作中、生存中の日本作家の中では、
並ぶ者のいないとされる大作家間崎翔太郎。
しかし、晩年極端な名誉欲にかられてしまい、
老人特有の数々のわがままを言い募り、
自己顕示欲を満たそうとする姿は関係者たちを驚かす。
最終的に自分が亡くなった後、どの程度の追悼文があり、
新聞でどれだけ大きく扱われるかを
気にしてしまったこの大先生は
我を通すために遂に伝家の宝刀を持ち出し…。
このバカバカしさがたまらない。
まさに作者の真骨頂的作品。
『鄙根村の歩き方』
現代文明に毒されていない2000人ほどの
人々しか住んでいない緑豊かな架空の村鄙根村。
そんな心温まる?方言丸出しの村人たちとの交流を
交えて描かれるハートフルコメディー。
随所にキラリとブラックジョークが光っている。
そうそう、この村では決してゴルフ場の話をしてはいけない。
他に、数学者がゴミのことを考察した『ゴミの定理』
村おこしのために行われたディナーショーの
出来事をおもしろおかしく描いた『鮫島村のデナーショー』
などを収録した短編集。
講談社文庫