2012年10月29日

小説『車輪の下』ヘッセ

主人公のハンスは周囲の者がはっきりと認める

天才児であった。

周囲の人々の期待に応えようと大好きな釣りをやめ

先生や牧師の指導で毎日のように勉強。

やすらぎの時間と少年が適度に享受すべき時間を放棄。

プレッシャーを受けながら、試験を受けることに。

「もっとうまくできたのではないか?

 こんなことでは受かりっこない」

と不安に駆られるハンスだったが

難関と言われる神学校に、優秀な成績で入学する。


だが、神学校での生活は規則ずくめであった。

まじめなハンスは、人一倍勉強の虫となり

最も優秀な生徒として校長にも目をかけられることに。

しかし、その代償として偏頭痛を抱えることに。

またハンスは、自由奔放な詩人気質の変わり者

ハイルナーと友だちになるが、我が身かわいさに

ハイルナーの苦境を助けなかったことから

強い罪悪感に苛まれることに。

繊細で傷つきやすいこの少年の心を締め付けていく。

友情を取り戻したハンスだったが、

放埓なふるまいと皮肉交じりの言動をことで

学園で嫌われる(誤解される)ことの多い

ハイルナーとの親交を快く思わない先生、

とりわけ校長の不興を買ってしまう。


勉強だけがすべてでないと悟ってしまったハンスは

本来のトップの成績で神学校を卒業するという目的を

放棄してしまう。

そこまでして友情を選んだハンスだったが

ハイルナーは事件を起こしてしまい学園を去ることに。

親友ハイルナーという精神的な支えをなくしたハンスは

徐々に崩壊していく。


牧師の家庭に生まれ、神学校に進むが脱走し、

「詩人」を志したノーベル賞作家ヘッセの代表作。


多感で傷つきやすい少年の心の葛藤、

友情、恋、仕事、人生観などが語られる名作小説。


校長が示唆している「車輪の下敷きにならないように」

という警句。

そして、ラストのくつ屋のおじさん(フライク)

の言葉が印象的。220ページ。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の 世界の名作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする