「税金など払わん!」と豪語したり、
「学校など行かなくていい」「国などいらん」
と言い切る型破りなやっかいさんだ。
父上原一郎は、
185cmの恵まれた巨漢とでかい声。
理路整然と議論をふっかける父によって
次々と巻き起こる問題。
仕事もせずに、熱心に何か書いたり、
昔の仲間といっしょに何かあやしげなことを
している父。主人公じゃなくても
叫びそうになる。頭を抱えてしまう。
小学校六年生の僕こと一郎や妹、母は
そんな父に翻弄されながらそれでもなんとか
中野で生活をしていた。
でも二郎は不良に目をつけられてしまい、
結局その輩と闘わなくてはいけなくなる。
そして、未だに公安からマークされ続ける父。
こどもの世界でも、大人の世界でも存在する
闘いと葛藤。妥協せずに生きることの大切さと
大変さ、家族のあり方や生き方を投げかける。
作者お得意のユーモアも交えながら描かれ、
さっぱりとした読後感でありおすすめだ。
約530ページ。角川書店。