2008年06月23日

短編集「てのひらの迷路」石田衣良

24のストーリー。前書き2ページ+7ページの本編形式を取り、

(一部異なる)、私小説、創作ホラー、恋愛ものなどを

織り交ぜた短編集である。

会社を辞めたことで、手に入れたやすらぎの日々、

取材や日常を通して出会った人々、

作家なりの苦労、自己の恋愛などを描く。


「ウエイトレスの天才」

お客様の注文したメニューを、数万単位で覚えていられる

(顔を見ると思い出すらしい)という天才に出会った著者は、

さっそく彼女を取材し、御飯をおごることにした。

無邪気な様子の彼女が胸に残る作品。


「タクシー」

愛想のよいタクシー運転手に乗り合わせた著者の逸話を収録。

一方的な会話形式でありながら、なかなか含蓄のある話である。


「イン・ザ・カラオケボックス」

彼女は片道3時間かけて、渋谷に訪れる。左右で色の違う

カラーコンタクトをつけて、奇抜な格好をした彼女であったが、

その姿は堂々としていて、清々しささえ漂う。

「黒い髪をして、しっかりした服装をしていた時、

 私は生きた心地がしなかった。服装変えて、渋谷に来るように

 なったら、人と同じにしなくていい、自由でいいって思えた」


「I氏の生活と意見」

人よりもずっとたくさんの給料をもらいながら、

仕事に対して俯瞰的に、生きる手段としてしか考えられなった

I氏は会社を辞めた。そして、作家の道を踏み出すのだった。

I氏は、基本的に楽天家だった。

読書と音楽に関しては、仕事にはない情熱を注いでいたが、

実際に文章を書いたことはなかった。I氏はとりあえず、

ジャンルを決めずに賞と名のつくものに片っ端から応募した。

文章を書くのは楽しかった。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。