そこに確実にあったのは愛ではなく恋でした。
世界に飛来した巨大な塩によって壊滅的な被害を受け
人々の身体からは塩が吹き出し原因不明のまま死に至る。
絶望的な状況の中、本性を現し暴徒化した人々。
そして、塩害によってもたらされた莫大な被害は
人々の生活を圧迫し、明日への希望さえも奪っていく。
そんな中、絶対出会うはずのなかったはずの
陸自のパイロット乗り秋庭と女子高生真奈が出会い、
見えない絆で結ばれていき、恋におちていく。
世界の片隅でひっそりと生きる道もあった。
しかし、なぜかいろいろな想いを抱いた人が
彼らの前に現れ、そして消えていった…。
「世界とか、救ってみたくない?」
やってきた男の言葉は天使のささやきかそれとも
悪魔のそれか…。
そして運命の扉は開いてしまった。
あまりにもピュアすぎる有川浩のデビュー作にして
あまりにもすごすぎる名著。
やはりモノが違うなと唸らされる。
世界が変わることを是とするか非とするかではなく
どうありたいかを問いかけ魂に呼びかける作品。泣ける。
角川文庫