2015年04月17日

小説【海賊とよばれた男】百田尚樹

石油業界の風雲児国岡鐵造は骨太な明治男。
妥協しない、誘惑に負けない、消費者目線で
ときに利益を度外視した言動をとる豪傑の生き方は
人々を魅了し、国岡商店の名を世界に轟かせた。
人の暮らしに欠かせなくなった石油の歴史や変遷、
アメリカ、イギリスの非情さ、ズルさを赤裸々につづる。
仕事とは、生き方とは、人とはどうあるべきかを
史実を交えながらダイナミックに描いた歴史小説。
船長(店長)の船に乗った多くの人々と共に
語り継がれる人間ドラマに胸が震える名作。

戦後多くの店員を抱える、国岡商店は倒産の危機を
迎えていた。仕事もなく、戦争の影響で財産もない。
このままでは近日倒産を迎えることは想像に難くない。
馘首(クビ)を行おうという重役たちに対し、
店主鐵造は家族同然に考えていた店員を切ることを禁じる。
戦争によって優秀な店員を失った悲しい過去のある彼は
たとえ一人であっても家族とみなす者を切り捨てることが
あってはならないと考えていた。
たしかに戦争で失ったものは大きかったが、
彼の下には彼を慕い、全力で仕事に心血を注ぐ者が集まり
それが会社にとってかけがえのない財産であった。

ときに採算を度外視し、競合他社を圧倒する働き方をする
最強集団国岡商店は石油業界では危険視され
幾多の迫害に遭う。しかし、消費者や国の為に安価な
安定供給をしようと心がける高潔な生き方に共感し
優秀な者が集まり、その人柄が人の心を動かす。
私心を捨てて他者の為に生きるその姿はまさにサムライ。
人材と強力な刀(タンカー)、恩人日田を筆頭とした
彼に助力を惜しまない人との出会いが感動的だ。
どんな困難に遭おうと弱音を吐かずただ自分の信じた道を
愚直にひたはしる。文句なしの名著。

講談社 上・下巻
ラベル:おすすめ
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする