2014年10月25日

小説『塩の街』有川浩

世界が悲しみと混沌に包まれたとき

そこに確実にあったのは愛ではなく恋でした。


世界に飛来した巨大な塩によって壊滅的な被害を受け

人々の身体からは塩が吹き出し原因不明のまま死に至る。

絶望的な状況の中、本性を現し暴徒化した人々。

そして、塩害によってもたらされた莫大な被害は

人々の生活を圧迫し、明日への希望さえも奪っていく。

そんな中、絶対出会うはずのなかったはずの

陸自のパイロット乗り秋庭と女子高生真奈が出会い、

見えない絆で結ばれていき、恋におちていく。

世界の片隅でひっそりと生きる道もあった。

しかし、なぜかいろいろな想いを抱いた人が

彼らの前に現れ、そして消えていった…。

「世界とか、救ってみたくない?」

やってきた男の言葉は天使のささやきかそれとも

悪魔のそれか…。

そして運命の扉は開いてしまった。


あまりにもピュアすぎる有川浩のデビュー作にして

あまりにもすごすぎる名著。

やはりモノが違うなと唸らされる。

世界が変わることを是とするか非とするかではなく

どうありたいかを問いかけ魂に呼びかける作品。泣ける。


角川文庫
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月18日

小説『まほろ駅前狂騒曲』三浦しをん

便利屋を営む常識人多田と変人の居候行天の

迷コンビの珍騒動を描いた人気シリーズ第三弾。


人口30万人ほどの東京のベッドタウンまほろ駅で

便利屋を営む多田はおせっかいな性格が災いしてか

厄介な仕事や厄介な人物を引き受けてしまうことが多い。

高校の同級生の行天もその一人。

老若男女誰もが「変人」と認める彼を居候兼助手として

家に置いてしまっている多田の下に舞い込んだのは

行天の娘であるハルを1月半の間預かってほしいという

無理難題であった。

行天は少年時代、新興宗教にはまり狂信者と化した母により

心と身体に大きな傷を負っていた。

それは現在の風変わりな人格形成にも大きな影を落としていた。

母親の様に自分の子供を一方的で身勝手な暴力に

さらしてしまうかもしれないと脅える行天だったが

成り行きで多田と共に4歳の少女ハルと生活を送ることに。

なぜか運行会社横中はバスの間引きをしていると

思い込んでいる便利軒の得意客岡率いる老人集団、

無農薬野菜を謳い推奨するあやしげな集団HHFA、

なぜか彼らの行為を監視している厄介な顧客でもある

裏組織の星ら行天に劣らぬ変人たちが、

多田が恋心を寄せるキッチンまほろの柏木亜沙子や

小学生の由良とその友達裕弥らも巻き込んで

大騒動を引き起こす。

しかしやはり騒動の中心にいるのは行天だった。

変人たちに振り回されっぱなしの多田だったが

行天同様に大きな傷を抱える彼もまた

未来に向かって着実に前向きに歩き出す。

まほろ駅前の待望のシリーズは

笑いと感動の大傑作に仕上がっている。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめ長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月11日

小説『輝く夜』百田尚樹

報われぬクリスマスイブに真の幸せを噛みしめろ。

逆境に立たされながら、それでも些細なしあわせや

他者への思いやりをしめそうとする主人公たちの

清々しい姿が涙と感動を誘う短編集。

とにかく読後感のよさと清涼感漂う作品であり、

心地よいハッピーエンドと祝福の鐘が

聖夜の夜に鳴り響く。

posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月05日

小説『デパートへ行こう!』真保裕一

創業100周年を迎える老舗デパート。

その深夜に集まった人々がそれぞれの思惑を胸に動く。

そこには強い想いや悲哀。願いや痛みがあった。


リストラされ、家族を失った男。

贈収賄事件の犯人のこども。

自分を裏切った男に対して仕返しを企てる女性店員。

暴力団と癒着してしまった元警察官。

このデパートの社長。

そして、このデパートを守ることを誇りに生きる

伝説の守衛とその志を継がんとする後輩。

己の利益のために蠢く輩…。


ある男にとって、母と出かけるデパートは

幸せの象徴だった。

ある男にとって、そのデパートは人生そのものだった。

そこには待ち続けている幸せの形があった。


彼ら、そして彼女らによって

激動の一日を迎えることになった深夜のデパート。

様々な人間ドラマが展開され感動のラストが胸を打つ。


講談社

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