2008年08月06日

直木賞「遠い国からの殺人者」笹倉明

被害者は加害者であり、加害者は被害者であった。


遠い国からやってきた外国人ストリッパーは、暴力を繰り返す

ろくでなしのヒモ男を殺害。

「男の人が倒れている」という110番通報の女性の声には、

妙ななまりがあり、捜査線上には早くから被害者の男性と

つきあっていた金髪の女性が容疑者として浮かび上がる。

彼女のことをかばい、逃亡を助ける同僚や人々の介入もあり、

確実に忍び寄る警察の包囲網をくぐり抜ける彼女だったが……。


日本に憧れを抱いてやってきた外国人女性が体験した

日本での地獄のような生活と、彼女を食い物にする悪人たちを描く。

しかし、作中において彼女を一人の人間として尊重し、彼女を

助けるために尽力する同僚や弁護士の姿も描き、緩和剤を果たす。

またこの作品の被害者は、同時にろくでなしの加害者でもあり、

(被害者と思われたヒモ男は、性質の悪い事件の犯人でもある)

加害者である外国人女性に、情状酌量すべき余地もある。


またこの作品は2部構成であり、1章においては殺人者の逃亡劇を

2章においては、殺人者の真の素性と事件の細部についてを言及。

また、スリリングな法廷を描き、「無罪」を獲得しようとする

弁護士と検事の戦いや、「真実」を見極めようとする裁判官の姿を

鋭く描く。101回直木賞受賞作のミステリーである。330ページ。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(1) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする