2008年06月24日

短編集「タンノイのエジンバラ」長嶋有

はた目には誘拐。しかし、脅迫されているのは俺の方だ。


フリーターの俺は、職安で失業保険を受けながらハローワークに

通っていた。そんな折、同じようにハローワークに来ていた

母子家庭の女性から、一方的に小学生の女の子を押し付けられた。


俺は、実は隣に住んでいたその女の子に飯をごちそうしてやる

ことにした。母から一万円を渡されたし。

「なんか誘拐みたいだね。脅迫状書いてよ」

「嫌だよ。お前が俺を脅迫してるんじゃないか」


そんな心温まる楽しい会話の中で、俺は思った。

この子は、捨てられたんじゃないか?

そういえば、そんな映画あったよなぁ……と


表題作「タンノイのエジンバラ」 おすすめ



私たち3兄弟(姉、私、弟)は、久しぶりに出会った。

父が危篤であり、不倫の果てに結婚したミドリさんと、

社長をしていた父の遺産相続が問題になった。


私には、さして思い入れのない実家だが、姉にとっては

そうではなかったらしい。姉は、病的なまでに実家を

自分たちのものにしようと躍起になる。

ニートの弟はなぜか、変なことに詳しく、ときに私を驚かす。


解散してしまった家族。でも、やはり家族は家族なのだなと思った。

「夜のあぐら」



妻と姉とバルセロナにやってきた。離婚と、猫との別れと

不幸が続いた姉を励ます目的で、おしゃれでガウディの塔がある

この街にやってきたのだ。姉は元気になれるだろうか?

「バルセロナの印象」



ピアノ教室に勤めていた主人公だったが、いっそ違う仕事をと

パチンコ屋さんで働くようになった。自動車の駐車場にまんなかに

堂々と自転車を止める男を、上から眺めていた主人公は、

その男と恋愛ごっこを楽しむ。しかし、いつしか本気になっていた。

「三十歳」


の4編を収録。190ページ。(ハードカバーで)。文庫版あり。

流れるような文体で読みやすくおすすめ。

おすすめ同著として「猛スピードで母は」がある。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 07:43| Comment(0) | TrackBack(1) | おすすめの短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする