽介が大切にしていた愛犬が急に走りだしたことで
陽介が引きずられ、そこに自動車が…。
愛犬は行方不明になってしまった。
事故死と思っていた秋内であったが、あれは意図的に
起こされた殺人なのではないか?と切り出した。

単純で計算できない男秋内は、智佳にひとめぼれ。
どうにかお近づきになりたいものだ。
恋愛経験に乏しい秋内にできたことは
智佳との会話のシミュレーションのみ。
そんなとき京也が近づいてきた。
彼いわく、自分がひろ子とつきあうようになれば
自然とそのともだち智佳とも接点が生まれる。
だから俺と仲良くしていればよい。
自分のシミュレーション手帳を拾われ読まれ
智佳への想いがバレたが、バラされる地獄は避けられた。
でもそんなにうまくいくわけないよと思っていた
秋内であったが、京也はあっさりひろ子とつき合いだす。
よって秋内は智佳と近づくチャンスを得るが
奥手なのでなかなか切り出せない。

事故現場での京也の行動があやしいと疑う秋内は
友への疑惑を晴らしたいと真相を探り出す。
事件を追う秋内は思わぬ人物から「告白」を受け、
葛藤しながら推理を働かせる。
大学内で変人として定評のある間宮助教授に教えを
乞うことにした秋内。
事件のカギを握るのは犬の生態なのではないか。

人の持つ滑稽さや生きていくことで抱える傷、
悲しみを巧みにつづったミステリー調の傑作小説。
ワクワク感があって、引き込まれる。文春文庫
ラベル:おすすめ
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2015年05月17日

小説『八月の魔法使い』石持浅海

お盆に行われる役員会議は緩い内容になるはずだった。
しかし、「工場事故報告書」が資料に紛れ込んでいた。
そんな報告は受けていないと常務は叫ぶが
工場事故を把握していなければそれはそれで大問題だ。
未来の社長(副社長)の座を狙う役員同士は
これを好機と捉え、責任追及に紛糾する。
社長が参加するこの会議での失敗・失態は
会社での失脚を意味する。
会議をプレゼンしていた平社員美雪は
こんな資料なかったはずと首を傾げ、
上司である大木課長の仕業だと気付く。
最悪自分も責任問題に発展するかもしれない。
美雪は職場の恋人小林拓真にSOSを送る。

その頃小林も異常事態を察知していた。
万年ヒラ係長であり、部下からもナメられている
松本係長が嫌われ者の部長に何かをつきつけていた。
顔色が悪くなる部長。妙に迫力がある係長が
持っていた資料を見る羽目になった小林が見たものは。
「工場事故報告書」の表紙であった。
あってはいけないものを見てしまった。
この事故は確実に報告されていない危険な代物だ。
これは危ない。さわらぬ神にたたりなし。
だが小林は結局この最悪の案件に立ち向かうことになる。

かつて会社の方針を決め、魔法使いのように采配を振るった
伝説の松本係長を論破しなければならない。
小林が奮起する中、役員会議では出世争いに目がくらんだ
者たちによって醜い争いが展開される。
なぜ松本係長と大木課長はこんな自爆テロ的行為に
走ったのか。そこには語るも涙の謎があった。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 08:14| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月10日

小説『戸村飯店青春100連発』瀬尾まいこ

大阪の中華料理店戸村飯店に対照的な兄弟がいる。
こてこての会話、阪神と大阪新喜劇が大好きな街に
全くなじめない兄ヘイスケ。
要領もルックスもよくモテるが、大阪の笑いが
わからず、家族との折り合いも悪い。

逆に弟のコウスケは、阪神も大阪新喜劇も大好き。
裏表のなく単純でボケるのもうまいので
戸村飯店に訪れる客からかわいがられている。
しかし性格が全く違う兄とは距離感を感じている。
あまりにもわかりやすい性格なので全校生徒に
自分が好きな相手を知られているが本人に自覚なし。
しかも好きな相手岡野は兄のことが好きらしく
ラブレターを代筆してほしいと頼まれる始末。
この「手紙」が後々物語に大きく関わってくる。

居心地の悪い家を出ようと兄は東京の専門学校に行き
作家になると宣言し、家を出ていく。
それは単なる口実ですぐに学校はやめる気である。
あくまで家を出たいだけ。
専門学校に入り、それが縁で親友や恋人もでき
カフェで働くことになる。順応性半端ない。
が、女心は理解していないので相手を怒らせてばかり。
ヘイスケの加入により彼を目当てに女性客は増え
店は繁盛。ヘイスケは店を改善に導く。

大阪にいるコウスケは兄がこの戸村飯店継ぐの嫌だから
出て行ったのだろうなぁ。じゃあオレが継ごうかと考え
大好きな野球や学園生活を満喫していた。
だが三者面談の席で父親は大激怒。
卒業したら出てけと怒鳴られる。
大学に行くことにしたコウスケは
大阪に住む人々や岡野、そして東京に住むヘイスケに
支えられながら猛勉強。
離れたことでつながる絆もあるらしい。

二人の成長を描いた青春小説。清々しい。文春文庫
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2015年05月05日

小説【死神の浮力】伊坂幸太郎

小学生の娘を殺された夫婦の前に現れたのは
風変わりな死神だった。

サイコパス。良心を持たず、平気で嘘をつき、
他人を傷つけることに罪悪感を持たない
ある意味最強最悪の存在である。
知り合いである本城により愛娘を殺害された
山野辺夫妻は娘のかたき討ちをしようと
本城を殺すことを模索し計画を立てていた。
そんな折、千葉と名乗る不思議な男が現れた。
被害者でありながら悪意すら感じるマスコミ攻勢により
疲弊していた山野辺。
だが本城の居場所を知っているという何の面識もない
この男と共に打倒本城をめざして行動を共にする。
ちなみに千葉は、一週間後に死ぬ者の前に現れ
生かすか殺すかを決める音楽好きな死神であった。

山野辺は他者を制圧し絶望させることをいきがいとする
本城によってワナにかけられ、常に後手に回り大苦戦。
隣で平然とわけのわからないことばかり言っている
千葉に励まされたり、腹を立てたりしながら敵を追う。
山野辺夫妻が本懐を遂げることはできるのか。
そして、千葉の出す答えは。

『死神の精度』の続編 文藝春秋
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2015年05月03日

小説【幻夜】東野圭吾

阪神淡路大震災を経て生まれかわった魔性の女。
彼女の通る所、死屍累々。
まさに魔女の宅急便。不幸宅配便。

人の弱さにつけこむのに長けた悪魔がささやく。
美貌とコールドリーディングによって彼女に魅了され
魂を掌握された男により不都合な真実は隠蔽される。

犠牲者によってできた無限へと続く階段を登る魔女。
己の美のために、人々の人生を踏みにじり
悪を完遂する魑魅魍魎は野望を完遂するのか?
「白夜行」との決定的な違いは作品の主人公の魅力。
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