長距離ランナー岡崎優は大学陸上部に入部。
エゴイズムを貫き、長距離ランナーとして
遺伝子的にも大変恵まれた肉体を持つと証明された優は
自らの為に動く育成チームを大学側に要求する。
箱根駅伝は通過点に過ぎず、目標はオリンピックに出て
金メダルを取ることである。
わがまま放題、言動は最低の彼は周囲の反感を買うが
ある日医学部に通う非常に優秀な兄が突然死を遂げた。
競馬場で兄が言っていた意味深な言葉。
また、兄に偏愛を注いでいた母が漏らした発言から
彼は疑心暗鬼にかられていく。
自分とそして兄は遺伝子操作によって
意図的に恵まれた才能を持って生まれてきた
存在なのかもしれない。
父は母が兄の死によっておかしくなったと言うが
優の中での不安は募るばかり。
なぜなら親戚の中にそのような事例に
精通した者がいたからだ。
もし仮に自分がそんなあってはならない行為に
よって生まれた存在であったら、
自分の記録ははたまた自分という存在を
世間は認めてくれるのであろうか。
深い葛藤、誰にも打ち明けられぬ日々を送る優は
性格おおらかな岩本らとの関わりの中で
どのように考え、どのような答えを出すのか?
文春文庫