世知辛い世の中だからこそ、人のやさしさや助け合いや、
知恵や、笑顔やたくましさが試されるチャンスなのだと思います。
昭和33年、広島と母と二人で住んでいた徳永昭広少年ことオレは
やむを得ない事情から、電車に乗せられ佐賀のがばい(すごい)
おばあちゃんとの二人暮らしをはじめます。七人の子供を、
掃除婦をしながら、たくましく育てあげたおばあちゃんは、
「おばあちゃんの知恵袋」的存在であり、たくさんの生きるヒントを
持っている人でした。明るい貧乏であれ!と語るおばあちゃんは、
磁石で鉄くずを集め、川から流れてくる「恵み」をそつなく回収し、
ケチと言うよりも倹約精神にあふれた、時に切符のよい人でした。
そんなあばあちゃんと、佐賀で出会ったやさしい人たちとの
中学までの青春時代をつづった物語。
物語に登場する同級生や先生とのエピソードがまたいい話ばかりで、
なんか世知辛い世の中だからこそ、余計に人におすすめしたくなる
エッセイです。190ページですが、ページ数より軽く読めます。