2008年09月26日

小説「奪取」真保裕一

借金返済のために「偽札作り」に手を出した軽犯罪者の青年たちの

長きに亘るヤクザとの戦いを描いたサスペンス。上下巻で950ページ。

日本推理協会賞と山本周五郎賞をダブル受賞した、涙あり感動ありの

物語。最後に大金を掴むのは誰だ?



悪友雅人が、ヤクザの街金に騙されて、膨らんだ借金は1000万円。

雅人とともに、ヤクの運び屋に仕立てられそうなピンチを乗り切る

ために「偽札作り」を思いつく。

自動販売機や、駐車場において軽犯罪を行い小銭を稼いでいた

主人公の道郎は、雅人と協力してキャッシュディスペンサーの

裏をつく。「人の目には偽札だと一目瞭然でも、機械を騙せばいい」

という独自のアイディアで、人生の危機をどうにか乗り切れそう

だと目星がついたのだが……。

道郎は、「本物の偽札づくり」をめざしてチームを作り、

どうせなら金の取り扱いのプロである銀行員を騙したいという

ロマン?溢れる夢を追い求めるようになる。

「偽札作りは割に合わない」という世間の言葉通りに、苦労を

重ねる道郎たちの長きに亘る戦いがはじまる。



(光は)七つの虹の色からできてる。

相手、小道具、時間、場所、手順、仲間、そして、自分。

その七つの要素の重なり具合を見分けられるやつだけが、

成功を握るんだ。

何かひとつかけても、光は満足にガラスの中を通り抜けやしねえ。

〜本文より抜粋〜
ラベル:読書 小説
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2008年09月23日

「汗牛充棟」

汗牛充棟…非常に蔵書が多いこと。本を重ねると、棟まで届き、

     牛に牽かせると汗をかくほどだ!という意味。


6畳の私の部屋には、約1000冊の本(小説・ハードカバー他)と

約900冊のマンガが鎮座ましましている。クローゼットと一セットに

なった本棚には1400冊ほどの本が、別の本棚には500冊ほどが収納

されている。開かれずにほこりが溜まっている本が150冊弱、

マンガが40冊弱ある。これでも、少しは減ってきたのである。

途中まで読んで投げ出した本や、最後まで楽しめたが手元に置いて

おくほどでもない本はブックオフで10〜20円程度で売れる。

捨てるよりはいいし、エコにつながるのじゃないかと自己満足する。


ブックオフに長居していると、20冊売って、また20冊買うという

不毛の連鎖をすることがある。ひどいときは、10冊売って、30冊

買ってしまう。マンガなら1時間もあれば読めることがほとんどだが、

本となると4時間〜5時間かかることがざらなので(京極さんだと

その2倍はかかる。分厚い作品が多いので)、自然と後回しになる。

そうやって、後回しにされた本たちは、読む頃には塵が積もって

いることもざらである。


「売れない限りは在庫」である本やマンガを大量に所有することは

それ相応のリスクもあるし、買い叩かれてしまうのも肯けるが、

500〜600円だった内田康夫の浅見光彦シリーズ文庫版がことごとく

10円の値段で買われたときは、違う意味で笑いが止まらなかった。

「高く買って、安く売った」ら、商売は成り立たないもんなぁ。
ラベル:日記 コラム
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2008年09月19日

小説「雷桜」宇江佐真理


雷雨の日に連れ去られた庄屋の娘遊は、十五年ぶりに女傑の「狼娘」

として機関を果たし、数奇な運命をたどる。370ページ。


紀州の山奥の瀬田村の庄屋助左衛門は、村人から慕われる好人物

だったが隣の藩の逆恨みを受け、雷雨の日に赤ん坊だった遊を

連れ去られる。地元の者も恐れて近づかない山で生きているのでは

ないか?という一縷の望みを信じ、一家は日々の生活を送る。


遊は生きていると信じる次男の助次郎は、ある日馬に跨った不思議な

少年に出会う。少年は、誰もが恐れて近づかない山道を助次郎と

ともに名馬で駆け抜ける。助次郎は、あれは少年ではなく妹の遊

だったのではないか……と考える。


助次郎は後に、御三卿清水家の中臣として百姓としては異例の出世を

遂げるのだが、清水家の当主である斉道(将軍家斉の息子)は、

心の病を抱えた癇癪持ちの乱暴狼藉を繰り返す絵に書いたような

暴君であった。助次郎は、斉道の家臣である榎戸の手助けになれば

と思い、心を砕き、いつしか斉道と心を通わせるようになる。

そんな折、ついに遊が帰還を果たし、斉道は助次郎から聞いていた

遊の噂を知り、彼の母親と同じ名前を持つ遊に会ってみたいと

言い出すのだった。


雷桜…らいおう

遊が生まれた頃に、イチョウの樹に雷が落ち、

桜が生えてきたことに由来する不思議な桜である。
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2008年09月16日

小説「宿命」東野圭吾




敵対する二人の男の宿命の対決と、二人の間を繋ぐ一人の女の物語。


医者の道と最愛の女美佐子との恋を諦め、警察官になった勇作は、

殺人事件の発生によって永遠のライバルと対面。ライバルは、

財閥の御曹司であり、美佐子と結婚し、同時に医者になっていた。

貧しい家に育ったが故に、苦闘を強いられ夢をあきらめた主人公は、

ライバルを容疑者として疑い、事件の真相に迫るのだが、

そこには宿命としか言えない恐るべき「秘密」が隠されていた。


幼少の頃に赤レンガの建物で、すでに敵対していた二人の宿命の対決

はまさに皮肉で、運命的で、感動的な結末を迎える。365ページ。
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2008年09月15日

小説「明日の記憶」荻原浩


50歳の広告会社営業部長に訪れた突然のアルツハイマーの恐怖と、

夫婦愛、家族愛、そして人生を描いた号泣必死の物語。

ハードカバーで320ページ。

山本周五郎賞。本屋大賞2位。すごくおすすめの小説。


主人公は、最近とみに物忘れがひどくなった。

人の名前や、簡単な暗算、よく知っているはずの建物の場所……

が出なくなった。娘は結婚を控えているし、ビッグビジネスが

動き出している。焦燥を抱えながら、主人公は医者から

「若年性アルツハイマー」だと告げられる。生活の所々に影が

生まれ始めた主人公は、彼を必死で支える妻と格闘しながら、

未来を模索するのだが……。


絶望感の中で、一縷の望みにかけて「自分らしくありたい」と

必死でもがくまさに等身大の人間を描いた物語は涙を誘う。

文章もすばらしい。趣味ではじめた陶芸にのめり込んでいく姿や、

仕事を遂行しようと必死でメモを取る姿などには、心を揺さぶられる

ものがある。


「心配しないで。だいじょうぶですよ。この道で間違いない。

 僕がずっと一緒に行きますから」
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2008年09月11日

直木賞「暗殺の年輪」藤沢周平

「暗殺の年輪」

馨之介は、かつての盟友金吾と共に、藩の実力者嶺岡兵衛の

暗殺を命じられる。しかし、彼はこれを辞退。

その後、「父の死」に隠された悲しい宿命を悟った彼は、

己が道を開かんと立ち上がる。


主人公に芽生えた心の変化の描写と、緻密な構成、武家社会に

潜む非常な掟、そして理不尽を描いた直木賞受賞作。


「黒い縄」

姑の不気味な嫉妬におびえ、出戻り娘となったおしのは、

幼なじみであった宗次郎と出会う。

宗次郎には、「殺人」の容疑がかけられていて、

しつこく彼をお縄にしようとつきまとう元岡っ引きの地兵衛。

かねてより、宋次郎に好意をよせていたおしのは、

「殺人」をしていないという宋次郎の言葉を信じ、淡い恋心を

抱くのだが……。


「ただ一撃」

仕官登用にあたり、剣術の腕前を披露した猪十郎は次々と藩内の

人間を叩きのめす凄惨な試合を展開した。藩の矜持をかけて

猪十郎を叩きのめさんと藩内において、白羽の矢がたったのは

齢六十を超えた一人の老人。

無謀とも思えた老人の家族は、これを危ぶむが淡々とした様子を

見せる老人は、ふらりと修業の旅に出かける。


「くらい海」

「富獄三十六景」を描き、風景画の大家として名声を博していた

北斎であったが、人気に陰りもあり、不安を感じていた。

そんな北斎の耳に評判の絵師である安藤広重の「東海道五十三次」を

称える声が聞こえてきた。年老いた自分と、まだ若くして名声を

勝ち得た広重と謙虚な姿勢から垣間見える若さゆえの自信、

それでいて平凡にしか見えてこない絵を見るにつけ、北斎の心の中が

荒れた海のようにうずき出し、いつしか殺意に変わる。


「囮」

彫士をしながら、下っ引き(岡っ引き)をする甲吉が主人公。

殺人を犯した徳蔵を捕まえんと、徳蔵の恋人であるおふみを

見張る甲吉はいつしか、おふみに魅かれるようになる。

人間の持つ残酷な心をえぐるように描いた物語。
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2008年09月04日

「交換日記2」

歳末のデパ地下1階。魚屋。IN JAPAN


絶対にまけられない戦いがここにある。


甲「ちょっとあんたこのカニまけなさいよ」

乙「あっ、私バイトなんで、そんな権限は……」

甲「じゃあ、社員さんに言いなさいよ」

乙「あっ、短期のバイトなんで、そんなこと言えないんです。

  (うまくかわすように指示を受けてるとです。)」

甲「かまぼことか、伊達巻とかは安売りはじめたじゃない」

乙「(かまぼことか、伊達巻は残したくないって副チーフが

  言っていたとです)。カニはちょっと……」

甲「カニもまけてよ〜」

乙「カニはちょっと……」


甲…武蔵の国(埼玉)のおばちゃん、甲だけにカニ好き。 

乙…私。カニ好き。


ZETTAIに、絶対にまけられない戦いがここ(埼玉)にある

→サッカーの日本代表が、あっさり予選敗退してしまった。

 「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」

 というベッケンバウアーの言葉が重くのしかかる。

 スポーツの「格上」「格下」という言葉ほど陳腐な表現はない。

 格なんて、たったひとつの試合で、プレーで覆るのだから。



注…この文章は、管理人が「マンガのソムリエのおすすめ」という

ブログで書いたものを一部訂正したものです。更新が滞っていたので

とりあえずの措置としてのせました。
ラベル:コラム 日記
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | つれづれなるままにその日暮らし! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする